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平穏な日々

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 私は皇帝の子だが、双子の弟であったため忌み子として処分される運命だった。

 それを不憫に思ったのか、遠い親戚となる隣国の公爵が私を引き取り育てた。このまま、己の出自など知らず公爵の子として一生を隣国で終えるはずだった……のだが。

 十年前に父である皇帝と母である妃が急死。双子の兄が5歳で帝位を継いだ。その時はまだ自分とは関係なかったが、つい先日、双子の兄が病死。

 その瞬間、自分の体に異変が起きた。

 全身を強大な魔力に包まれ、皇帝の証である紋章が額に発現。育ての親である公爵から自分の生まれについて説明され、現実を受け入れる間もなく帝国から迎えが現れた。
 こうして、私はこの数日で皇帝となり結婚までしていた。

「皇帝が受け継ぐ魔力、か……」

 帝国を維持するため代々の皇帝に受け継がれている魔力。この魔力がなければ皇帝とは認められない。
 だが魔力だけで国は成り立たない。国政の勉強と執務に忙殺される日々。公爵家で学んだことも役立っているが、それでも知識が全然たりず。

 政略結婚とはいえ少女と顔を合わす余裕もなく、気が付けば数年が過ぎていた。

 それでも少女は私の命令を守り、可愛くあった。
 柔らかな金髪を飾る花で季節を知り、大人びていく顔で過ぎた年月を感じる。幼さを残していた体は豊満になったが、ドレスは可愛らしいまま。

 その姿に癒しを覚えるようになったのは、いつ頃からか。

 少女が頻繁にお茶会を開催し、そのお茶会より多くの金額を消費していることは知っていた。しかし、可愛く穏やかに過ごせるのであれば、金銭など些細なこと。


 そう考えていたのだが――――




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