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Episode4 プロデュース第三弾
石垣島ダイビング旅行 ④
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二人で順番にシャワーを浴びて、またベランダに立つ。なぜか二人とも、ミネラルウォーターのペットボトルを持っている。
今日は酔えない。酔ったらきっと……
互いに考えることは一緒のようで、二人して手元を見つめてから笑い合う。
海はもう射干玉色になり、星模様の空と交わっている。
波音が聞こえるかと思っていたが、プールサイドバーの音楽の方が大きい音だった。
光るプールの水面が綺麗だ。
「ナイトプールもしたいわね」
「休みは長いからね。きっとその間に入れるよ」
「うん」
そこで一華が恥じらうように下を向き、吹っ切ったように見上げてきた。
「私のすっぴん、驚いた?」
「え? すっぽん?」
「違う、違う」
一華が吹き出す。
「すっぴん。ノーメイク」
「ああ、化粧のことか」
驚いたように目を見開く龍輝。しげしげと一華の顔面を見つめた。
その視線に耐えられなくなって俯いたところへ、降ってくる声。
「すっぴんでも綺麗。だから気づいていなかった」
「うふふ。もう、嬉しいこと言ってくれる」
「本当のことだよ」
大真面目に切り返してきた。
「きっと、もっと美味しいと思う」
「何が?」
問いかけた一華の唇を食む。
「ほらね。やっぱりノーメイクの方が美味しい」
「……良かった」
こんなプレイボーイのような歯の浮くセリフ。いつの間に言えるようになったのかしら?
予想を上回る龍輝の化けぶりに、また驚かされた。
でも、ちらりと横の龍輝の顔を見上げれば、あまりに無邪気な笑顔で拍子抜けする。
気障なセリフ、わかって言ってるわけじゃなさそう。
きっと、本気で言っているのね。
私が綺麗だって証明したくて言ってくれた言葉に違いない。初手料理を美味しいと言ってくれた時みたいに。
それと―――本当にキスが美味しいと思っているんだわ。
きっと、ううん、絶対。
なんだか可笑しくなって、一華はまた「うふふ、嬉しい」と呟いた。
今日は酔えない。酔ったらきっと……
互いに考えることは一緒のようで、二人して手元を見つめてから笑い合う。
海はもう射干玉色になり、星模様の空と交わっている。
波音が聞こえるかと思っていたが、プールサイドバーの音楽の方が大きい音だった。
光るプールの水面が綺麗だ。
「ナイトプールもしたいわね」
「休みは長いからね。きっとその間に入れるよ」
「うん」
そこで一華が恥じらうように下を向き、吹っ切ったように見上げてきた。
「私のすっぴん、驚いた?」
「え? すっぽん?」
「違う、違う」
一華が吹き出す。
「すっぴん。ノーメイク」
「ああ、化粧のことか」
驚いたように目を見開く龍輝。しげしげと一華の顔面を見つめた。
その視線に耐えられなくなって俯いたところへ、降ってくる声。
「すっぴんでも綺麗。だから気づいていなかった」
「うふふ。もう、嬉しいこと言ってくれる」
「本当のことだよ」
大真面目に切り返してきた。
「きっと、もっと美味しいと思う」
「何が?」
問いかけた一華の唇を食む。
「ほらね。やっぱりノーメイクの方が美味しい」
「……良かった」
こんなプレイボーイのような歯の浮くセリフ。いつの間に言えるようになったのかしら?
予想を上回る龍輝の化けぶりに、また驚かされた。
でも、ちらりと横の龍輝の顔を見上げれば、あまりに無邪気な笑顔で拍子抜けする。
気障なセリフ、わかって言ってるわけじゃなさそう。
きっと、本気で言っているのね。
私が綺麗だって証明したくて言ってくれた言葉に違いない。初手料理を美味しいと言ってくれた時みたいに。
それと―――本当にキスが美味しいと思っているんだわ。
きっと、ううん、絶対。
なんだか可笑しくなって、一華はまた「うふふ、嬉しい」と呟いた。
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