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第六話 神様お願い……
選べない、選びたくはない
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ちえがテラモンに秘密を打ち明けた二日後のことである。
家には非番であるはずの八右衛門の姿もなく、初も居ない。それを知って、ちえは、気鬱になった。
二人とも揃って居ないのは、珍しい。かりに二人が申し合わせて外出しているのなら、それはそれで自分の知らないところで、やはり、何事かが起きつつある証だろうと、そんなことを少女なりに考えていた。
まだ陽は落ちていない。
夕餉の支度をせねばならないのはわかっていても、ちえの足はなんの気はなしに稲荷社のほうへ向かっていた。
あるいは、テラモンと会えるかもしれないと、そんな期待も膨らんでいた。歳の離れた仙人のようなテラモンに、もっともっと話を聴いてもらいたいという気持ちもあったろう。
中途でハタと気づいて、ちえは引き返そうとしたが、そのとき、すれ違った町人の群れが、
「おネヨ婆が掻き消えたぞ?」
「やっぱり、婆は、お稲荷さまが化けていたのやもしれないぞ」
などと、口々に言い合っていたのが耳に入ってきた。
どうやら、おヨネ婆さんが陣取っていた稲荷社から姿をくらましたらしい。
急ぎ足で石段を駆け上がると、ちえは、アッと息を呑んだ。昨晩までは厳然とそこにあったはずの掘立て小屋は跡形もなく、おヨネ婆の人相占い目当ての参拝客はそれぞれに落胆のため息をつきながら踵を返している……。
婆のいない祠に向かって、ちえはそっと両手を重ねた。
(父さまが、悪巧みに巻き込まれませぬように……そ、それに……)
と、そこでちえの思念は立ち止まった。
連日のように、
『お初さまが、ずっと居てくださいますように。新しい母上になってくれますように……』
と、願ってきたその言詞の重みというものは、一体、どうなるのか、ならないのか。
神様への願いは聞き届けられるのか、そうではないのか……。初が新しい母上になってくれるようにと神様に願い続けてきたことは、簡単に反故にできるものなのか、とちえは首をかしげた。
父にも災いがもたらされず、かつ、初もずっと居続けてほしいという願いは、果たして矛盾しているものなのだろうか。
……たとえそうであったとしても、神様ならなんとかいい答えの糸口を見い出してくれるにちがいないとも思った。
そんなこちらの都合ばかりで両手を合わせてきたこれまでの行為が、突然、とてつもなく恥ずかしいものに思えてきて、ちえは後退りした。
ふいに、背後に無気味な視線を感じた。
「ひゃあ」
振り返ると鳥居の上に人がいた。
陽の影が頭上の人物の顔を覆い、しかとは確かめられなかったが、おヨネ婆にちがいないと、恐怖の感覚がちえの背筋を貫いた。
走った。
駆けた。
転びそうになるのを腕で草木を掴んで支えながら、走った。駆けながら、なぜに人のいる方角に戻らなかったのかとちえは悔いた。
でも戻れない、引き返せない。
山の頂上へ続く小径をさけて、脇道を選んだ。曲がりくねった道をすべるように走った。
振り返ることもできないが、ガサガサ、ゴソガサと自分の背後から音が聴こえてくるのは、おヨネ婆が追ってきている証であろう。
湿原に出た。
溜池代わりに農夫たちが使っている水源地だが、この日に限ってひとの気配がない。
行き止まりで、もう道はない。
「もう、およし」
おヨネ婆の声が、頭上から響いた。
「そんなに怖がることはないさね。殺しはしないよ。八右衛門を仲間に引き入れるためには、遅かれ早かれ、おまえをさらうつもりだったからね」
ちえが振り返ると、高い木の枝から蔦を足をかけた婆が、逆さ吊りになったまま、目の前に顔を曝け出した。ただ少女を驚かそうと手の込んだ演出で待ち構えていたのであったろう。
ひょいと地に降り立ったおヨネ婆が、舌で唇を舐めながら言った。
「さあ、どっちを選ぶかね。初が必要とあらば、このまま、婆とともにこの地を離れるのじゃ。おまえの世話ぐらい、初がしてくれようぞ」
「ち、父さまは?どうなる……」
「おう、八右衛門なら、こちらが求めるものをそのつど寄越せば、生命まではとらぬぞよ。それどころか、たんと褒美もくれてやろうほどに、の」
おそらくおヨネ婆は、長年、料亭の芸子に扮して神坂藩内の政情や重臣の動向を探ってきたにちがいない。その役目を、こんどは八右衛門にやらそうとしているらしかった。
そのとき、鋭い一喝が婆の声を遮った。
「ちえ坊に手を出すでない!」
「あ!」と、叫んだのは、ちえであったか、おヨネ婆であったか………。
「お師匠さまぁ」と、叫んだちえは、その場に尻もちをついて転んだ。嬉しさのあまりか、それとも、なにやら婆の妙な術で金縛りにあっていたのか。
「邪魔するは、誰ぞ!」
おヨネ婆が、テラモンを睨みながら叫んだ。けれど、その声には多分に嘲りの情が充ちていた。
テラモンのあまりにも老けた貌に、おヨネ婆は身構える余裕を喪っていたのかもしれない。
しかも、現に、テラモンの体躯からは殺気は放たれていない。
「な、なにっ、あ、お、おまえは……あの舟宿で相見えた老侍だな!」
おヨネ婆が叫んだ。あの舟宿……とは、国境の宿で起こった隠密成敗と仇討ち騒ぎの一件である。(第三話参照)。
「……ふん、あれから、おまえのことを調べたぞ。ところが、どうだ、この藩の侍ではないではないかっ! その齢になって、居候している死にぞこないめっ!」
おそらく潜入してから、名だたる家の人間関係などをつぶさに我が目で確かめ、記憶していたのであったろう。
おヨネ婆は、目の前の老侍が、こうして二度までも邪魔立てしようとしていることに怒りをおぼえた。
「なんだ、あのときの婆であったか!」と、テラモンが応じた。
「姓は、なんと?」と、おヨネ婆が訊いた。
「寺田……文右衛門」
「寺田?……あっ、テラモン……というのは、やはりおまえのことであったか!」
突然、おヨネ婆に殺気が宿った。目の前の翁は、死にぞこないどころか、かつて海道一の剣豪と讃えられた人物である。
「なるほどの。ならば合点がゆくというものじゃ。あの宿でこの婆が不覚をとったのも、ま、うなづけようもいうもの。じゃが、それならば、相手にとって不足はないぞ、この婆も、あのときのようにはまいらぬぞ」
敵対する相手に、姓名を問うなど、尋常では考えられないことだ。そのことに、問うた婆自身が気づいてはいない。
目の前のをなめていたのは、むしろ、おヨネ婆のほうであったろう。
ところが。
……おヨネ婆は動かない。動けない。
太刀を帯びてはいない脇差だけのテラモンが、左手を鞘口に添えたその一瞬、婆はかつて感じたことのない畏れをおぼえた。おのれの不覚を呪いつつおヨネ婆は、テラモンが先に仕掛けてくるのを待った。
ところがテラモンも、そのままの体勢で、ただ佇んでいるだけのようにちえには見えた。
いま、まさに、おヨネ婆が躰を揺らしはじめたそのとき、テラモンの前に身を投げ出すように、倒れ込んだ人物をみて、ちえは、ハッと胸をつかれた。
「あ、父さま!」
まさしく八右衛門であった。
「ま、待たれよ。どうか、お待ちあれ」
そう叫びながら、立ち上がった八右衛門の手には長槍がぎゅっと握りしめられていた……。
家には非番であるはずの八右衛門の姿もなく、初も居ない。それを知って、ちえは、気鬱になった。
二人とも揃って居ないのは、珍しい。かりに二人が申し合わせて外出しているのなら、それはそれで自分の知らないところで、やはり、何事かが起きつつある証だろうと、そんなことを少女なりに考えていた。
まだ陽は落ちていない。
夕餉の支度をせねばならないのはわかっていても、ちえの足はなんの気はなしに稲荷社のほうへ向かっていた。
あるいは、テラモンと会えるかもしれないと、そんな期待も膨らんでいた。歳の離れた仙人のようなテラモンに、もっともっと話を聴いてもらいたいという気持ちもあったろう。
中途でハタと気づいて、ちえは引き返そうとしたが、そのとき、すれ違った町人の群れが、
「おネヨ婆が掻き消えたぞ?」
「やっぱり、婆は、お稲荷さまが化けていたのやもしれないぞ」
などと、口々に言い合っていたのが耳に入ってきた。
どうやら、おヨネ婆さんが陣取っていた稲荷社から姿をくらましたらしい。
急ぎ足で石段を駆け上がると、ちえは、アッと息を呑んだ。昨晩までは厳然とそこにあったはずの掘立て小屋は跡形もなく、おヨネ婆の人相占い目当ての参拝客はそれぞれに落胆のため息をつきながら踵を返している……。
婆のいない祠に向かって、ちえはそっと両手を重ねた。
(父さまが、悪巧みに巻き込まれませぬように……そ、それに……)
と、そこでちえの思念は立ち止まった。
連日のように、
『お初さまが、ずっと居てくださいますように。新しい母上になってくれますように……』
と、願ってきたその言詞の重みというものは、一体、どうなるのか、ならないのか。
神様への願いは聞き届けられるのか、そうではないのか……。初が新しい母上になってくれるようにと神様に願い続けてきたことは、簡単に反故にできるものなのか、とちえは首をかしげた。
父にも災いがもたらされず、かつ、初もずっと居続けてほしいという願いは、果たして矛盾しているものなのだろうか。
……たとえそうであったとしても、神様ならなんとかいい答えの糸口を見い出してくれるにちがいないとも思った。
そんなこちらの都合ばかりで両手を合わせてきたこれまでの行為が、突然、とてつもなく恥ずかしいものに思えてきて、ちえは後退りした。
ふいに、背後に無気味な視線を感じた。
「ひゃあ」
振り返ると鳥居の上に人がいた。
陽の影が頭上の人物の顔を覆い、しかとは確かめられなかったが、おヨネ婆にちがいないと、恐怖の感覚がちえの背筋を貫いた。
走った。
駆けた。
転びそうになるのを腕で草木を掴んで支えながら、走った。駆けながら、なぜに人のいる方角に戻らなかったのかとちえは悔いた。
でも戻れない、引き返せない。
山の頂上へ続く小径をさけて、脇道を選んだ。曲がりくねった道をすべるように走った。
振り返ることもできないが、ガサガサ、ゴソガサと自分の背後から音が聴こえてくるのは、おヨネ婆が追ってきている証であろう。
湿原に出た。
溜池代わりに農夫たちが使っている水源地だが、この日に限ってひとの気配がない。
行き止まりで、もう道はない。
「もう、およし」
おヨネ婆の声が、頭上から響いた。
「そんなに怖がることはないさね。殺しはしないよ。八右衛門を仲間に引き入れるためには、遅かれ早かれ、おまえをさらうつもりだったからね」
ちえが振り返ると、高い木の枝から蔦を足をかけた婆が、逆さ吊りになったまま、目の前に顔を曝け出した。ただ少女を驚かそうと手の込んだ演出で待ち構えていたのであったろう。
ひょいと地に降り立ったおヨネ婆が、舌で唇を舐めながら言った。
「さあ、どっちを選ぶかね。初が必要とあらば、このまま、婆とともにこの地を離れるのじゃ。おまえの世話ぐらい、初がしてくれようぞ」
「ち、父さまは?どうなる……」
「おう、八右衛門なら、こちらが求めるものをそのつど寄越せば、生命まではとらぬぞよ。それどころか、たんと褒美もくれてやろうほどに、の」
おそらくおヨネ婆は、長年、料亭の芸子に扮して神坂藩内の政情や重臣の動向を探ってきたにちがいない。その役目を、こんどは八右衛門にやらそうとしているらしかった。
そのとき、鋭い一喝が婆の声を遮った。
「ちえ坊に手を出すでない!」
「あ!」と、叫んだのは、ちえであったか、おヨネ婆であったか………。
「お師匠さまぁ」と、叫んだちえは、その場に尻もちをついて転んだ。嬉しさのあまりか、それとも、なにやら婆の妙な術で金縛りにあっていたのか。
「邪魔するは、誰ぞ!」
おヨネ婆が、テラモンを睨みながら叫んだ。けれど、その声には多分に嘲りの情が充ちていた。
テラモンのあまりにも老けた貌に、おヨネ婆は身構える余裕を喪っていたのかもしれない。
しかも、現に、テラモンの体躯からは殺気は放たれていない。
「な、なにっ、あ、お、おまえは……あの舟宿で相見えた老侍だな!」
おヨネ婆が叫んだ。あの舟宿……とは、国境の宿で起こった隠密成敗と仇討ち騒ぎの一件である。(第三話参照)。
「……ふん、あれから、おまえのことを調べたぞ。ところが、どうだ、この藩の侍ではないではないかっ! その齢になって、居候している死にぞこないめっ!」
おそらく潜入してから、名だたる家の人間関係などをつぶさに我が目で確かめ、記憶していたのであったろう。
おヨネ婆は、目の前の老侍が、こうして二度までも邪魔立てしようとしていることに怒りをおぼえた。
「なんだ、あのときの婆であったか!」と、テラモンが応じた。
「姓は、なんと?」と、おヨネ婆が訊いた。
「寺田……文右衛門」
「寺田?……あっ、テラモン……というのは、やはりおまえのことであったか!」
突然、おヨネ婆に殺気が宿った。目の前の翁は、死にぞこないどころか、かつて海道一の剣豪と讃えられた人物である。
「なるほどの。ならば合点がゆくというものじゃ。あの宿でこの婆が不覚をとったのも、ま、うなづけようもいうもの。じゃが、それならば、相手にとって不足はないぞ、この婆も、あのときのようにはまいらぬぞ」
敵対する相手に、姓名を問うなど、尋常では考えられないことだ。そのことに、問うた婆自身が気づいてはいない。
目の前のをなめていたのは、むしろ、おヨネ婆のほうであったろう。
ところが。
……おヨネ婆は動かない。動けない。
太刀を帯びてはいない脇差だけのテラモンが、左手を鞘口に添えたその一瞬、婆はかつて感じたことのない畏れをおぼえた。おのれの不覚を呪いつつおヨネ婆は、テラモンが先に仕掛けてくるのを待った。
ところがテラモンも、そのままの体勢で、ただ佇んでいるだけのようにちえには見えた。
いま、まさに、おヨネ婆が躰を揺らしはじめたそのとき、テラモンの前に身を投げ出すように、倒れ込んだ人物をみて、ちえは、ハッと胸をつかれた。
「あ、父さま!」
まさしく八右衛門であった。
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