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ピクトという男2

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「うぇーん」
 遠くで赤ちゃんの泣き声が聞こえる
 聞き覚えがある泣き声…
 目を開けたいのに…重くて開けられない…
 目を開けないと…あの子が泣いてるの…泣いて…
「キュアちゃん‼︎」

 リリーラは 泣き声の主を思い出して ガバッと飛び起きた
「えっ…ここは?」
 リリーラは知らない部屋に寝かされていた

 いつもの白で統一されたリリーラの部屋とは違い 真っ黒い部屋 まるで正反対の部屋に寝かされていた


 驚きとともに頭痛がし、くらくらとベッドに再び倒れ込む

「急に起きるだよ…まだ寝てた方がいいよ…」
 急に近くから話しかけられ リリーラはビクッと体を揺らした


 リリーラが声をした方を向くと 紫色の髪をした男がこちらを見ていた
「やぁ!起きたんだね おはよう
 中々目覚めないから ちょっと心配したよ
 調子はどうだい?」
 突然知らない男に話しかけられ、リリーラは応えていいものか戸惑った


「えっと…あの…」
「あぁ、自己紹介してなかったよね
 俺はピクトだよ
 よろしくね リリーラ」
 ピクト?聞いたことのない名前にリリーラは首を傾げる

「あの…以前お会いしたこと…ありますか?」
「あぁ…あるよ
 君さ 記憶失くした期間あるだろ?その時アッシュの城で会ったんだよ 俺と」
 あぁ…なるほど…とリリーラは思った
 その期間に出会ったなら 確かに自分は このピクトという人は知らないはずだ
 それもアッシュ様の城で出会ったというなら彼の知り合いか…と思い 警戒感を解いた


「ごめんなさい…アッシュ様のお知り合いなのですね…
 そうなんです…記憶がなくって…
 ところで…こちらはどこなんですか?」
 その質問を待っていたかのようし ピクトはニヤッと笑った
「ここはね…シュートリアって国なんだ…」

「シュー…トリアですか?」
 セピアに聞いたリリーラの故郷の名前だ

「うん、シュートリアだよ
 君が産まれたところだよね」
 ピクトは明るくこたえる

「なぜ…私はシュートリアに?」
 故郷に戻ってきたというのにリリーラは全く嬉しくもなく、懐かしくもなかった
 シュートリアという言葉に嫌悪感しかなかった


「君に会いたいと言う人がいてね 連れてきたんだよ
 まぁ明日?会いにくるらしいから ちょっと待ってね」
 リリーラの気持ちに気づかないのか ピクトは明るい声で話す


「いえ、私はここに居たくはありません…私に会いたいとおっしゃるなら アッシュ様のお城で会うとお伝えいただけませんか?」
 リリーラはまっすぐピクトを見つめながら言う 

「君は…アッシュの所へは戻れないよ」
ピクトはニコッと笑った
 

♫♫♫♫♫♫
今日22時にUPします
隙をみて書いていますので 時間が最近固定できずにすいません
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