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恋は盲目
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私には、優しい彼氏が居る。
彼は誰にでも優しい…
それは、嫌な人に対してもだ。
「その人、野良猫に虐待してるよ」
彼「そうなんだ…」
「そんな人にでも、優しくするの?」
彼「うん」
「殺された猫達は報われないね。
動物を虐待してる人は、
不幸にならないといけないのに」
彼「俺はみんなが幸せになる世界がいいな」
「戯言だね」
でも、そんな彼の事が好きだった。
彼「最近、この辺物騒だね。
また、事件があったみたいなんだ」
「気を付けないとだね」
~
彼と付き合って3ヶ月が経とうとしてた時、
それは、いきなりだった。
彼「あのね、あの子には俺が居ないと
いけなくて…だから、別れて欲しいんだ」
優しい彼は、私に別れ話をしてきた。
今後、彼は私の隣ではなく
別の女の隣で優しく微笑むのか…
「分かった」
優しく微笑む彼の顔を歪ませたくなく、
私は二つ返事で承諾した。
彼「…ありがとう」
私の返事を聞いて、彼は優しく微笑んだ。
~
それから、数週間後
元彼「彼女が死んでしまったんだ」
今日まで、音信不通だったのに
突然家にまで来て、その報告をして来た。
「…え」
元彼「どうして?」
「知らないよ…付き合ってたなら、
何か思い当たる節はないの?」
元彼「ないよ」
何の迷いもなく返答され、
悲しそうな顔していたのに
いつの間に、優しそうに微笑み出した。
元彼「でもね、俺が支えないといけない子が
また居るんだ」
「…はあ」
彼女が死んだって報告の後に、
新しい女って、どうなんだ?
元彼「付き合う事になったんだ」
「…そうなんだ」
元彼「俺、幸せになるよ」
元彼は私の手を握り、帰って行った。
「なんなんだろ…」
ぶっちゃけ、私は彼に未練が有った。
だから、連絡先を削除せずにいたが、
また新しい女が出来たのなら後腐れない…
私は、スマホから彼の連絡先を削除した。
~
それから、また数週間後_
元彼はまた私の元にやって来た。
元彼「また、彼女が死んでしまったんだ」
「…なん…で」
元彼「でも、俺の事が好きだと言ってくれる子が
居てね、その子と付き合う事になったんだ」
「…」
元彼「俺、幸せになるよ」
そう報告だけして、帰って行った。
「…なんなの?」
なんでいちいち報告してくるの?
それに、私は前まで住んでいたマンションを
引っ越していたのに、何でここを知ってるんだ?
~
そして、また元彼は朝夜関係無く
何度も私の元に報告しにやって来る。
元彼「また…彼女が死んでしまった」
「…」
元彼「でも、また俺と恋人になりたいって
言った子がいて、彼女のお腹にはね、
俺の子が居るんだ」
「…」
元彼「元気な子が生まれたら、
抱っこしてよ」
「…」
元彼「俺、幸せになるよ。
またね」
「…いや、またねじゃなくて」
私の言い分を聞かないまま、
元彼は帰って行った。
~
また悲報と次の報告をしに来た。
元彼「彼女が流産してしまったんだ」
「…」
元彼「それで病んでしまって、
自殺してしまったんだ」
「…」
元彼「でもね、また彼女が出来て」
「…」
元彼「幸せになるね」
~
また来た…
元彼「彼女が死んでしまって」
何人彼女死んでんだよ。
「あんた異常だよ」
こうやって元彼が私の元に報告しに来てから
かれこれ5年が経過した。
つまり、別れて5年は経過している。
この5年間で、元彼は何人も女が出来て
死んで、新しい女が出来て死んでを
繰り返している。
元彼「でも、また俺との子が欲しいって子が居てね。
その子と籍を入れる事にしたよ」
付き合っていた時は、
優しい彼に夢中だった。
恋は盲目って、マジなんだな…
こんな得体も知れない、やばい奴だったとは…
「もう来ないで」
私は元彼の押し退け、ドアを閉めた。
元彼「今度こそ、幸せになるから」
ドアの外でそう言われるが、
私は鍵を閉めた。
~
性懲りも無くまた…
前回の私の言葉が通じていなかった。
元彼「また事故で死んじゃったんだ。
でも、俺と結婚したいって子がいて
今度プロポーズするんだ」
別れた奴の事なんて、知ったこっちゃないのに
自ら知らせに来やがる。
何度も変えた連絡先をどこからか入手し、
連絡を寄越してくる。
連絡を無視すると、家にまで入ってくる。
元彼「それでね」
こいつ、絶対人殺しでしょ…
警察に相談しようにも、
こいつの証言だけで
実際に殺しの現場を見たわけじゃ無いし、
死んでる彼女達の身元なんて分からない。
それに私に対して、実害が無いのが
1番厄介だ。
時間帯は深夜だが、報告しに来てるだけで
コレを実害と言えるのか?
家や連絡先を調べられてるから、
コレってストーカー行為なんじゃないか?
何をどう言えば、
警察は聞き入ってくれるのか?
元彼「俺、幸せになってみせるね」
そんな事言って、また彼女を殺すんだろう。
元彼「君も…いや、またね」
元彼は何かを言おうとしたが、
やめたみたいだ。
ガチャンとドアが閉まり、
私は中から鍵を閉める。
「私も幸せになれってか?」
ふざけんなよ…無理に決まってんだろ。
彼は誰にでも優しい…
それは、嫌な人に対してもだ。
「その人、野良猫に虐待してるよ」
彼「そうなんだ…」
「そんな人にでも、優しくするの?」
彼「うん」
「殺された猫達は報われないね。
動物を虐待してる人は、
不幸にならないといけないのに」
彼「俺はみんなが幸せになる世界がいいな」
「戯言だね」
でも、そんな彼の事が好きだった。
彼「最近、この辺物騒だね。
また、事件があったみたいなんだ」
「気を付けないとだね」
~
彼と付き合って3ヶ月が経とうとしてた時、
それは、いきなりだった。
彼「あのね、あの子には俺が居ないと
いけなくて…だから、別れて欲しいんだ」
優しい彼は、私に別れ話をしてきた。
今後、彼は私の隣ではなく
別の女の隣で優しく微笑むのか…
「分かった」
優しく微笑む彼の顔を歪ませたくなく、
私は二つ返事で承諾した。
彼「…ありがとう」
私の返事を聞いて、彼は優しく微笑んだ。
~
それから、数週間後
元彼「彼女が死んでしまったんだ」
今日まで、音信不通だったのに
突然家にまで来て、その報告をして来た。
「…え」
元彼「どうして?」
「知らないよ…付き合ってたなら、
何か思い当たる節はないの?」
元彼「ないよ」
何の迷いもなく返答され、
悲しそうな顔していたのに
いつの間に、優しそうに微笑み出した。
元彼「でもね、俺が支えないといけない子が
また居るんだ」
「…はあ」
彼女が死んだって報告の後に、
新しい女って、どうなんだ?
元彼「付き合う事になったんだ」
「…そうなんだ」
元彼「俺、幸せになるよ」
元彼は私の手を握り、帰って行った。
「なんなんだろ…」
ぶっちゃけ、私は彼に未練が有った。
だから、連絡先を削除せずにいたが、
また新しい女が出来たのなら後腐れない…
私は、スマホから彼の連絡先を削除した。
~
それから、また数週間後_
元彼はまた私の元にやって来た。
元彼「また、彼女が死んでしまったんだ」
「…なん…で」
元彼「でも、俺の事が好きだと言ってくれる子が
居てね、その子と付き合う事になったんだ」
「…」
元彼「俺、幸せになるよ」
そう報告だけして、帰って行った。
「…なんなの?」
なんでいちいち報告してくるの?
それに、私は前まで住んでいたマンションを
引っ越していたのに、何でここを知ってるんだ?
~
そして、また元彼は朝夜関係無く
何度も私の元に報告しにやって来る。
元彼「また…彼女が死んでしまった」
「…」
元彼「でも、また俺と恋人になりたいって
言った子がいて、彼女のお腹にはね、
俺の子が居るんだ」
「…」
元彼「元気な子が生まれたら、
抱っこしてよ」
「…」
元彼「俺、幸せになるよ。
またね」
「…いや、またねじゃなくて」
私の言い分を聞かないまま、
元彼は帰って行った。
~
また悲報と次の報告をしに来た。
元彼「彼女が流産してしまったんだ」
「…」
元彼「それで病んでしまって、
自殺してしまったんだ」
「…」
元彼「でもね、また彼女が出来て」
「…」
元彼「幸せになるね」
~
また来た…
元彼「彼女が死んでしまって」
何人彼女死んでんだよ。
「あんた異常だよ」
こうやって元彼が私の元に報告しに来てから
かれこれ5年が経過した。
つまり、別れて5年は経過している。
この5年間で、元彼は何人も女が出来て
死んで、新しい女が出来て死んでを
繰り返している。
元彼「でも、また俺との子が欲しいって子が居てね。
その子と籍を入れる事にしたよ」
付き合っていた時は、
優しい彼に夢中だった。
恋は盲目って、マジなんだな…
こんな得体も知れない、やばい奴だったとは…
「もう来ないで」
私は元彼の押し退け、ドアを閉めた。
元彼「今度こそ、幸せになるから」
ドアの外でそう言われるが、
私は鍵を閉めた。
~
性懲りも無くまた…
前回の私の言葉が通じていなかった。
元彼「また事故で死んじゃったんだ。
でも、俺と結婚したいって子がいて
今度プロポーズするんだ」
別れた奴の事なんて、知ったこっちゃないのに
自ら知らせに来やがる。
何度も変えた連絡先をどこからか入手し、
連絡を寄越してくる。
連絡を無視すると、家にまで入ってくる。
元彼「それでね」
こいつ、絶対人殺しでしょ…
警察に相談しようにも、
こいつの証言だけで
実際に殺しの現場を見たわけじゃ無いし、
死んでる彼女達の身元なんて分からない。
それに私に対して、実害が無いのが
1番厄介だ。
時間帯は深夜だが、報告しに来てるだけで
コレを実害と言えるのか?
家や連絡先を調べられてるから、
コレってストーカー行為なんじゃないか?
何をどう言えば、
警察は聞き入ってくれるのか?
元彼「俺、幸せになってみせるね」
そんな事言って、また彼女を殺すんだろう。
元彼「君も…いや、またね」
元彼は何かを言おうとしたが、
やめたみたいだ。
ガチャンとドアが閉まり、
私は中から鍵を閉める。
「私も幸せになれってか?」
ふざけんなよ…無理に決まってんだろ。
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