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Episode4 プロデュース第三弾

最高の夜は二人でつくりあげるもの ②

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 優しいキスから一転、体の自由を封じられ、ベッドに貼り付けられた。

「一華さん」
「……」
 龍輝の切なげな視線に、息が止まりそうになる。

「俺はいつだって、君のことを知りたくてたまらないんだ。そんな気持ちにさせてくれた女性は初めてだ」
「龍輝さん……」

「だから、今日はいつもと違う君を見せて」

 すうっと龍輝の顔が落ちてきて、耳元に囁やかれた。
 そのまま耳朶を食まれ舐められて、耳が弱い一華はピクリと身を捩った。

「見つけた」
 龍輝はふっと笑うと、執拗に耳を責め始めた。

「あっ、だめ」
「ん、だめじゃないだろ」

 縫い付けられた手首はビクとも動かない。改めて龍輝の力の強さを感じる。
 ささやかな抵抗は首を捩ることしかできない。

「あん、いや」
「いいね。その声、もっと聞かせて」

 もう、いつの間にこんなテクニック覚えたの?
 龍輝さんったら、本当に成長が早すぎて驚かされてばかり。

 いつもの優しい龍輝とは違う、魔王のような意地悪さ。
 鍛え上げた力に蹂躙されているのに、嬉しくてたまらない。

 私にもこんなマゾヒズムな感情があったなんて。
 一華は気持ち良すぎて既に理性が飛びかけている頭でそう思った。

 いやいやと首を振る一華を見下ろしながら、そんなささやかな抵抗では痛くもかゆくもないと龍輝は思う。
 寧ろ、もっと足掻く姿が見てみたい。
 己の中のドSな部分に驚くも、一華になら解放しても大丈夫と開き直る。

 露わになった首すじへ、柔らかな唇を押し付けて動きを止めた。
 またヒクリと反応した一華に、今度は言葉でも責めて行く。

「乱れた一華も、見てみたい」

「そんな……言葉で責められたら」 
「感じちゃう?」
 頷く一華。
「良かった」
 流れるような動きで肩からバスローブを脱ぎ捨てると、龍輝は再度覆いかぶさった。

 涙目で見上げた一華の視線の先に、龍輝の胸板が照らし出されている。
 あれほど望んでいたシックスパックが形作られ始めていた。
 計算されつくしたような筋肉の動きは、無駄が無くて美しい。

 なんてカッコいいのかしら。これからあの胸に抱かれるのね。
 どうしよう……もう、体も心も熱くていられない!

 微笑む口元が迫ってきて、思わず視界を閉じる。
 塞がれた唇に全神経を集中させた。


 

  
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