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召喚された理由
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ラディも同じように驚いていたなぁ、と思い出す。
こうして初対面の人とも普通に話ができるなんて、あの頃の私では考えられなかった。
(これも、ラディのおかげ……なんだよね)
思い返せば、ラディは私のためにいろいろしてくれていた。けど、私は紺碧の瞳の奥に見える嘘の影を感じて……
考え込んでいると、マレが青髪を揺らしながら額を押さえて天を仰いだ。
「うわぁ……まさか、そんな世界があるなんて」
「一日の半分も闇の時間なんて、マジでありえねぇ」
大げさすぎる程の動作で驚きを表す面々。
タレ目を閉じて唸るように言ったカエルムの隣で、顔を青くしたペトラが私に訊ねた。
「闇の時は何をして過ごしますの? 暗くて何も見えないと思いますが」
「起きている人もいるけど、普通は寝るから……」
ここまで言って、私はしまった! と思った。
この世界には『寝る』という行為がない。そのため、ラディはなかなか理解できず、それどころか信じてももらえず、説明にすごく苦労した。
案の定、ペトラが不思議そうな顔で私を見つめる。
「『寝る』? 『寝る』とは、どのようなことなのでしょう?」
たぶん、このまま説明しても理解してもらえず、かなりの時間がかかるだろう。
(あの面倒なことをしたくない)
私はラディから聞いた、この世界にある似た行為を例に出すことにした。
「回復するためにボーとする時間があるでしょ? それを夜の間にしているの」
ボーとしている間は意識があるし、会話もできるので、睡眠とは違うけど、これが一番近い。
私の説明にペトラがおっとりと頷く。
「だしかに闇の中では動けませんから、そのように過ごすのが無難ですね」
「けど、闇の中で休めるか? オレは絶対無理だ。不安すぎる」
カエルムの疑問にマレが綺麗な眉を寄せて同意する。
「ボクも、できないな」
「あたしも無理だわ」
胸の前で腕を組んで深く頷くフランマ。
そんな面々を見ながら私はそこまで驚くことかと逆に驚いた。
隣に視線をずらすと、ピンクの目を丸くしたままキョトンとした顔のエカリスが。丸い瞳が大きくなり、口を少しだけ開けて呆然と私を見つめる。
どんな表情も可愛いけど、これはこれでまた可愛い。
(幼女のキョトン顔、ありがとうございます)
心の中で手を合わせて拝んでいると、我に返ったイーンシーニスが声を響かせた。
「闇に慣れており、闇の中で動ける。これで『星読みの聖女』が異世界の人である理由が分かりました」
「そういえば『星読みの聖女』って、何なの?」
前の世界で『星読みの令嬢』と呼ばれていたけど、この世界は夜がなく星が見えない。それどころか、星の存在も知っているのか怪しい。
それなのに『星読み』という言葉があるとは、どういうことなのか。
私の質問にイーンシーニスが答える。
「『星読みの聖女』は闇を殺せる存在と伝わっております」
「伝わる? 伝承なの?」
「はい。闇を殺せる存在として、召喚術とともに」
「それなんだけど、闇って夜のことでしょ? 夜を殺すって、どういうこと?」
「いえ。この場合の闇とは、人のことです」
私は首を捻って考えた。
「闇が人? よく分からないんだけど」
「闇を管理している人、と言えば分かりますか?」
ハッとした私はその場にいる人たちの髪を見た。
気温を管理している火炎管理人は赤髪。
水系を管理している水海管理人は青髪。
気候を管理している風音管理人は緑髪。
重力を管理している地中管理人は茶髪。
規律を管理している節制者は白髪。
なら、闇を管理している人の髪の色は?
私は嫌な予感がした。日食と同時に現れた彼を思い出す。
「誰が、闇を管理しているの?」
シーンと空気が凍る。
耳が痛くなるほどの静寂の中、感情の見えない水色の瞳が私を射抜いた。
「会ったのではありませんか? 先程、時間軸の太陽が姿を消した時に」
脳裏に蘇る真っ黒な長い髪。ラディが青年へと成長したような顔。でも、その表情は幼く、紺碧の瞳は純粋で、その様相は無垢な子どもそのもので。
「……あの子が、闇を管理しているの?」
静かな空間に私の声が響く。
「……私に、あの子を殺せっていうの?」
誰も何も言わない。
だけど、それは肯定としか思えない無言と静寂で。
(あの子は私に「早く、僕を殺して、ね」と言った。それは、このことを意味していた……?)
私は両手でテーブルを叩いた。
「どうして、そんなことをしないといけないの!?」
怒鳴った私にイーンシーニスが淡々と説明をする。
「闇を管理する者がいなければ、闇は消滅します。そうすれば、私たちは闇に怯えて過ごさなくてよくなります」
私はカリッと爪でテーブルをかいた。
「そんなことで闇が消えるわけないじゃない! それに、自分たちのために、あの子を殺すっていうの!? この世界では、そんな勝手が許されるの!?」
頭に血がのぼった私を諫めるように鋭い声が走る。
「もちろん、それだけではありません」
水色の瞳が私を黙らせる。
「世界樹を守るため、です」
初めて聞く単語に勢いがそがれる。
「世界樹?」
イーンシーニスが宙に手を振った。
それだけでテーブルの中心に巨大な木の映像が現れる。
広大な湖の真ん中にそびえたつ大木。空いっぱいに枝を伸ばし、緑の葉をつけている……が、一部の葉は赤くなったり、黄色くなったり、枯れたりしている。
「先程、時間軸の太陽が姿を消した間だけで、複数の暗獣が生まれ、これだけの世界樹の葉が枯れました」
「暗獣?」
「闇の獣です。光を浴びれば消えます」
日食の時に感じた獣の気配は暗獣だったのかもしれない。
そう納得した私は、もう一つの気になったことを聞いた。
「葉が枯れると問題があるの?」
「大ありです。世界樹は生命の樹で、この世界の命の半分はこの樹より生まれます。このまま葉が枯れれば世界樹自体が枯れ、命が生まれなくなります」
樹から生命が生まれるという時点でいろいろ理解がおいつかないけど、この何でもアリな世界ならあるのだろう。と、妙に納得してしまった。
「つまり、光がなくなると世界樹が枯れて命が生まれなくなるってこと?」
「はい。あの短時間で、複数の暗獣が生まれ、これだけの葉が枯れました。あれ以上に長い時間の闇が訪れたら、世界樹は……」
再び落ちる沈黙。
まるでお通夜のようだけど……
「けど、世界の半分ってことは、それ以外から生まれる命もあるってことよね?」
「確かにありますが……だからと言って、世界樹が枯れて良いわけではありません」
イーンシーニスが言うことも分かる……けど。
「……だからって、あの子を殺して良いわけじゃないでしょ」
白い髪が水色の瞳を隠す。
「これから生まれる命のためです」
その言葉に私は椅子から立ち上がった。
「私は納得できない! そもそも、この世界には存在しない夜を恐れて、あの子を殺すなんて……」
ここで私は書籍館で書いていたメモを思い出した。
(まだ計算途中だったけど、あれは……)
言葉を切った私をイーンシーニスが追い詰める。
「あなたは気づいているんじゃないですか? もうすぐ、闇……あなたの言葉でいう、夜が訪れることを」
「それは、ちゃんと計算してみないと……」
そう言いながら目を伏せる。私は何となく気づいている。この世界に夜が来ることを。それも、そう遠くない時期に。
「私たちには、時間がありません」
十二の目が私を見つめる。
「大量の暗獣が生まれ、世界樹が枯れる事態を防ぐために、あなたの力が必要なのです」
フランマが低い声に圧をのせて話す。
「あたしたちも、これが良いことだと思ってはいないわ」
「ボクたちも他に良い方法があるなら、それを選ぶよ」
マレの意見にカエルムが同意する。
「現状では、これが最善の策なんだ」
「この策は人々の総意で、私たちは代表として集まっております」
ペトラの言葉に、私は両手を握りしめた。キツく目を閉じて声を絞り出す。
「……私は、あの子を殺すために召喚されたの?」
処刑される寸前だった私がこの世界に召喚されて助けられた。
でも、それは他の命を奪うためだったなんて……
(なんていう皮肉だろ)
私は唇を噛みしめた。
こうして初対面の人とも普通に話ができるなんて、あの頃の私では考えられなかった。
(これも、ラディのおかげ……なんだよね)
思い返せば、ラディは私のためにいろいろしてくれていた。けど、私は紺碧の瞳の奥に見える嘘の影を感じて……
考え込んでいると、マレが青髪を揺らしながら額を押さえて天を仰いだ。
「うわぁ……まさか、そんな世界があるなんて」
「一日の半分も闇の時間なんて、マジでありえねぇ」
大げさすぎる程の動作で驚きを表す面々。
タレ目を閉じて唸るように言ったカエルムの隣で、顔を青くしたペトラが私に訊ねた。
「闇の時は何をして過ごしますの? 暗くて何も見えないと思いますが」
「起きている人もいるけど、普通は寝るから……」
ここまで言って、私はしまった! と思った。
この世界には『寝る』という行為がない。そのため、ラディはなかなか理解できず、それどころか信じてももらえず、説明にすごく苦労した。
案の定、ペトラが不思議そうな顔で私を見つめる。
「『寝る』? 『寝る』とは、どのようなことなのでしょう?」
たぶん、このまま説明しても理解してもらえず、かなりの時間がかかるだろう。
(あの面倒なことをしたくない)
私はラディから聞いた、この世界にある似た行為を例に出すことにした。
「回復するためにボーとする時間があるでしょ? それを夜の間にしているの」
ボーとしている間は意識があるし、会話もできるので、睡眠とは違うけど、これが一番近い。
私の説明にペトラがおっとりと頷く。
「だしかに闇の中では動けませんから、そのように過ごすのが無難ですね」
「けど、闇の中で休めるか? オレは絶対無理だ。不安すぎる」
カエルムの疑問にマレが綺麗な眉を寄せて同意する。
「ボクも、できないな」
「あたしも無理だわ」
胸の前で腕を組んで深く頷くフランマ。
そんな面々を見ながら私はそこまで驚くことかと逆に驚いた。
隣に視線をずらすと、ピンクの目を丸くしたままキョトンとした顔のエカリスが。丸い瞳が大きくなり、口を少しだけ開けて呆然と私を見つめる。
どんな表情も可愛いけど、これはこれでまた可愛い。
(幼女のキョトン顔、ありがとうございます)
心の中で手を合わせて拝んでいると、我に返ったイーンシーニスが声を響かせた。
「闇に慣れており、闇の中で動ける。これで『星読みの聖女』が異世界の人である理由が分かりました」
「そういえば『星読みの聖女』って、何なの?」
前の世界で『星読みの令嬢』と呼ばれていたけど、この世界は夜がなく星が見えない。それどころか、星の存在も知っているのか怪しい。
それなのに『星読み』という言葉があるとは、どういうことなのか。
私の質問にイーンシーニスが答える。
「『星読みの聖女』は闇を殺せる存在と伝わっております」
「伝わる? 伝承なの?」
「はい。闇を殺せる存在として、召喚術とともに」
「それなんだけど、闇って夜のことでしょ? 夜を殺すって、どういうこと?」
「いえ。この場合の闇とは、人のことです」
私は首を捻って考えた。
「闇が人? よく分からないんだけど」
「闇を管理している人、と言えば分かりますか?」
ハッとした私はその場にいる人たちの髪を見た。
気温を管理している火炎管理人は赤髪。
水系を管理している水海管理人は青髪。
気候を管理している風音管理人は緑髪。
重力を管理している地中管理人は茶髪。
規律を管理している節制者は白髪。
なら、闇を管理している人の髪の色は?
私は嫌な予感がした。日食と同時に現れた彼を思い出す。
「誰が、闇を管理しているの?」
シーンと空気が凍る。
耳が痛くなるほどの静寂の中、感情の見えない水色の瞳が私を射抜いた。
「会ったのではありませんか? 先程、時間軸の太陽が姿を消した時に」
脳裏に蘇る真っ黒な長い髪。ラディが青年へと成長したような顔。でも、その表情は幼く、紺碧の瞳は純粋で、その様相は無垢な子どもそのもので。
「……あの子が、闇を管理しているの?」
静かな空間に私の声が響く。
「……私に、あの子を殺せっていうの?」
誰も何も言わない。
だけど、それは肯定としか思えない無言と静寂で。
(あの子は私に「早く、僕を殺して、ね」と言った。それは、このことを意味していた……?)
私は両手でテーブルを叩いた。
「どうして、そんなことをしないといけないの!?」
怒鳴った私にイーンシーニスが淡々と説明をする。
「闇を管理する者がいなければ、闇は消滅します。そうすれば、私たちは闇に怯えて過ごさなくてよくなります」
私はカリッと爪でテーブルをかいた。
「そんなことで闇が消えるわけないじゃない! それに、自分たちのために、あの子を殺すっていうの!? この世界では、そんな勝手が許されるの!?」
頭に血がのぼった私を諫めるように鋭い声が走る。
「もちろん、それだけではありません」
水色の瞳が私を黙らせる。
「世界樹を守るため、です」
初めて聞く単語に勢いがそがれる。
「世界樹?」
イーンシーニスが宙に手を振った。
それだけでテーブルの中心に巨大な木の映像が現れる。
広大な湖の真ん中にそびえたつ大木。空いっぱいに枝を伸ばし、緑の葉をつけている……が、一部の葉は赤くなったり、黄色くなったり、枯れたりしている。
「先程、時間軸の太陽が姿を消した間だけで、複数の暗獣が生まれ、これだけの世界樹の葉が枯れました」
「暗獣?」
「闇の獣です。光を浴びれば消えます」
日食の時に感じた獣の気配は暗獣だったのかもしれない。
そう納得した私は、もう一つの気になったことを聞いた。
「葉が枯れると問題があるの?」
「大ありです。世界樹は生命の樹で、この世界の命の半分はこの樹より生まれます。このまま葉が枯れれば世界樹自体が枯れ、命が生まれなくなります」
樹から生命が生まれるという時点でいろいろ理解がおいつかないけど、この何でもアリな世界ならあるのだろう。と、妙に納得してしまった。
「つまり、光がなくなると世界樹が枯れて命が生まれなくなるってこと?」
「はい。あの短時間で、複数の暗獣が生まれ、これだけの葉が枯れました。あれ以上に長い時間の闇が訪れたら、世界樹は……」
再び落ちる沈黙。
まるでお通夜のようだけど……
「けど、世界の半分ってことは、それ以外から生まれる命もあるってことよね?」
「確かにありますが……だからと言って、世界樹が枯れて良いわけではありません」
イーンシーニスが言うことも分かる……けど。
「……だからって、あの子を殺して良いわけじゃないでしょ」
白い髪が水色の瞳を隠す。
「これから生まれる命のためです」
その言葉に私は椅子から立ち上がった。
「私は納得できない! そもそも、この世界には存在しない夜を恐れて、あの子を殺すなんて……」
ここで私は書籍館で書いていたメモを思い出した。
(まだ計算途中だったけど、あれは……)
言葉を切った私をイーンシーニスが追い詰める。
「あなたは気づいているんじゃないですか? もうすぐ、闇……あなたの言葉でいう、夜が訪れることを」
「それは、ちゃんと計算してみないと……」
そう言いながら目を伏せる。私は何となく気づいている。この世界に夜が来ることを。それも、そう遠くない時期に。
「私たちには、時間がありません」
十二の目が私を見つめる。
「大量の暗獣が生まれ、世界樹が枯れる事態を防ぐために、あなたの力が必要なのです」
フランマが低い声に圧をのせて話す。
「あたしたちも、これが良いことだと思ってはいないわ」
「ボクたちも他に良い方法があるなら、それを選ぶよ」
マレの意見にカエルムが同意する。
「現状では、これが最善の策なんだ」
「この策は人々の総意で、私たちは代表として集まっております」
ペトラの言葉に、私は両手を握りしめた。キツく目を閉じて声を絞り出す。
「……私は、あの子を殺すために召喚されたの?」
処刑される寸前だった私がこの世界に召喚されて助けられた。
でも、それは他の命を奪うためだったなんて……
(なんていう皮肉だろ)
私は唇を噛みしめた。
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