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販売方法を考えます

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「父上~!!やりました!学園長を落としてきました~!」
「は!?」
「あっ間違えました!学園長の許可を貰ってきました!」

危ない危ない。誤解を生む言葉のチョイスだったね。

あの後すぐ、学園長に許可証を発行してもらった僕は、帰宅したその足で父上の執務室に突撃してしまった。
マナーとしては最悪だけど、テンションが上がり過ぎてすっかり暴走してしまった。
しかも不穏な発言。
父上は呆気にとられて開いた口が塞がらない状態で固まった。
まずい怒られちゃう。謝らなくちゃっ。

「ごめんなさい父上…僕、嬉しすぎてマナー違反しちゃいました…」

ぺこりと謝罪をすると、父上もハッと我に返ってゴホンとひとつ咳をして仕切り直す。

「ランス。反省しているなら私からは何も言わんが、学園長を落としたとはどういう事だ?」
「あっいえ、それは言葉の綾でした。学園長から僕のお菓子を売ってもいいという許可をいただきました。学生って物を売る仕事をしてもいいのかわからなかったので…」
「そういう意味か。驚かせるな…販売許可を貰ってきたということは、ランスはお店を出したいのか?」
「はい!まずは露店みたいに、少量から販売しようと思います」

僕の計画を聞いた父上がぎゅいっと眉を寄せる。

だ、ダメだったのかな??

父上は、ふぅーと深く息を吐いて、「ランス…」と零すと、両肘を机につき、顎の下で両手を組んでこちらを諭すような目で見た。

「お前のお菓子を少量で販売しようものなら暴動が起きるぞ。それだけの価値がある物だ。もっと計画を練りなさい。それと販売する時に顔を出すのは反対だ。これは絶対に許可しないからな。販売員を雇うか……いや販売を委託しなさい。そもそも学生の身だ。学業に支障をきたすような販売方法は止めなさい」
「は、はい」

あわわっ、僕の見通しが甘すぎたみたい…。

でも販売委託か…それの方が安全だもんね。

「父上のおっしゃった販売委託は、どういう所に委託するのですか?既存のお店に置かせてもらうのですか?」
「いや、商業ギルドに委託するといい。不特定多数に売るなら、今はまだ我が家との関係性を秘密にした方がいいしな。貴族も大概だが、商人は下手すれば我が家に乗り込んでくる者もいるかもしれん。最悪を考えれば、誘拐だって起きる可能性もある。その点、商業ギルドであれば素性を秘密にしていても商品を売ることが出来るからな」

ほほう、ギルドってあるんだ~。って感動する場所間違えてるけど。
でも誘拐かぁー全然現実味ないなぁ。

「商業ギルドは僕みたいな年齢でも登録出来ますか?」
「……出来ることは出来るが……ギルドマスターに直接こちらに来てもらおう。まずは私から説明する。その時は同席しなさい」
「はい!ありがとうございます父上!」

物騒な事は言われたけど、一歩前進した気がする!





********


なんかめちゃくちゃお気に入り登録者数増えてる!!

何があったの!?

今日一日で何があったの!?


あばばば(゚Д゚三゚Д゚ )

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