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お好きなものは何ですか?

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 リリーラはベッドの上でスープを飲んでいた。

 ソファーまで歩いて食べるといったが ではアッシュが抱き抱えて 連れて行くといったので リリーラはベッドで食べることを選択した。

「昨日、アンナに怒られたんだよ。3週間も眠っておられた方に紅茶とお菓子を勧めるなんてね…って  あっ アンナは侍女だよ…後で紹介するね」

 ゆっくりスープを飲む様子をアッシュは嬉しそうにみる。
 スープを飲み干すと、ますますリリーラの体に力が入った気がした。 


 窓が開かれていて、カーテンが揺れている。
 気持ちのいい風が より一層リリーラの頭をすっきりさせた。


 ティアラが尻尾を揺らしながら部屋に入ってきて「ニャー」といいながら アッシュの足にからんでいく。

「以前 黒い犬を助けました…孤児院の庭に黒い犬が怪我をしていて…その犬を助けようとして…癒しの力が使えるようになったと思います…」

 アッシュに甘えるティアラを見て思い出した事を つぶやく。

「私は幼かったのと 初めて力を使ったので 全部の傷は治せなかったんですけどね…少しは治せて…いつの間にいなくなっていたので 動けるぐらいには治せたのかもしれませんね」

 つまらない思い出をつい話してしまったリリーラはアッシュの反応をみた。

 アッシュは足に絡みつく ティアラを抱き上げ、膝に座らせた。
「少しずつ思い出したんだね…楽しい記憶もあるだろうが 悲しい記憶も思い出させてしまうね…ごめんね…
 私はリリーラの話は何でも聞きたい。リリーラの過去もなんでも知りたいんだ。」

 リリーラには 楽しい記憶があまりなかった。悲しい記憶ばかり思い出され、ちょっと寂しくなった。
「あまり…楽しい記憶はなくって 悲しい記憶ばかりで…お聞かせするようなことはなにも…」


 このよえな容姿のため孤児院で子供達にいじめられ、泣いたこと…大人たちにも気味がわるいと言われ一日中フードをかぶっていたことなどを思い出した。


 悲しい記憶を思い出に ついリリーラは手を固く握りしめていた。
 アッシュはその手をそっと握ると 口づけした。
「えっ…あの…えっ」
 リリーラは顔を真っ赤にして狼狽える。

「嫌だったか?」
 ちょっと首を傾げながらアッシュは聞く。

「嫌では…ありません…」
 小さい声でリリーラはこたえた。
「今までは 悲しいことばかりだったんだな
 リリーラこれからは 私と楽しい思い出をたくさん作っていこう!
 君の好きなものは、なんだい?私の好きなものはね…」


 リリーラが目覚めて2日目、アッシュとリリーラは お互いを知るために 話すことからはじめた。
 

♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫
22時にUP予定です
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