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墓穴を掘り始める

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先ほどまで体育だった為、自分を含め
クラスメート達は、制服に着替える事なく
体操着かジャージのままで授業を受けていた。

勿論、久藤も上ジャージ、下短パン…
さっき擦り剥いた両膝に絆創膏を貼られていた。

あの絆創膏は、私があげたものではない。

籠山「…はぁ」

「籠山、ため息ついてるって事は、
分からないところでもあるのか?」

英語の先生に指摘され、
小テスト中に声掛けて来んなよと
手でバツを作る。

「そうかそうか、
じゃあ、放課後資料室の片付けな」

籠山「え、なんで…」

「小テスト中は、私語厳禁だからな」

籠山「ため息は、息ですよ」

「今、喋ってるだろ」

とんだ策士だ、多分資料室片付けの
人員探しをしてたんだろう…
私に白羽の矢が立ってしまったなと、
これ以上、反論すると
もっと面倒事を押し付けられそうだ。

籠山「分かりました」

「そう言ってくれると思ってたぞ」

言わせたんだろと思う。



放課後…
人気のない資料室…
好きな人と2人きり…

籠山「なんてやらしいんだ」

久藤「…え?」

放課後の資料室の片付けに、
何故か久藤も来た。

久藤「…やらしいって?」

そして、凄い困惑した顔を向けられている。

籠山「ほら、よく恋愛漫画とかで
事が起こるシチュエーションだなって」

また、何言ってんだ私と久藤に顔を逸らされるが
私の口は止まらない。

籠山「人気が無くて、
そういう事するとしたら最適な場所的な?はは」

なんか…死にたくなって来た…

籠山「はは」

全然面白く無い下ネタだよと、
心臓が押し潰されそうだ。

久藤「…籠山さん、顔真っ赤だよ」

籠山「ゆでだこ的な、はは」

私はきっと気持ち悪い笑顔を久藤に向けている。

籠山「あばよっ」

私は普段言わない捨て台詞を言い廊下に出て、
たまらず走り出した。

籠山「…はッ…はッ…」

普通、こんなんなる⁈

え、好きな人出来た途端に私やばくね?

自分でも引くわ!

水道前に着き、頭を
蛇口の下に入れ全開まで捻った。

バシャーッ

水が跳ねても構うものか…
とにかく、頭を冷やさないと…

籠山「ブクブクブクブクッ」

矛井「うおっ何やってんだよ⁈」

後ろから肩を掴まれ、蛇口に頭をぶつけながら
顔を上げる。

矛井「籠山⁈」

籠山「心頭を滅却すれば火もまた涼し」

矛井「は?何言ってんだよッ
とにかく、びしょ濡れだから…あー
コレ貸すから!」

矛井は着ていたカーディガンを脱ぎ
差し出して来た為、私はすぐに受け取り
袖を通す。

矛井「何で、濡れたまま着るんだよッ
普通、脱いでからだろ!
あーほらカーディガンが既に濡れたじゃん」

籠山「すまんな」

矛井「…何がすまんなだよ!
水止めろよ!つか、キャラ変?」

矛井は同じ中学で3年間クラスも一緒だった為、
私の事を多少なりと知った上で
キャラがおかしくなっていると
分かったのだろう。

籠山「どうキャラ変してるように見えてる?」

矛井「どうって、まず水道で頭から
水被るような事はしねーだろ」

籠山「いや、私の頭に何か起こった場合、
やってたかもよ」

矛井「面倒くせーな、
何、頭になんか掛かったのか?」

籠山「掛かってないよ、
頭を冷やしてたんだ」

矛井「ワイルドだな、籠山…
で、頭ぶつけたとか?」

籠山「たんこぶとかでは無くて、
自分自身を諌めていた」

矛井「何だそら」

矛井にまで困惑な顔を向けられるが
久藤よりはマシだ。

矛井「とにかく、この真冬にやる事じゃねーだろ。
風邪引く前に着替えろよな」

籠山「あぁ確かに、
風邪引いたら頭冷えないか」

矛井「何言ってんだよ」

バタバタと走ってくる足音が聞こえ、
音の方を細目で見ると久藤だった。

矛井「ん?あれ」

キュッバシャーッ

矛井「おい!止めろ!」

ガラガラッ

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