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ティータイム2

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 美味しそうなクッキーやケーキもアッシュに勧められたが リリーラは 空腹を感じていないため 断った。

 ふぅ、っとアッシュは大きく息を吐いて、
「さて」
 と話を切りだした。
「リリーラ ここに来るまでの記憶を思い出したかい?」
 リリーラは 少しですが…と前置きをして 話し始めた。
 

「私は 孤児院に捨てられていました。
 両親の顔を知りません。孤児院では 私の白い髪と目が人とは違うので…捨てられた…と
 えっと…いつからか わからないのですが 病気を治せたり、傷を治せたりする力を持っていた気がします。
 それでお城に連れて行かれて
 怪我をされていた 偉い誰かを治療したことまで覚えています」

 アッシュは うんうんと頷きながら リリーラの話を聞く。
「それは何歳ぐらいだった?」
 リリーラは うーんと考える。
「何歳ぐらいかは覚えていないのですが、この髪がここの耳あたりでしたので 小さい頃のことかと…
 そこから 記憶がずっとぼんやりしてまして…
 顔は覚えてないのですが女性の方にいつもお世話をしていただいていた気がします。」
 リリーラは 今まで思い出していた事をアッシュに伝えた。


「君…リリーラは何故ここにいるか分からないと思う。私が答えてもいいと思うんだが、私より リリーラと近いものが 話したほうがわかりやすいと思うんだ。ちょっと…彼女が来るまでに時間をくれるかい?」
 アッシュは心配そうにリリーラに聞く。

「はい、私も自分の頭の中を整理したいので お時間をいただけるほうが助かります」
 ホッとしたような顔をアッシュはしたが 思い出したように真剣な顔をした。


「リリーラ 今君はすごく不安だと思うんだ。君は私の事をよく知らないだろうし…
 でも 私は君の事を君以上に知っている。
 ずっと探していたんだ。本当に ずっと…」
 切ないその告白に リリーラは戸惑う表情を浮かべるしかなかった。
 
 
「おやすみ…」
 と言って アッシュは名残惜しいそうに リリーラの部屋のドアを閉める。
 ベッドから 「おやすみなさい…」と小さくリリーラが返事をする。
 リリーラの部屋のドアにアッシュはもたれかかり 右腕を額にあてる。
 
 ー自分がこんなにも 独占心がつよいとは思わなかったー
 アッシュは自分の心の変化に驚ろく。
 
 ーエイラーにも 会わさないようにするとは…重症だな 私はー
 
 ドアを開けたい衝動を抑えるように 大きくため息をついて
 廊下を歩いていった。
 

♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫♪♫
22時にもう一話UP予定です
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