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母上と姉上ご帰宅

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とうとう母上と姉上が屋敷に戻ってきた。

父上に3時のおやつを持っていった時に、帰ってくる日付けを聞いていたから僕はヘルシーお菓子をいろいろと模索していた。

トコロテンとかアサイーボウルとかヨーグルトだってこの世界にないしね。
ヘルシーってだけでこのラインナップ。単純なものしか思い浮かばなかった。

もうあとは豆乳クッキーとか?あ、かき氷とかもヘルシーかな?いやでも冷たい物ってどうなのかなぁ?身体冷えちゃうし…うぅーん…難しい…。

うんうん悩んでいたら廊下の方が騒がしくなり、何だろう?と思ったらいきなり自室の扉がドンドンドンッッドバンッと開いた。

「入るわ!!」
「うわぁっ!?なに!?」
「ランス!!」
「姉上!?」

強盗が入ってきたのかと思うくらいの騒がしさに、ランスは驚いたが、扉をぶち破りそうなほどの衝撃の原因は姉のサリッサだった。

「お父様から話を聞いたわ!私にもお菓子を出しなさい!」
「あ~…それより扉壊さないでね姉上」
「大丈夫よ!そんなことより見たことも聞いたことも食べたことも無い甘美なお菓子を所望します!」

開きっぱなしの扉の向こうから厳しい声が聞こえてきた。

「サリッサ!淑女が走るものではありません」

珍しく早歩きの母上。

「あらお母様、お母様だって走っているじゃない」

私の事言えませんわ!と反論していたが、母上はおっとりした声音で、

「私は貴女の指導のためやむを得ずですわよ?」

目が笑ってない…こわ…。
怒鳴り声より、おっとりとした声で威圧される方が怖いのは僕だけ?
姉上もちょっと後ずさっているからやっぱり怖かったんだろうなーって考えていると、母上が僕に視線を移して微笑んだ。

「元気そうね、ランス」
「あ、母上。おかえりなさい。姉上もご無事でなによりです」
「ええ、ただいま帰りましたわ。長く留守にしていましたからランスも寂しかったでしょう?この後一緒にお茶の時間にしましょう?」
「もちろん私もご一緒しますわ!!」
「はい、わかりました。えーと、30分後くらいですか?」

帰ってきたばかりだからお着替えとかあるしね?

「いえ、このままで大丈夫よ!」
「サリッサ。」
「いえすまむ」

おおっと姉上。これ以上母上を怒らせてはいけないですよ…。

そうして母上と姉上は部屋から出ていった。
嵐のような入退場だったなぁ…。

さて、どんなお菓子をだそうかな?

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