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魔法!!……魔法…?
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7歳になった侯爵家の末弟ランスは、広い庭の真ん中で家庭教師のグリーマンに魔法の使い方を習っていた。
貴族や王族はこの頃から魔法の練習をし始めるので、ランスも例外なく数日前から授業を受けていたのだが、この後、ランスの一生を決める出来事が待ち構えていた。
「ではランス様。昨日と同じ様に体内の魔力を練り上げ、掌から放出するイメージで出すのですよ」
「はい!んむむむぅっ!!」
スカッ
「掌に集中してくださいね」
「はい!んぬぬぬっ!」
ポスッ
「おおっ、少し出てきましたよ」
「やった!ふぬぬぬぅ!!」
ポンッ!
「え!?」
「は?」
ぽとん。
コロコロコロ…。と地面を転がる一口サイズのカップケーキ。
何が起きたのか分からず、無言になる2人。
何処からやって来たのか、バササッとタイミング良く鳥がそのカップケーキを咥えて飛び去って行った。
なんとなくそれを見送る2人。
「………へ?」
「…………ではランス様。体内の魔力を練り上げて…」
「いやいやいや、無かったことにしようとしてる!?」
グリーマンが真顔で続けようとしたから、流石に突っ込んだ。
「いま僕の掌からカップケーキが!!」
「………気のせいでは?」
「いや、ムリでしょ!?スルー出来ないよ!?」
もう一度やってみればわかる事だ。
ランスは「んむむむぅ!!」と気合を入れると、またしてもポンッと掌からカップケーキが。
ぽとん、コロコロコロ。と地面を転がる。
チーチー!!と何処からやって来たのかネズミがそれを咥えて走り去っていく。
それを見送る2人。
「……やっぱりお菓子が出てきたよ!!??」
気のせいじゃなかった!
「………ランス様。私は今日この辺で帰らせていただきます。少々具合が悪いので…」
そう言って家庭教師のグリーマンは真っ青な顔で帰って行った。
魔法の練習はどうなるのだろうか…。
とりあえずランスが真っ先に思ったのはこれだった。
「……次はお皿用意しよ」
お菓子もったいないもんね。
貴族や王族はこの頃から魔法の練習をし始めるので、ランスも例外なく数日前から授業を受けていたのだが、この後、ランスの一生を決める出来事が待ち構えていた。
「ではランス様。昨日と同じ様に体内の魔力を練り上げ、掌から放出するイメージで出すのですよ」
「はい!んむむむぅっ!!」
スカッ
「掌に集中してくださいね」
「はい!んぬぬぬっ!」
ポスッ
「おおっ、少し出てきましたよ」
「やった!ふぬぬぬぅ!!」
ポンッ!
「え!?」
「は?」
ぽとん。
コロコロコロ…。と地面を転がる一口サイズのカップケーキ。
何が起きたのか分からず、無言になる2人。
何処からやって来たのか、バササッとタイミング良く鳥がそのカップケーキを咥えて飛び去って行った。
なんとなくそれを見送る2人。
「………へ?」
「…………ではランス様。体内の魔力を練り上げて…」
「いやいやいや、無かったことにしようとしてる!?」
グリーマンが真顔で続けようとしたから、流石に突っ込んだ。
「いま僕の掌からカップケーキが!!」
「………気のせいでは?」
「いや、ムリでしょ!?スルー出来ないよ!?」
もう一度やってみればわかる事だ。
ランスは「んむむむぅ!!」と気合を入れると、またしてもポンッと掌からカップケーキが。
ぽとん、コロコロコロ。と地面を転がる。
チーチー!!と何処からやって来たのかネズミがそれを咥えて走り去っていく。
それを見送る2人。
「……やっぱりお菓子が出てきたよ!!??」
気のせいじゃなかった!
「………ランス様。私は今日この辺で帰らせていただきます。少々具合が悪いので…」
そう言って家庭教師のグリーマンは真っ青な顔で帰って行った。
魔法の練習はどうなるのだろうか…。
とりあえずランスが真っ先に思ったのはこれだった。
「……次はお皿用意しよ」
お菓子もったいないもんね。
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