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31.意志(3)

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 ミーアが抵抗もせずにその唇を受け入れると、少ししてからリオンが舌を差し込んでくる。熱くぬめるそれにミーアは一瞬怯むも、すぐに舌を絡ませられ、口づけはどんどん深いものになっていった。
 
「んんっ……! り、リオン殿下、これ以上は」
「これ以上は……なんだ?」
「っ……、お、お体に障ります」
「大丈夫だ、もうほとんど痛みはない。それより、もっときみの体温を感じたい。……駄目だろうか?」

 ねだるような男の声音に、ミーアは逡巡する。でも、今のリオンを冷たく突き放すことがどうしてもできず、ためらいながらもその手を受け入れることにした。

「す……少しだけ、なら……」

 ミーアが答えると、リオンは安心したように笑みを見せた。

「ありがとう、ミーア」

 そう言ってすぐに、リオンはもう一度ミーアの唇を奪った。決して乱暴ではないのにその口づけは今までよりもずっと激しく、ミーアは成すすべもなく翻弄される。そして口づけは止めないまま、リオンは衣の上からそっと胸に触れ、そのまま優しく揉みしだいた。

「あ……っ、や、む、胸はっ」
「嫌か?」
「く……くすぐったい、です」
「そうか。少しだけ、触らせてほしい」

 もどかしいほど優しく胸を揉まれ、ミーアは何とも例えがたい甘い痺れに吐息を漏らす。時折、敏感な胸の先端をリオンの指が掠めるたびに体が跳ねて、ミーアは羞恥で頬を真っ赤に染めた。

「ふふ、愛らしいな……そのように恥ずかしがらなくてもいいのに」
「や……っ、だ、だって」
「胸はあまり弄ってこなかったからな。しかし、こんなにも可愛い反応をしてくれるなら最初から触れておけばよかった」

 口惜しそうに言うと、リオンはミーアの着ている衣の袷からそっと手を差し入れた。そして、今度は直接胸に触れて、硬く尖りはじめた先端を指先で擦りあげる。

「あっ! ……あぁ、やっ……!」
「声を我慢しないでくれ。もっと、きみの声が聞きたい」
「やぁ、でもっ……! っふ、ああっ」

 鼻にかかったような甘ったるい声が自分のものであると信じたくなくて、ミーアはぎゅっと目をつぶる。そんな彼女をリオンは愛おしそうに見つめながら、朱く色づいた突起をゆっくりと刺激し続けた。

「はぁ、あっ……! もう、お願いです、これ以上はっ……!」
「ああ……そうだな。私も苦しくなってきた」

 息を乱しながらミーアが首を傾げると、リオンは彼女の手を取り自らの下腹部に触れさせた。そこは衣服の上からでも分かるほど硬く主張していて、ミーアは思わず息をのむ。

「っ……! で、でも、お怪我が」
「そうだな。さすがにこの状態でいつものようにきみを抱いたら、傷口が開きそうだ……ああ、そうだ」

 リオンは何かを思いついたように声を上げると、薄い部屋着の前を寛げた。窮屈そうに衣服の中に押し込まれていた一物が急に目の前に現れたことでミーアは赤面するも、彼は何食わぬ顔で彼女の目を見て言い放つ。

「ミーア、服を脱いで私の体の上に乗ってくれ」
「……はっ?」
「ここに跨がってくれればいい。挿入するときは私が手伝おう」

 その言葉の意味を理解して、ミーアは目を見開いた。すぐにぶんぶんと首を横に振ったが、リオンは困ったように笑いながらミーアの衣を脱がせにかかる。そして彼女があたふたしているうちに、あっという間にそれらをはぎ取ってしまった。

「やっ……! だ、駄目です! 殿下は怪我をされているのに、こんなこと……!」
「ふふ、私の心配をしてくれるのか。優しいな」
「そんな話をしているのではありません! こ、子作りでしたら、怪我が治ってからでも」
「子作り、か……間違ってはいないが、今はただきみの体温を肌で感じたいだけなんだ。きみに触れられればそれでいい」
「そ、そのような屁理屈を言われましても……」
「屁理屈だろうか? それなら、今日はきみの中に種付けはしない。ミーアの感じる顔が見られたらそれで終わりにして構わないのだが、駄目か?」

 必死に見える表情でそう提案するリオンに、ミーアはしばしの間葛藤する。

「で、でも……前もそのように言って、結局は……」
「ああ……そうだったな。あの時はすまなかった。だが、今日は必ず約束を守る。もし破ったら、私の腕を踏みつけてもいい。今なら簡単に傷口が開くだろう」
「そ、そんなことをしたらお医者様が悲しみます! 分かりましたから、どうかご自分の体を大事にしてください……!」

 仕方なくミーアが折れると、リオンはどこか眩しげに目を細めた。それから、書類の積み重なった机を手で退かして、ミーアを自らの正面へと誘う。

「あっ……」
「片腕しか使えないが、きみが痛がるようなことはしない。そのまま、私に身を委ねてくれ」

 戸惑いながらもミーアがこくりと頷くと、リオンはそっと彼女の秘所に手を伸ばす。そして、下着の上から秘裂を確認するように指でなぞった。くちゅっと湿った音がして、ミーアはこれ以上ないほどに赤面する。

「よかった……濡れているな」
「ひっ……や、やぁ、なんで……っ」
「乳首を刺激したのが良かったようだな。ふふ、愛らしい……」

 まだ触れられてもいないのに、と自分の体の変化に困惑するミーアをよそに、リオンは喜びをあらわにしながら濡れた蜜穴に人差し指を一本挿し入れた。ほとんど抵抗なく飲み込まれていく指の感触にミーアは震え、彼女の意思に反してその口からは甘い声が漏れる。

「ん、あぁっ……! ん、んんっ」
「温かいな……きみは、どう動かされるのがいい? こうして抜き差しするのはどうだ?」
「ああっ! や、やぁっ、あまり激しいのは、苦しいです……っ!」
「そうか、すまない。では、こうして膣内なかを擦り上げるのはどうだ?」
「え……んっ、んうぅっ! っあ、それはっ……!」

 中の一番感じる箇所を指で押され、ミーアは切なく喘いだ。寝台の柵に背をもたれ座るリオンは、彼女の表情を観察しながらゆっくりと指を動かしていく。

「ん、あっ、ひああっ……! でん、か、もうやめっ……」
「もう少し……きみが達するまで、こうさせてくれ」
「えっ……!? わ、わたしが、達するまでって……?」
「ミーアはまだ絶頂を覚えていないだろう? 今まで何度も達する直前までは行っていたが、途中で止めてしまっていたからな」
「で、ですが、その……私は、女です。男性の象徴が無いのに、どのようにして達するのですか」

 おずおずとミーアが尋ねると、リオンは鳩が豆鉄砲を食ったように目を丸くした。かと思えば口元に手を当てて笑みを零し、優しい口調でミーアの問いに答える。

「確かに、きみは女性だから射精はできない。だが、ある一定まで快感を得れば絶頂に達することはできるんだよ。ふふ、教えていなかった私が悪いな」
「そう、なのですか……? よく分かりません」
「口で説明するより、体感するのが手っ取り早いだろう。私の肩に手を置いて、もう少し足を広げてくれ」
「えっ……! でも、お怪我に響きませんか……?」
「大丈夫だ。そんなことより、何がなんでもきみに絶頂を味わわせてあげたくなった」

 リオンは興奮したように言うと、中に入れた指をぐっと曲げた。その瞬間にミーアの背が弓なりに反って、えも言われぬ快感が体中を駆け巡る。ぐちゅ、とぬかるんだ音が耳に届いて、ミーアは彼の肩に縋りながら羞恥に頬を紅く染めた。
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