上 下
39 / 42
本編

34 テン氏降臨•*¨*•.¸¸♪✧

しおりを挟む
おれが屋台にと推した焼きそば、お好み焼き、ケバブ、じゃがバター、かき氷、果物のジュース、フライドポテト。
射的、福引き、輪投げ、宝石すくい等の遊戯もある。
ほかの屋台はここの世界に元々あった串焼きや肉入りスープなどなど。
焼きそばとお好み焼きに使ったソースは、この世界にあった甘辛いソースが似ていたので使用してみたらとっても美味しかった!
それと宝石すくいのキラキラな石は、たまとハクの知り合いの精霊たちが集めてくれた。もちろんただの石だけど本当にキラキラしていて綺麗なんだ。

街の人達は見たことの無い食べ物に興味津々だけど、やっぱり未知の食べ物だからなかなか足が向かない。
そこでおれ達の出番!
ヴィジスタとディオーレンの目立つ容姿と無邪気に屋台の食べ物を強請るおれ!
さくらだけど本当に美味しいから全部買うんだ!

にこにこきゃっきゃと楽しそうに美味しそうに屋台の食べ物を食べるテンを見て、他のお客もそんなに美味しいのかな?と、どんどん新しい物を試し始める。
そうすると美味しさに驚き、それが口コミで広がり、またお客がお客を呼んでいく。

次はどの屋台に行くのか?とテンは注目を浴び始めた。

「よし、食べ物はコンプリートした!次は射的で勝負だ!」
「テン、浴衣が少し乱れてるよ。生足は見せちゃダメだよ」
「いやいや、俺の足なんて誰も見ないよ」

ヴィジスタは周りに見えないようにサッと浴衣の合わせを直してくれた。
でもこんなお子ちゃまの足に欲情する人はいないでしょ。…………目の前の2人以外は。

「危機感が薄すぎる。テンは自分を全く分かってないな」

ムッとした顔でディオーレンも窘める。
何かおれが悪いみたいになってる!?異議あり!!

ここが法廷なら圧勝だった!

ブーブーとむくれていたら、挨拶の後見回りをしていたおっちゃんがおれ達を見つけてしまった。

やべっ、会うつもり無かったのに!

めんどいから!

目が合ってしまって逃げられないから、仕方がなくにこやかにおっちゃんを迎えたのだが…。

「おおっこれはこれはテン氏!いやぁ素晴らしい御姿です!」
「……はぁ…ありがとうございます」
「この浴衣という衣服は素晴らしいですよ!テン氏に至ってはとても可愛らしくてまるで天界から降りてこられたような可憐さと清楚さもあります!さすがテン氏ですな!」
「ちょっ!声大きいですって!」

おっちゃんが大きな声で話すから周りの皆の目が一層こちらを注目している。
目立つのを覚悟してたけど、こんな目立ち方は嫌だ!

ざわ…ざわ…

天使…?

ねぇ天使って言ってたよお母さん!!

あのお方が天使?

わぁ可愛いなぁ!

確かに天使だ!!


ん?

んんん?

………………。



うおおおおぃ!!おっちゃんーーーーー!!
何か誤解されてるぅぅ!!
テン氏が天使に聞こえてるよ!!!!

だからおれにって呼ばれるんだよ!!!

おれが心の中で絶叫している間も、おっちゃんは「テン氏が!テン氏で!」とめちゃくちゃ連呼する。

ひぃぃぃやめろぉおおおおっっ!!

「ニール殿、そろそろいいか。俺達はこのお祭りを楽しみに来てるんだ。あなたもやる事は沢山あるのでは?」

テンパってるテンを庇うように、ディオーレンが立ち塞がって「さっさと仕事にいけよ」という言葉を含めて仕事に向かうよう促してくれた。
おっちゃんは確認事項がたくさんあるのを思い出して、慌ただしく去って行った。

おっちゃんめ……お前の残した爪痕は深いぞぉ…っ!!

ひそひそ声のはずなのにここまで聞こえてくる天使コール。
居た堪れない思いに、ディオーレンとヴィジスタの影にそっと隠れた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

推しの完璧超人お兄様になっちゃった

紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。 そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。 ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。 そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

悪役令嬢の双子の兄

みるきぃ
BL
『魅惑のプリンセス』というタイトルの乙女ゲームに転生した俺。転生したのはいいけど、悪役令嬢の双子の兄だった。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

奴隷商人は紛れ込んだ皇太子に溺愛される。

拍羅
BL
転生したら奴隷商人?!いや、いやそんなことしたらダメでしょ 親の跡を継いで奴隷商人にはなったけど、両親のような残虐な行いはしません!俺は皆んなが行きたい家族の元へと送り出します。 え、新しく来た彼が全く理想の家族像を教えてくれないんだけど…。ちょっと、待ってその貴族の格好した人たち誰でしょうか ※独自の世界線

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

悪役王子の幼少期が天使なのですが

しらはね
BL
何日にも渡る高熱で苦しめられている間に前世を思い出した主人公。前世では男子高校生をしていて、いつもの学校の帰り道に自動車が正面から向かってきたところで記憶が途切れている。記憶が戻ってからは今いる世界が前世で妹としていた乙女ゲームの世界に類似していることに気づく。一つだけ違うのは自分の名前がゲーム内になかったことだ。名前のないモブかもしれないと思ったが、自分の家は王族に次ぎ身分のある公爵家で幼馴染は第一王子である。そんな人物が描かれないことがあるのかと不思議に思っていたが・・・

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】

瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。 そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた! ……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。 ウィル様のおまけにて完結致しました。 長い間お付き合い頂きありがとうございました!

攻略対象5の俺が攻略対象1の婚約者になってました

白兪
BL
前世で妹がプレイしていた乙女ゲーム「君とユニバース」に転生してしまったアース。 攻略対象者ってことはイケメンだし将来も安泰じゃん!と喜ぶが、アースは人気最下位キャラ。あんまりパッとするところがないアースだが、気がついたら王太子の婚約者になっていた…。 なんとか友達に戻ろうとする主人公と離そうとしない激甘王太子の攻防はいかに!? ゆっくり書き進めていこうと思います。拙い文章ですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...