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Episode2 プロデュース第一弾

馬子にも衣裳なんて言わせない (一華side)⑫

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 黒からターコイズブルーに変化へんげした一華は、水島と並んで歩きだそうとしてふと声をあげた。

「そう言えば……」
「どうかしましたか?」
「あの……名前……」
「え?」
「下の名前で呼んでくださって……嬉しかったです」
「あ、ああ、すみません。つい……鮮やかな色に着替えた草間さんを見たら、お名前の『一華さん』と言う響きがピッタリな方だなぁなどと考えていたものですから、つい、そのまま口に出してしまいました。お伺いもせずに勝手に呼んでしまってすみませんでした」

 焦ったようにペコリと頭を下げた水島に、一華は慌てて付け加えた。

「いえ、嬉しかったんです。だから、そのまま一華と呼んでいただけたらと思って」
「いいんですか?」
「はい」
「じゃあ、俺のことも龍輝と呼んでください」
「よろしいんですか?」
「ええ。その方が親しみが籠っていていいですよね」
「嬉しいです」

 こんなに早く名前呼びまで進展できると思っていなかったのでちょっと意外に思う。女性慣れしていないように見えて、案外デート慣れしているようだと考えて、即座に否定した。
 
 ちょっと違うかも。
 これは多分水島さんが元々持っているオープンな性格のおかげみたい。
 それに、名前の響きがピッタリなんて思ってもらえたこと、嬉しいわ。思ったよりロマンティストかも。
 

 さり気なく水島の腕に手を添えて、にっこりとおねだりした。

「龍輝さん」

 その呼びかけに、素直に瞳を輝かせる龍輝。
 その反応に、ふわりと胸が温かくなった一華。

「今度は龍輝さんのお洋服見たいです」
「え、男性物なんか見てもつまらないと思いますよ」
「そんなこと無いです。男性物を見るのも楽しいんです。おしゃれにタブーはありませんから、なんでもヒントになるんですよ。マニッシュに着こなしたい時なんか特に」
「マッシュルーム?」
「あはは。ちょっと違うかな。マニッシュ(mannish)は英語で「男性のような」と言う意味があるんです。つまり、男性物を女性がかっこよく着こなすことを言うんですよ」
「へー。色々ファッション用語も難しいですね。未知の世界だ」
「覗いて見ますか?」
「そう言うことなら、行ってみますか」

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