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Step2 胡蝶蘭男子の部下になりました
ムラサキケマン①
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嬉しい気持ちのままにエレベーターホールに向かうと、横の会議室、つまりこの間室長とお話した会議室から、高梨室長がひょこっと顔を出して手招きした。
え? 私に言っているのかな?
思わず指で自分を指すと、室長がうんうんと首を縦に振る。誰かに見られないようにしないと。咄嗟にそう思った。
周りの人達はおしゃべりしながら、到着したエレベーターへ吸い込まれていく。
さり気なく後ろへ下って、背を向けた。
エレベーターの扉が閉まった瞬間を見計らって、ささっと会議室へ飛び込んだ。
また呼び出しなんて、なんだろう?
また二人きりの会議室。ちょっと心臓がトクンとなった。
これは緊張で、ときめきなんかじゃないわ。断じて。
「あの、何か御用でしょうか?」
弾んだ息を整えながら尋ねると、高梨室長の美しい眉間に皺が寄っているのが見えた。
ああ、やっぱり。
私、また何かやらかしてしまったのかしら?
ヒヤヒヤしながら言葉を待つ。
「このアイデア、君のだよね」
そう言いながら見せられた資料の提案事項は、確かに私が真山さんに提出したレポートと同じ文言。
それの何がいけなかったんだろう……真山さんにご迷惑がかかるといけないから、ちゃんと答えておこう。
「はい。そうです。何か問題がありましたか?」
「いや、問題は無くていい提案だと思ったんだけど……これだとまるっきり真山さんのアイデアになっているんだよね。手柄横取りされて嫌だよね。俺から真山さんに言っておくから……」
その言葉を遮るように、思わず言ってしまった。だって、真山さんの役に立ちたかっただけで、自分の評価のためなんかじゃないから。
「別にかまわないです」
「どうして?」
驚いたような高梨室長。
「だって、目の前にある懸案事項が、良い方向へ向かうことだけが大切なことで、それが誰の手柄とか関係ないと思うんです」
「それは詭弁だな。明確に出世や給与に響くよ」
半ば呆れたような声になる室長。でも、私だって私の考えがあるんだから。
だって……
「私、派遣ですから」
はっと息を飲む音がした。急に申し訳なさそうな顔になった高梨室長。
沈んだトーンで零れた言葉。
「……すまない。そうだったね」
その瞬間、また心臓がトクンとなったの。
そんなに切ない顔しないでください―――
え? 私に言っているのかな?
思わず指で自分を指すと、室長がうんうんと首を縦に振る。誰かに見られないようにしないと。咄嗟にそう思った。
周りの人達はおしゃべりしながら、到着したエレベーターへ吸い込まれていく。
さり気なく後ろへ下って、背を向けた。
エレベーターの扉が閉まった瞬間を見計らって、ささっと会議室へ飛び込んだ。
また呼び出しなんて、なんだろう?
また二人きりの会議室。ちょっと心臓がトクンとなった。
これは緊張で、ときめきなんかじゃないわ。断じて。
「あの、何か御用でしょうか?」
弾んだ息を整えながら尋ねると、高梨室長の美しい眉間に皺が寄っているのが見えた。
ああ、やっぱり。
私、また何かやらかしてしまったのかしら?
ヒヤヒヤしながら言葉を待つ。
「このアイデア、君のだよね」
そう言いながら見せられた資料の提案事項は、確かに私が真山さんに提出したレポートと同じ文言。
それの何がいけなかったんだろう……真山さんにご迷惑がかかるといけないから、ちゃんと答えておこう。
「はい。そうです。何か問題がありましたか?」
「いや、問題は無くていい提案だと思ったんだけど……これだとまるっきり真山さんのアイデアになっているんだよね。手柄横取りされて嫌だよね。俺から真山さんに言っておくから……」
その言葉を遮るように、思わず言ってしまった。だって、真山さんの役に立ちたかっただけで、自分の評価のためなんかじゃないから。
「別にかまわないです」
「どうして?」
驚いたような高梨室長。
「だって、目の前にある懸案事項が、良い方向へ向かうことだけが大切なことで、それが誰の手柄とか関係ないと思うんです」
「それは詭弁だな。明確に出世や給与に響くよ」
半ば呆れたような声になる室長。でも、私だって私の考えがあるんだから。
だって……
「私、派遣ですから」
はっと息を飲む音がした。急に申し訳なさそうな顔になった高梨室長。
沈んだトーンで零れた言葉。
「……すまない。そうだったね」
その瞬間、また心臓がトクンとなったの。
そんなに切ない顔しないでください―――
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