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番外編
兄妹VS姉弟 ③
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龍輝にとって年の離れた妹の鈴音は、不思議で可愛い存在だった。
真っ赤な顔をして泣いてばかりの赤ちゃんは、観察していると面白くて、色々世話を焼いて余計なことばかりしていたっけ。
今ではすっかり綺麗になって、いつの間にか世話好きな優しい女性に成長していた。
仕事もプライベートも楽しんでいる様子に、俺よりもしっかりしているなと安堵する。
鈴音をベッドに寝かせ、自分はクッションの上にごろ寝。
久しぶりに並んで寝ていると、子どもの頃の思い出が色々蘇って来て懐かしくなった。
一華に紹介できて嬉しいな。
明日の顔合わせが楽しみだった。
弟の響は、一華より三歳年下の二十六歳。
新人で赴任した北海道から、この度東京へ異動になって実家に帰ってきた。
姉と同じく、真面目で切れ者。だが、姉と違って、いや姉を見ていた反動で、 超がつくほどの現実主義者。
美人で頭が良くて性格も優しくて。
完全無欠な女性のように褒められることが多い姉だが、響から見れば、理想に振り回されている『夢見る夢子』にしか見えない。
理想の自分と理想の相手を追い求めて彷徨いながら、結局夢に恋して裏切られている。
ふうっ……
弟の俺がしっかりしなければ、姉はイケメンモドキにひっかる可能性が高い。
実際、今まで付き合った男は顔だけ男でロクでも無かった(響の勝手な推測)。
久々にできた新しい彼氏と一緒に旅行に行ってきたと言って土産なんか買って家に来たけれど……あれ?
いつもと違って姉貴の雰囲気が柔らかくなっている。溢れ出る幸せオーラが凄いな。
今度こそ理想の彼氏に出会えたのかな?
いやいや、姉貴もアラサーで崖っぷちだからな。慌てて結婚しようと焦っているだけかもしれない。
傷が深くなる前に、俺がきっちりしっかり相手を採点して見極めてやらなければ!
「姉貴の彼氏に会ってみたいな」
「え!」
一華は珍しく逡巡した。
龍輝に会わせたいのはやまやまだし、龍輝ならきっと笑って許してくれると信じているけれど……
姉思いで真面目な弟。実はめちゃくちゃ毒舌(姉の前でだけ)。
はあっ……
まさか龍輝に毒舌ぶちかますことはしないと思うけれど、ちょっと不安。
子どもの頃は男の子なのに可愛らしい顔立ちで、一華は構いたくて構いたくて仕方が無かった。
自分の洋服を着せて一緒にお姫様ごっこをしたり、反対に王子様にさせてみたり。
頭をぐりぐりと撫でまわしていたら、いつの頃からか毛嫌いされるようになった。
あの頃は素直で可愛かったのになぁ。
そんなことを考えていたら、思いっきり嫌な顔をされた。
あれ? 考えていること駄々洩れていたかしら?
案の定、龍輝は即決で会ってくれることになった。
龍輝の妹さんも来るって言っていたから、一気に弟妹の顔合わせが出来て良かったかも。
妹さんがいたら、響も遠慮してちゃんと礼儀正しくご挨拶できるんじゃないかな。
憂いは横に置いておいて、明日のデートに備えて入念に肌の手入れをしてから眠りについた。
真っ赤な顔をして泣いてばかりの赤ちゃんは、観察していると面白くて、色々世話を焼いて余計なことばかりしていたっけ。
今ではすっかり綺麗になって、いつの間にか世話好きな優しい女性に成長していた。
仕事もプライベートも楽しんでいる様子に、俺よりもしっかりしているなと安堵する。
鈴音をベッドに寝かせ、自分はクッションの上にごろ寝。
久しぶりに並んで寝ていると、子どもの頃の思い出が色々蘇って来て懐かしくなった。
一華に紹介できて嬉しいな。
明日の顔合わせが楽しみだった。
弟の響は、一華より三歳年下の二十六歳。
新人で赴任した北海道から、この度東京へ異動になって実家に帰ってきた。
姉と同じく、真面目で切れ者。だが、姉と違って、いや姉を見ていた反動で、 超がつくほどの現実主義者。
美人で頭が良くて性格も優しくて。
完全無欠な女性のように褒められることが多い姉だが、響から見れば、理想に振り回されている『夢見る夢子』にしか見えない。
理想の自分と理想の相手を追い求めて彷徨いながら、結局夢に恋して裏切られている。
ふうっ……
弟の俺がしっかりしなければ、姉はイケメンモドキにひっかる可能性が高い。
実際、今まで付き合った男は顔だけ男でロクでも無かった(響の勝手な推測)。
久々にできた新しい彼氏と一緒に旅行に行ってきたと言って土産なんか買って家に来たけれど……あれ?
いつもと違って姉貴の雰囲気が柔らかくなっている。溢れ出る幸せオーラが凄いな。
今度こそ理想の彼氏に出会えたのかな?
いやいや、姉貴もアラサーで崖っぷちだからな。慌てて結婚しようと焦っているだけかもしれない。
傷が深くなる前に、俺がきっちりしっかり相手を採点して見極めてやらなければ!
「姉貴の彼氏に会ってみたいな」
「え!」
一華は珍しく逡巡した。
龍輝に会わせたいのはやまやまだし、龍輝ならきっと笑って許してくれると信じているけれど……
姉思いで真面目な弟。実はめちゃくちゃ毒舌(姉の前でだけ)。
はあっ……
まさか龍輝に毒舌ぶちかますことはしないと思うけれど、ちょっと不安。
子どもの頃は男の子なのに可愛らしい顔立ちで、一華は構いたくて構いたくて仕方が無かった。
自分の洋服を着せて一緒にお姫様ごっこをしたり、反対に王子様にさせてみたり。
頭をぐりぐりと撫でまわしていたら、いつの頃からか毛嫌いされるようになった。
あの頃は素直で可愛かったのになぁ。
そんなことを考えていたら、思いっきり嫌な顔をされた。
あれ? 考えていること駄々洩れていたかしら?
案の定、龍輝は即決で会ってくれることになった。
龍輝の妹さんも来るって言っていたから、一気に弟妹の顔合わせが出来て良かったかも。
妹さんがいたら、響も遠慮してちゃんと礼儀正しくご挨拶できるんじゃないかな。
憂いは横に置いておいて、明日のデートに備えて入念に肌の手入れをしてから眠りについた。
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