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休日の幸福
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「………下僕…?」
「…えぇ…と…」
エルバは信じられない思いで、レオクリフの言葉を繰り返した。
そしてフェイクと呼ばれている男は何故かドギマギしてレオクリフの方をちらちらと見ている。
あわあわしているその様を微笑みながら眺めているレオクリフの表情は、どこか甘やかな気がした。
「さあ、フェイクも挨拶して」
「うぇっ!?……ぇー、れ、れおくりふ…さんの下僕のフェイク…です…よろしくお願いします…」
………何で……何でこんな男がレオクリフさんの下僕なの……。
「少し前から働かせていただいてます。エルバ・ダウフォールです…よろしくお願いします」
辛うじて表面上は笑顔を作ったが、エルバの内心は荒れていた。
「フェイク、あなたは執務室の事を頼んだでしょう?」
「あっ、あれはっ!!」
慌てるフェイクの顔は焦りからか、ほんのり赤く染まっているのをエルバは見逃さなかった。
「あの!レオクリフさん!」
「何でしょう?」
レオクリフがフェイクの腕を掴んでいるが、逃がさないようにとのことだと思うがそれすらエルバにとっては妬ましい状況だ。
「その仕事、僕がやります!なのでフェイクさんはここの仕事を続けていても大丈夫です!」
やる気のないフェイクなんか放っておいて、僕の手を取ってくれればなんだってやるのに!
「……そうですね…」
「ちょっ、る、っ…何考えっ!?」
思案しているレオクリフさんに向かってフェイクが慌てて何かを言おうとしているが、歯切れの悪さとタメ口に、エルバは顔をしかめる。
「…フェイクさん。下僕のあなたがレオクリフさんにタメ口はどうかと思いますけど」
こういうのはしっかり釘を刺しておかないとな。
「ぇ…」
エルバの冷えた声音に、フェイクは微かに怯えたように震えた。
ふんっ、失態もいいところだ。こんなに使えなさそうなヤツより僕の方が絶対役に立てる。
「ふふ、フェイクはこのまま執務室に戻ってクラウンの指示に従うこと。エルバ、あなたは今日は休日でしょう?仕事はきちんと休みなさい。体が持ちませんよ」
なのに僕を心配してくれるレオクリフさんが休めなんて!
「で、ですがレオクリフさん!」
せっかく逢えたのに!!
この時を逃すまいと、エルバは焦った。
「僕何でもします!!レオクリフさんの為なら何でもできます!!」
「え。」
「ほう…」
エルバが意気込んで宣言すると、フェイクは固まり、レオクリフは目を細めて楽しそうに笑った。
「そこまで言われてしまったら……そうですね……」
「ちょっ、え、エルバさん!!考えもごごっ!!」
フェイクがエルバに何かを伝えようとしたが、レオクリフの手のひらで口を覆われ、もごもごとこもった音しか出せなかった。
「ではエルバは先に使用人室へ戻ってなさい。後ほど向かうので」
「は、はい!!お待ちしております!!」
やった!やった!レオクリフさんと一緒にいられる!!
エルバはすぐさま使用人室へと駆けていった。
用事があるのか中々来ないレオクリフに焦れるエルバは、レオクリフを迎えに行こうか悩みながらカウチソファに座っていた。
たかが20分程度しか経っていないのだが、エルバにとっては永遠とも思える時間が流れていた。
やっぱり迎えに行こう!と立ち上がった途端、ノック音がし、待ち人のレオクリフが中に入ってきた。
「レオクリフさん!お待ちしてました!」
「すみません。ご主人様がご機嫌斜めで少々お慰めしていたら時間がかかってしまいましたね」
喜んだのも束の間、ご主人様の話題に固まったエルバは、恐る恐るレオクリフに聞いてみた。
「あの…ご主人様とはどういった方でしょうか?」
「ああ、まだお会いになってないですね。とても可愛らしい人ですよ」
「可愛い…?クラウンさんは美少女だと言ってましたが…」
「ええ、そうですね」
クスクスと笑いながら肯定するが、この屋敷に来た当初も今も不機嫌ってことは癇癪持ちか?
やっぱり我がまま女だ。
レオクリフさん可哀想…こんな所で囚われて扱き使われてるなんて…。
そんな女からレオクリフさんを解放させてあげたい!とエルバは決意も新たにしていると、レオクリフがカウチソファを勧めてくれた。
「座りながら説明しましょう。どうぞリラックスして」
「はい。ありがとうございます」
ああ、優しいレオクリフさん…。
エルバは先程まで座っていたソファに戻り、腰掛けると一瞬くにゃりと視界が歪んだ。
「っ…あ、れ…?」
「どうかしました?」
「いえ…大丈夫です」
「やはり疲れが出ているのでは?」
「大丈夫です!」
一瞬眩暈のような感覚を覚えたが、すぐに何も無くなった。気のせいだろう。
「そんなに根を詰めなくても」
「僕はレオクリフさんの助けになればと…」
一瞬の眩暈なんかでこの時間を終わらせたくない。
どうにか長引かせないと!
「そうですか…無理はなさらないように」
「はい。ありがとうございます」
それからお仕事の話かと思いきや、何故か僕の好きなものや関心のあるものの話ばかりした。
もしかして…レオクリフさんって、僕のこと…!?
なんて素晴らしい休日になったんだろう!!
エルバは幸せな一日を過ごすことが出来てご満悦だった。
「…えぇ…と…」
エルバは信じられない思いで、レオクリフの言葉を繰り返した。
そしてフェイクと呼ばれている男は何故かドギマギしてレオクリフの方をちらちらと見ている。
あわあわしているその様を微笑みながら眺めているレオクリフの表情は、どこか甘やかな気がした。
「さあ、フェイクも挨拶して」
「うぇっ!?……ぇー、れ、れおくりふ…さんの下僕のフェイク…です…よろしくお願いします…」
………何で……何でこんな男がレオクリフさんの下僕なの……。
「少し前から働かせていただいてます。エルバ・ダウフォールです…よろしくお願いします」
辛うじて表面上は笑顔を作ったが、エルバの内心は荒れていた。
「フェイク、あなたは執務室の事を頼んだでしょう?」
「あっ、あれはっ!!」
慌てるフェイクの顔は焦りからか、ほんのり赤く染まっているのをエルバは見逃さなかった。
「あの!レオクリフさん!」
「何でしょう?」
レオクリフがフェイクの腕を掴んでいるが、逃がさないようにとのことだと思うがそれすらエルバにとっては妬ましい状況だ。
「その仕事、僕がやります!なのでフェイクさんはここの仕事を続けていても大丈夫です!」
やる気のないフェイクなんか放っておいて、僕の手を取ってくれればなんだってやるのに!
「……そうですね…」
「ちょっ、る、っ…何考えっ!?」
思案しているレオクリフさんに向かってフェイクが慌てて何かを言おうとしているが、歯切れの悪さとタメ口に、エルバは顔をしかめる。
「…フェイクさん。下僕のあなたがレオクリフさんにタメ口はどうかと思いますけど」
こういうのはしっかり釘を刺しておかないとな。
「ぇ…」
エルバの冷えた声音に、フェイクは微かに怯えたように震えた。
ふんっ、失態もいいところだ。こんなに使えなさそうなヤツより僕の方が絶対役に立てる。
「ふふ、フェイクはこのまま執務室に戻ってクラウンの指示に従うこと。エルバ、あなたは今日は休日でしょう?仕事はきちんと休みなさい。体が持ちませんよ」
なのに僕を心配してくれるレオクリフさんが休めなんて!
「で、ですがレオクリフさん!」
せっかく逢えたのに!!
この時を逃すまいと、エルバは焦った。
「僕何でもします!!レオクリフさんの為なら何でもできます!!」
「え。」
「ほう…」
エルバが意気込んで宣言すると、フェイクは固まり、レオクリフは目を細めて楽しそうに笑った。
「そこまで言われてしまったら……そうですね……」
「ちょっ、え、エルバさん!!考えもごごっ!!」
フェイクがエルバに何かを伝えようとしたが、レオクリフの手のひらで口を覆われ、もごもごとこもった音しか出せなかった。
「ではエルバは先に使用人室へ戻ってなさい。後ほど向かうので」
「は、はい!!お待ちしております!!」
やった!やった!レオクリフさんと一緒にいられる!!
エルバはすぐさま使用人室へと駆けていった。
用事があるのか中々来ないレオクリフに焦れるエルバは、レオクリフを迎えに行こうか悩みながらカウチソファに座っていた。
たかが20分程度しか経っていないのだが、エルバにとっては永遠とも思える時間が流れていた。
やっぱり迎えに行こう!と立ち上がった途端、ノック音がし、待ち人のレオクリフが中に入ってきた。
「レオクリフさん!お待ちしてました!」
「すみません。ご主人様がご機嫌斜めで少々お慰めしていたら時間がかかってしまいましたね」
喜んだのも束の間、ご主人様の話題に固まったエルバは、恐る恐るレオクリフに聞いてみた。
「あの…ご主人様とはどういった方でしょうか?」
「ああ、まだお会いになってないですね。とても可愛らしい人ですよ」
「可愛い…?クラウンさんは美少女だと言ってましたが…」
「ええ、そうですね」
クスクスと笑いながら肯定するが、この屋敷に来た当初も今も不機嫌ってことは癇癪持ちか?
やっぱり我がまま女だ。
レオクリフさん可哀想…こんな所で囚われて扱き使われてるなんて…。
そんな女からレオクリフさんを解放させてあげたい!とエルバは決意も新たにしていると、レオクリフがカウチソファを勧めてくれた。
「座りながら説明しましょう。どうぞリラックスして」
「はい。ありがとうございます」
ああ、優しいレオクリフさん…。
エルバは先程まで座っていたソファに戻り、腰掛けると一瞬くにゃりと視界が歪んだ。
「っ…あ、れ…?」
「どうかしました?」
「いえ…大丈夫です」
「やはり疲れが出ているのでは?」
「大丈夫です!」
一瞬眩暈のような感覚を覚えたが、すぐに何も無くなった。気のせいだろう。
「そんなに根を詰めなくても」
「僕はレオクリフさんの助けになればと…」
一瞬の眩暈なんかでこの時間を終わらせたくない。
どうにか長引かせないと!
「そうですか…無理はなさらないように」
「はい。ありがとうございます」
それからお仕事の話かと思いきや、何故か僕の好きなものや関心のあるものの話ばかりした。
もしかして…レオクリフさんって、僕のこと…!?
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