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神 立 (三)

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 白い冠のような雪を戴く山々が連なり、深い渓谷の狭間にある洞窟の中で暖をとった。通り口は狭かったのだけれど、這うようにして潜っていくと、広く温かい空洞に出た。剥き出しの岩肌には、さらに奥へ続いている穴が、さながら蜂の巣のようにぽっかりと浮かんでいるように見えた。
 外は猛吹雪なのに、内は別世界が拡がっていた。
 もともと古き時代の神立かんだちの人たちは、こんな洞窟で暮らしていたらしい。獣の肉をき、脂を砕き溶かしたものを樽に溜め、こよりをさし火をともしている。そのような明かりのとり方は初めてみた。
 洞窟から洞窟へとつながる小さなあなから、絶えず新鮮な風の流れがあって、息苦しくもなく、ほどよい冷気と水鍋の湯気が混ざり、こういう場所なら、長く暮らすことができそうだと、驚くことばかりだった。

 小太郎が負った傷は深そうであった。
 休賀斎の老公が手当をしていたが、効を奏したのは、秀華姫の侍女が洞窟の入り口付近に群生していた草の葉を煎じて飲ませたり、細かく刻んだ煮汁を傷口に塗ったおかげだと、しきりに老公は感嘆していた。おそらく母国ではそのようにして戦で傷を負った人たちを治してしたのかもしれない。
 秀華姫の具合もあまりよくないらしく、その侍女はかいがいしく姫にもなにか煎じたものを飲ませ、熱をもったからだを丁寧に拭いていた。その隣で笹も手伝い、彦左といえばときおり二人の少女に筆談でこそこそと話してした。もっとも互いのことばが通じるはずもなく、お遊びごとのようにもみえた。ときに秀華姫は侍女と互いの掌を擦りあっていた。
 皇女の妹の優華姫とは能登ではぐれたままであるらしい。ことばを解せないこの国で、しかも得体の知れない連中に追われながらの秀華姫の逃避行と比べれば、新城しんしろを出てからのわたしは旅をしているようなものだと思えてきた。気楽な旅ではないにしても、この異国の姫らのそれとは異質のものであったろう。
 ふしぎとわたしの妹のようにも思えてきた。

 ちなみに、わたしには妹はいないが、二歳の弟がいる。異母弟である。
 わたしの母の侍女の一人が、かれの母親であった。父は、よりによって、なぜ、わざわざ母の侍女に手をつけたのだろうか。
 母は、以前は、今川家の血を受け継いでいる自分を誇りに思い、その一点を生きる源泉としていたけれど、岡崎にきてからは、没落した名門の血に負い目を感じて、つねに控えめにじっと蔭で耐えていた。そんな母の挙動が変り出したのは、やはり、二年前のわたしの異母弟の誕生からであったような気がする。その頃から、母はしばしば癇癪かんしゃくをおこすようになった。わたしはといえば兄信康への想いを強めていた頃で、母と接することをなぜか避けるようになって、ほとんど顔を合わせない日が続いていた。
 かりに、このような洞窟のなかで、父や兄や母とともに静かに暮らしていたならば、もっと異なった世界が訪れていたにちがいない。それにしても、なぜ、父は、母の侍女に手をつけたのか。他で隠れて側妾を持つことも容易にできたはずなのに、どうして、あてつけるように母の侍女に……。
 手をつける、という云いざまは、女人のわたしには、どうしても好きにはなれない。

 抱く、れる、といった直截ちょくさいな云いようのほうが、よっぽど、ましだとおもう。まぐわいのこと、房事は、それなりに、意味のあるものなのだろう。
 長らく夫の信昌どのと肌を合わせていないわたしには、からだの奥のうずきのありようが、それなりに理解できるようになっていた。ときに、性の欲望は、人を人たらしめる目に見えないのりのような働きをする。
 つまりは子をはらむということは、欲望の残滓ざんしのようなものかもしれないけれど、別の見方をすれば、家と家の絆を太くする種子でもあるのだろう。もとより、血の絆は、この時代にはそれほどの意味は持たないのだろうけれど、次代へと受け継ぐなにかを託しているようにも思えてきてならないのだ。

 世の人々は、おのが宿命というものを、どのように受けとめ、どんな苦悩に身悶えしてきたのだろうか。
 ふいにわたしは立ち上がり、洞窟の奥で、秀華姫と侍女のふたりの間に座った。汚れがこびりついているのか、顔に色はなかった。背丈はわたしとほとんど変わらない。寒さをこらえているのか、見知らぬ人に囲まれておびえているのか、わからない。
 大海を渡って、異国に渡り、さらに流浪の旅を続けなければならないとは、あまりにも哀しいことだ。できれば、新城しんしろへ連れていき、静かに暮らすみちをさがしてあげたいともおもった。

「それは、なるまいぞ、なるまいぞよ」

 わたしの思念を察してか、すかさず休賀斎の老公がやんわりと釘を刺した。

「……このように申しては不服であろうが、厄介ごとを招くことは断じて避けねばならぬ」

 すると彦左が鋭い目付きになって、老公を睨んだ。

「なれば、ご老公は、秀華さまらを見殺しにせよと仰せかっ」

 いつになく激しい彦左の語調に驚いたわたしは、なんとかせねばと考えてはいたものの一向に口のをついて出ることばが見つからなかった。
 気まずい空気を振り払おうとしかけたとき、兵太郎が武将を連れて洞窟のなかに入ってきた。かのどのであった。

「堺の天満屋が焼き払われたそうだ!順慶どの密偵が報せてくれた」

 その言葉に、佐助と弥右衛門が息を呑み、おそらく洞窟には天満屋ゆかりの雇われ牢人たちもいたのだろう、座は一気に緊張した。

「それで、屋敷の者らの消息はいかに?」

 弥右衛門が訊ねると、
安堵あんどいたすがよい!」
と、すかさず兵太郎が応じた。

「……事前に危機を察したようで、番頭が采配をふるって、てんでに落ちのびさせたそうな。商家の番頭にしておくには惜しい人物とみたぞ」

 あっ、嘉兵衛のことだ、と察して、佐助のほうをみて互いにうなずきあった。
 わたしの前に兵太郎が胡座あぐらをくみ、その隣に筒井順慶さまが座った。
 老公はわたしの隣、離れて弥右衛門と佐助が車座になっている。
 ぽつねんとして彦左は座から離れていた。わたしを避けているのではなく、おそらく兵太郎のことが嫌いなのだろう。
 熊蔵もまた、なにやら居心地が悪そうにそわそわとしている。
 わたしを岡崎へ伴っていきたいだろうに熊蔵は、それが成らぬことを薄々察して葛藤しているふうにもみえた。熊蔵はおそらく、兄信康がつかわした密偵にちがいない。なんの根拠もないのだけれど、わたしにはそのように思えてならなかった。

「どうした、彦左衛門、もそっと近くにきて座れ。そんなふうにしていると、おれのことを避けているようにみゆるぞ。不甲斐ないやつめが!」

 故意に挑発しているのか兵太郎が哄笑すると、案の定、彦左はすくっと立って、老公の隣に割り込んだ。

「ふん、まるで、呉越同舟のようなものずらよ」

 意外と彦左は物識ものしりのようである。しばし互いに目と目をみつめ、視線を交えないように沈黙していたが、静寂を破って兵太郎が喋りだした。

「……のう、彦左衛門よ、彦左よ……おまえはおれが信長を嫌っているとおもっているようだが、そうではないぞ!ま、まあ、腰を折らずに聴くがいい。好きか、嫌いか、と問われれば、好きなほうだ。いや、信長の偉大さは、おれなりによく判っているつもりだ。織田家中に人材が傑出しているのをなんとみるか。羽柴、明智、滝川……など数え上げればきりがない。もとより柴田しばた勝家かついえ丹羽五郎左衛門にわごろうざえもんなどの宿老らもいるにはいるが、新参者にそれらと同等の職位を与え、それぞれの能力を如何いかんなく発揮させておるわ。まさに、従来の仕組みを打ち壊す、これがまさに信長流よ。格好の例が褒賞の仕組みだ。彦左衛門、ひとつおまえに聴くが、戦での一番手柄はなんだ?」
「大将首!」と、彦左が叫んだ。
「そう、それよ、敵の大将に一番槍をつけたもの、首をとった者が褒賞される、それが従前の仕組みよ。信長という奴は、その仕組みを変えたのだ。桶狭間のおり、大将の今川義元公の首をとった者よりも、どこで陣を張っているのか、それを報せた者、その陣までの道筋を整えた者をこそ、最大の功労者と位置づけた。まさにおれらのような海賊、山賊のやり方でもあるな、だからこそ、信長は、偉大なのだ。そうして、すこぶる怖ろしい……」

 これほどよく喋る御仁ごじんとはおもっていなかっただけに、唖然あぜんとしながらも一語一句を噛み締めるように聴いていた。
 ではなにゆえ、兵太郎は信長様にお味方しないのだろうか。
 わたしよりも先に彦左がおなじことを口にした。するとれいの破顔哄笑しながら兵太郎は答えた。

「……ふん、信長めは、あまりにも性急にすぎる。信長流の変革は必要なのだ。だがの、それは手におえる変革でないと意味はない。……どうやら、信長はな、おのれのいのちが尽きることを恐れているようだな、瞳の黒いうちになにもかもやり遂げようと躍起になっているのだ。おそらくは、……息子どもは凡人、そこで、おのれが死んだのちの大騒乱をおそれ、いまのうち、いまのうちに……と、事を急いでいるようにおれには映る。だからこそ、好敵手の存在が重要なのだ。並々ならぬ好敵手がおれば、変革の速さを時代に合わせたものに調整することもできようからな。もっとも、信長はこのおれのことなど歯牙しが歯牙にもかけてはおらんだろうがな、はっははっ」

 洞窟のなかに兵太郎の哄笑が響き渡った。彦左をみると、眉間に皺を寄せてなにやら考え込んでいるようにみえた。

「彦左衛門よ、それぞれの立場で、葛藤することを、迷いつつも考え続けることを、決して恐れてはならぬぞよ。これが、おれからのはなむけぞ!」

 兵太郎が投げかけたことばは、彦左の深奥しんおうに届いたかどうかわからない。
 兵太郎が立ち上がって座をはずすと、いきなり順慶さまが話かけてきた。

「亀姫に、お願いごとがございましてな」

 佐助によれば、三十路を過ぎたばかりということだったけれど、童顔にみえる貌のなかに陰鬱いんうつのかげが浮かんでいた。
 みんな必死で、もがいているのだ。
 そうおもうと急にからだが軽くなった。順慶さまが鉄砲足軽を手元に招き、菅笠をとらせると、頬を消し炭で汚した女人があらわれた。このような変装は、誰もが考え付くことなのであろうか。わたしも佐助にこういう姿にさせられそうになったことを思い出した。

「……名は、巣鴨すがも、筒井家の身内の者。どうぞ、三河なりとてお連れくだされよ。いやなに、人質とおもっていただいて結構」

「人質?ならば、お連れいたしかねます。けれど、私の友ということであれば、仲良く過ごすこともできましょうほどに」

 わたしが答えると、順慶さまが巣鴨と互いの顔を見合わせて、
「よしなに、お願い申す」
と会釈をした。
 巣鴨はわたしの年齢と大差ないと踏んだ。彼女に話しかけると、その簡潔な返答ぶりに驚かされた。この者は筒井衆の密偵かもしれないけれど、それでもいいとおもった。
 奥のあたりが騒がしくなった。
 行ってみると、またもや彦左と兵太郎が言い争っている声がこだましていた。どうやら、秀華姫とその侍女をどこに落ち延びさせるのかで対立していたらしい。
 中国の毛利もうりや、九州の島津、四国の長宗我部ちょうそかべ家が皇女を取り込むことを彦左は懸念しているのだ。翁狐にも気づかれない寺の名を告げた兵太郎が、さらに云い添えた。

「……大陸に渡ったことのある留学るがく僧もいる、よき医者もいる、近くに温泉もあるぞ。すべて手配した。信長には渡さぬが、反信長の輩にも決して好きなようにはさせぬわ。信じがたくば、落ち着くまで、彦左よ、おまえが付き従うがいい。だが、侍女はだめだ。かえって足手まといになろう」

 返辞へんじきゅうしている彦左をみて、
「では侍女のかたは、私が預かります」
と、わたしはおもわず口に出していた。
 巣鴨という新たな友が増えることになったのだから、もう一人増えてもいい。

「あかし、と名づけましょう。生きる証の、あ、か、し」

 本当に友になれればいいとわたしはおもった。あと一つ、彦左にただ糾しておきたいことがあった。

「……彦左の蔭で茶屋衆が動いていたそうですが、茶屋四郎次郎どのの狙いがわかりませぬ。そのことを弥右衛門にたずねても、空とぼけて答えてくれませぬ」

 弥右衛門の耳に入るように大声で云うと、意外なことを弥右衛門は吐露してくれた。

「船に乗せるまでは、まさか亀姫様とは存知なかったのでござるよ。この彦左の奴もなかなか口を割らなかったもので、おなごは、詞葉様だとばかり思い込んでおりましてな」

 弥右衛門が頭を掻きながら弁解した。

「私を詞葉と間違えたと?では、どうして私を松永弾正様の城へ連れていったのですか」

 それが大きな謎だった。

「それは……身共みどもの発案だ」と、横から口を出したのは、意外にも休賀斎の老公であった。

「亀どのが城から消えてから、笹どのを連れてあとを追った……もっとも誰がどのように動いていたかは判らなかったが、これでも街道筋には、剣の弟子らも大勢いてな。いろいろと助力をうたのじゃよ。服部半蔵どのの配下にも、ずいぶんと助けてもろうた。堺の天満屋に居ると知ったとき、織田どのの別働隊が動いていることを察知したのじゃ。おそらくはすでに天満屋を襲撃するつもりでおったのじゃろうの。そこで、ひとまず亀どのを、考えうるかぎり安全なところへ移そうと思い立ったのが、松永弾正の城だった……」

 ……そこであの翁狐の城の見取り図が手に入ると茶屋四郎次郎どのをくどいたということである。
 翁狐の城がもっとも安全、という発想は、いったいどこからくるのだろう。

「……早晩、松永弾正は織田どのに再び公然と謀叛しよう。けれど、それが判っていても織田どのも総力戦で打ち勝つまでは、決して、手出しはしまい。しかも、弾正は、味方を集めようと躍起になっておるゆえ、たとえ素性が知れても、むやみに殺しはしまい……安全というのはそのこと。虎穴に入らずんば、なんとやら……という次第」
「とすれば、私も彦左も、みなの衆にいいように利用されていたということですか」
御意ぎょい

 老公はにやりと笑うと、ペロリと舌を出した。なかなかに憎めないご老人だ。

「……弥右衛門は、秀華姫のことを四郎次郎どのにお報せするのですか?」
 わたしがたずねると、しばしの沈黙のあと、弥右衛門は、
「いいや」と、首を横に振った。
「……秀華姫は、この神立の里で、何者かに襲撃されて、落命なされた……それでよろしいのではございますまいか」

 その弥右衛門の言葉に、休賀斎の老公が
「よきかな、佳きかな!」
と応じた。
「ただし条件がございます」
 意外にも弥右衛門はふてぶてしい顔つきつきになって、胸を張った。

「……拙者と佐助、それにこの場にはおりませぬが、かの天満屋番頭の嘉兵衛や雇っていた船夫、牢人ども、そっくりそのまま亀姫様の家来にしていただきとうござる」

 弥右衛門がいった。
 その申し出には驚かされたけれど、秀華姫の生存を秘密にしてくれるというのならば、それにこしたことはないとおもった。
 それから、翁狐松永弾正が自ら語っていた謀略の内容を披露した。大賀弥四郎の件も、すべては翁狐のいた陰謀の種のひとつにしかすぎないことを語り終えると、さすがの老公も、それに兵太郎までもが唸って口を閉じた。
 わたしは横たわっている小太郎ににじり寄った。
 額に汗がにじんでいる。
 汗をぬぐっていたに代わり、拭いた。
 瞳は開いていないけれど、荒い鼓動が伝わってきた。小太郎はいままでどういう暮らしをしてきたのか、いつか再会したおりにそのことを聴いてみたいとおもった。もとより、わたしの夫、信昌どのとの関わりも聴かなければならないだろう。
 まだあきらかにはされていない秘密が目の前によこたわっているように感じられてならなかった。


 彦左は秀華姫の傍らで、なにやらせっせと筆談をしていた。もうわたしのことなど眼中にないようで、しきりに話しかけている。
 わたしは熊蔵の傍らに近づき、
「岡崎にはいずれ必ず立ち寄りますゆえ、三郎兄さまのこと、お頼みいたします」
と、囁くように伝えた。
「それに、これからは新城しんしろには、密かに潜入などしなくても、堂々と、表門からお入りなさい。私の供奉人ぐぶにんかしらのクマ、とでも胸を張って名乗られませ」
「ま、まことでございまするか」
「ええ、熊蔵は私の弟のようなもの。どうか、三郎兄さまのこと、くれぐれも……」

 わたしが云うと、熊蔵は一瞬怪訝そうに小首を傾げたけれど、見る間に喜色をあらわにして、ひざまずいた。
 そのとき、ふいに笹がわたしの腹に手をやった。
「亀様、どうやら、ご懐妊なされたのでございますな」
 わが事のように嬉しそうに笹は笑った。
「おお、忘れていたぞ!」
 突然、兵太郎が立ち上がった。
「ささっ、ご一同、さかずきをとられよ。年が明けたぞ!とりあえずは、いまこのときの無事をこそ、寿ことほごうぞ!」
 こんな洞窟のなかで、新しい年を迎えようとは想像だにできなかった。
 天正五年丁丑の年、わたしは、十八になった。
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