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13 小屋制作
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「さて、スヌーくん。今日は君のお部屋の制作をしようと思う」
「はい!」
「まずはスヌーくん、君はどこまで大きくなるのかな?」
「はい!ぼくはおとなになったら、せらのおうちくらいになります!」
「……」
平屋の4LDKはありそうな結構大きい家を見上げる。
小屋、無理。
DIYやる気満々だったのに。
ガックリと四つん這いで項垂れる。
「スヌーくん。どうやらわたしには荷が重かったようだ…」
「せら!?どうしたの!?」
ふわふわの頭をセラに擦り付けて、心配してくれるスヌーに癒されつつ、大袈裟に項垂れていた体勢をやめて普通に座る。
「うーん。スヌーの体が大きすぎて、小屋作れない」
「だいじょうぶ!ぼく、おおきさかえられるから!」
「あれ、そうなの?どのくらい?」
「いまのおおきさから、せらのおうちくらいまで、じゆうにかえられるよ!……おとなになったらだけど…」
今はまだ出来ないんだ…と、しゅんとする姿にキュンとした。クソかわ。
「はっ!わたしチートだった!スヌーのお家作れるよ!」
魔法を使うのも頭が良くないと意味無いな。チートって言っても発想が出来ないと宝の持ち腐れだわ。
「スヌーくん!君のお家を今から作るとする!心して見ておくんだ!」
「らじゃー!」
もう一回軍隊ごっこの仕切り直しだ。スヌーはなかなかノリが良くて楽しい。
「まずは木製の犬小屋を作ってと。創造魔法で3Dプリンター!」
ズゾゾゾッと日本でよく見かけるポピュラーな木製犬小屋が出来上がり、次に亜空間を小屋内に繋げてから空間内を整える。
「あ、どうせなら別荘的な場所にしたいね」
「べっそう?」
「遊びに行くところを作ろうかなーって」
「わぁい!ぼく、せらとあそぶ!」
ぴょんこぴょんこ飛び跳ねる白銀の毛玉は最高に可愛い。
少ない知識の中、ハワイ的な避暑地を思い浮かべて海と空と白磁の建物を制作。ハワイ行ったことないから想像上のものだけどね。
「よし!多分出来た!」
「ほんと!?じゃあ、はやくはいろうよ!」
あ、小屋の入口、スヌーは入れるけど私キツイな。
「ちょっと待ってー。もう少し小屋を大きくしないとわたし入れないからね。どうせなら扉もつけた方が良いかな~。引き戸ならスヌーも開けられるでしょ?」
「うん。あけられるよ!」
小屋は大型犬が悠々と入れるくらいの大きさに調整し、大人なら屈めば入れる高さの扉を設置する。
うん、小屋っていうより物置の大きさになったね。
まあ、いっか。
「これなら大きくなっても問題無いかな。じゃあ入ろうか!」
「わあい!」
カラカラーっと軽やかな音を立てて開いた扉の中は、直接亜空間に繋がっていて、これもまたまずいか?と考え直した。
「スヌー、ここも変えなきゃ。開けてすぐはまずい」
「どうして?」
「家の隣に作っちゃったから、お客さんが来た時にこの扉開けたら中身丸見えだよ。あれは何!?ってスヌーのお家に入られちゃうかも」
「それはだめだよ!せら!なんとかして!」
自分の家にズカズカ他人が入ったら嫌だもんね。
とにかく中は外見と同じ木製の小屋に見えるように幻覚魔法を施せばいいかな?小屋に入れる人の認識魔法も付けよう。私とスヌー、一応家族全員も入れとくか。そうそう、小屋が傷まないように保護して~壊れないように結界張るのもいいね!ルー兄もやってたし!
あれこれやっていたら、どんな攻撃にも傷ひとつ付かない頑丈な小屋になった。
まあ、いっか。
「よし!これでOK!次こそ中に入るよー」
「たのしみ!」
扉を開いて、一歩踏み出した瞬間からほのかに甘い花の匂いに包まれ、爽やかな風が吹く。足元はふかふかの芝生で、裸足でも問題なさそうだ。
目の前には白磁のリゾートホテルをイメージした3階建て建物があり、少し先には海が広がっている。ココナッツの生っているヤシの木も、もちろんわっさわさ。
「いいねぇ~」
「すごーい!せら、すごーい!」
ふかふかの芝生にぴょんこぴょんこし、海を見て鼻をピスピスさせ、建物に目を向けて瞳をキラキラさせている。ぐうかわ。
「好きな場所で遊んでいいからね。わたしは建物の中を確認してるから。あそこの水は海って言って、しょっぱいから気をつけてね。一応溺れないように設定してあるからいくらでも泳いで大丈夫よ」
「わかった!ちょっといってくる!」
しぱぱぱぱーっと海目掛けて走っていくスヌーを見送って、建物内に入る。
「とりあえず家族分の個室は確保するか。あとは娯楽室に大浴場、マッサージルームも欲しいなぁ。あとキッチンと~、みんなで集まれるリビング的な場所も欲しいね」
想像するだけで作れるなんて素敵。
ひとしきり各部屋を整えて建物を出ると、タイミング良くスヌーも戻ってきた。満足気な様子に安心する。
「じゃあそろそろ戻ろうか。建物の中にスヌーの個室があるから好きに使ってね。スヌーの絵が書いてある部屋だよ」
「わかった!ありがとう、せら!」
芝生の上にポツンと立っている引き戸に違和感が凄いが、カラカラと開いて外に出る。
この小屋の事はみんなが集まる夕食時に報告しよう。
みんなに見てもらってから、好みの家具を設置するのもいいしねぇ。
「はい!」
「まずはスヌーくん、君はどこまで大きくなるのかな?」
「はい!ぼくはおとなになったら、せらのおうちくらいになります!」
「……」
平屋の4LDKはありそうな結構大きい家を見上げる。
小屋、無理。
DIYやる気満々だったのに。
ガックリと四つん這いで項垂れる。
「スヌーくん。どうやらわたしには荷が重かったようだ…」
「せら!?どうしたの!?」
ふわふわの頭をセラに擦り付けて、心配してくれるスヌーに癒されつつ、大袈裟に項垂れていた体勢をやめて普通に座る。
「うーん。スヌーの体が大きすぎて、小屋作れない」
「だいじょうぶ!ぼく、おおきさかえられるから!」
「あれ、そうなの?どのくらい?」
「いまのおおきさから、せらのおうちくらいまで、じゆうにかえられるよ!……おとなになったらだけど…」
今はまだ出来ないんだ…と、しゅんとする姿にキュンとした。クソかわ。
「はっ!わたしチートだった!スヌーのお家作れるよ!」
魔法を使うのも頭が良くないと意味無いな。チートって言っても発想が出来ないと宝の持ち腐れだわ。
「スヌーくん!君のお家を今から作るとする!心して見ておくんだ!」
「らじゃー!」
もう一回軍隊ごっこの仕切り直しだ。スヌーはなかなかノリが良くて楽しい。
「まずは木製の犬小屋を作ってと。創造魔法で3Dプリンター!」
ズゾゾゾッと日本でよく見かけるポピュラーな木製犬小屋が出来上がり、次に亜空間を小屋内に繋げてから空間内を整える。
「あ、どうせなら別荘的な場所にしたいね」
「べっそう?」
「遊びに行くところを作ろうかなーって」
「わぁい!ぼく、せらとあそぶ!」
ぴょんこぴょんこ飛び跳ねる白銀の毛玉は最高に可愛い。
少ない知識の中、ハワイ的な避暑地を思い浮かべて海と空と白磁の建物を制作。ハワイ行ったことないから想像上のものだけどね。
「よし!多分出来た!」
「ほんと!?じゃあ、はやくはいろうよ!」
あ、小屋の入口、スヌーは入れるけど私キツイな。
「ちょっと待ってー。もう少し小屋を大きくしないとわたし入れないからね。どうせなら扉もつけた方が良いかな~。引き戸ならスヌーも開けられるでしょ?」
「うん。あけられるよ!」
小屋は大型犬が悠々と入れるくらいの大きさに調整し、大人なら屈めば入れる高さの扉を設置する。
うん、小屋っていうより物置の大きさになったね。
まあ、いっか。
「これなら大きくなっても問題無いかな。じゃあ入ろうか!」
「わあい!」
カラカラーっと軽やかな音を立てて開いた扉の中は、直接亜空間に繋がっていて、これもまたまずいか?と考え直した。
「スヌー、ここも変えなきゃ。開けてすぐはまずい」
「どうして?」
「家の隣に作っちゃったから、お客さんが来た時にこの扉開けたら中身丸見えだよ。あれは何!?ってスヌーのお家に入られちゃうかも」
「それはだめだよ!せら!なんとかして!」
自分の家にズカズカ他人が入ったら嫌だもんね。
とにかく中は外見と同じ木製の小屋に見えるように幻覚魔法を施せばいいかな?小屋に入れる人の認識魔法も付けよう。私とスヌー、一応家族全員も入れとくか。そうそう、小屋が傷まないように保護して~壊れないように結界張るのもいいね!ルー兄もやってたし!
あれこれやっていたら、どんな攻撃にも傷ひとつ付かない頑丈な小屋になった。
まあ、いっか。
「よし!これでOK!次こそ中に入るよー」
「たのしみ!」
扉を開いて、一歩踏み出した瞬間からほのかに甘い花の匂いに包まれ、爽やかな風が吹く。足元はふかふかの芝生で、裸足でも問題なさそうだ。
目の前には白磁のリゾートホテルをイメージした3階建て建物があり、少し先には海が広がっている。ココナッツの生っているヤシの木も、もちろんわっさわさ。
「いいねぇ~」
「すごーい!せら、すごーい!」
ふかふかの芝生にぴょんこぴょんこし、海を見て鼻をピスピスさせ、建物に目を向けて瞳をキラキラさせている。ぐうかわ。
「好きな場所で遊んでいいからね。わたしは建物の中を確認してるから。あそこの水は海って言って、しょっぱいから気をつけてね。一応溺れないように設定してあるからいくらでも泳いで大丈夫よ」
「わかった!ちょっといってくる!」
しぱぱぱぱーっと海目掛けて走っていくスヌーを見送って、建物内に入る。
「とりあえず家族分の個室は確保するか。あとは娯楽室に大浴場、マッサージルームも欲しいなぁ。あとキッチンと~、みんなで集まれるリビング的な場所も欲しいね」
想像するだけで作れるなんて素敵。
ひとしきり各部屋を整えて建物を出ると、タイミング良くスヌーも戻ってきた。満足気な様子に安心する。
「じゃあそろそろ戻ろうか。建物の中にスヌーの個室があるから好きに使ってね。スヌーの絵が書いてある部屋だよ」
「わかった!ありがとう、せら!」
芝生の上にポツンと立っている引き戸に違和感が凄いが、カラカラと開いて外に出る。
この小屋の事はみんなが集まる夕食時に報告しよう。
みんなに見てもらってから、好みの家具を設置するのもいいしねぇ。
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