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第8部
第二章 再会と、新たなる出会い③
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『は、初めまして』
コウタに続き、メルティアが声を張り上げた。
『メ、メルティア=アシュレイです。コウタの幼馴染で、同級生で、ア、アシュレイ家の長女、です』
続けて、ブオンと頭を下げる。ハンマーを振り下ろすような挨拶に、アティス王国の少年達は表情を強張らせた。少女達も少しだけ腰が引けている。
「これは申し遅れました」
そんな中、壮年の騎士が堂々とした佇まいで挨拶を返してくる。
「私の名は、ガハルド=エイシスと申します。アティス王国第三騎士団の団長を務める者です。アシュレイさま。ヒラサカ殿。どうか、お見知りおきを」
言って、騎士はコウタに一礼をし、メルティアの着装型鎧機兵の手の甲にキスをした。
礼儀正しい騎士団長の対応を見て、少年少女達も続いた。
「おう! 俺の名はエドワード=オニキスだ!」
まずは、ブラウンの髪の少年が名乗る。
「エドと呼んでくれ!」
二カッと笑ってそう告げた。
とにかく明るそうな少年だ。
コウタとメルティアは「宜しく」と返して、エドワードと握手を交わした。
「ロック=ハルトだ。二人とも宜しくお願いする」
続けて、そう名乗ったのは大柄な少年。ジェイク並みの巨漢だ。
少し武人のような雰囲気を持っている。
コウタ達は彼とも握手した。
「サーシャ=フラムです。よろしくお願いします」
楚々たる仕草で名乗るのは、銀髪の少女だった。
甲冑まで着た見た目は、まさに騎士そのものなのだが、何というか良き母、良き妻になりそうな穏やかさを持つ少女だ。
(やっぱりこの人がサーシャ=フラムさんか)
コウタは、少しだけ複雑な想いで彼女と握手を交わした。
「私はアリシア=エイシスよ」
長い髪をなびかせて、活発そうな少女が名乗る。
顔つきからして凜々しさを感じさせる少女だ。
ただ、少し気になる。
「……エイシス?」
コウタは、壮年の騎士の方に目をやった。
エイシス騎士団長は、苦笑を浮かべる。
「娘です。礼儀知らずで申し訳ない」
(き、騎士団長の娘っ!?)
コウタは、顔には出さなかったが驚愕した。
その事は、ミランシャからも聞いていなかった。
(に、兄さん、そんな娘にまで好かれてるの……)
まじまじと少女――アリシアを見つめる。
彼女は、怪訝そうに眉をひそめた。
(ま、まあ、それを言うのなら、ルカに至っては王女さまか)
気持ちを立て直す。メルティアと共に、アリシアとも握手を交わした。
そして、最後の一人と向き合った。
「……ユーリィ=エマリア。ルカの友達。よろしく」
空色の髪の少女が名乗る。
やはり、この子こそが兄の義娘らしい。
コウタは一瞬沈黙するが、すぐにニコッと笑って彼女と握手を交わした。
それから、改めて少女達に目をやった。
アリシア、サーシャ。そしてユーリィを。
事前に聞いた話では、彼女達は、全員が兄に想いを寄せているらしい。
「……コウタさま」
その時、不意に、リーゼがコウタに声を掛けてきた。
コウタは、リーゼに目をやる。
彼女は、何とも言えないような表情を浮かべていた。
わざわざ言葉にしなくとも、想いはよく伝わってくる。
コウタは、とても困ったような表情を見せた。
「……うん。分かっているよ。リーゼ。彼女達に加えて、さらに……」
そこで、視線をルカにも向ける。
可愛い後輩は、不思議そうに首を傾げていた。
「……多分、ルカもなんだよね。はぁ……」
思わず溜息が出てくる。
「あ、あの……」
すると、サーシャが、おずおずと手を上げた。
「ど、どうかしたんですか? その、ヒラサカ君」
優しそうな少女が、心配げな眼差しで尋ねてくる。
「あ、コウタで構いません」
コウタは内心では苦笑しつつも、笑った。
「ボクらも、出来れば皆さんのことを名前で呼びたいですし」
「それは、別に構わないけど……」
続けて、アリシアがコウタに尋ねてくる。
「じゃあコウタ君。何かさっきから奇妙な感じなんだけど、何かあったの?」
随分と直球な質問だ。
(これは露骨だったかな?)
確かに、心情を隠しきれていなかったように思える。
リーゼやジェイクの方に目をやると、彼らは嘆息したり、肩を竦めていたりした。
(う~ん)
コウタは、頬をポリポリとかいた。
「いえ。本当に話通りの容姿の人達なんだなって思って。実は、ボクらはここにいる皆さんのことをあらかじめ聞いていたんです」
「「「………………え?」」」
アリシア達は目を丸くする。
これもまた当然の反応か。コウタは心の中でふっと笑う。
「もちろん、ここにいないオトハ=タチバナさんや――」
そこで、コウタは少し躊躇った。
が、すぐに意を決し、その名を呼んだ。
「……アッシュ=クラインさんの、ことも」
――兄の今の名を。
一瞬、沈黙が降りる。
驚くルカも含めて、アリシア達は呆然としていた。
「ルカ」
ユーリィが、訝しげな様子でルカに尋ねる。
「私達のことを事前に教えてたの?」
それに対し、ルカは、ブンブンとかぶりを振った。
「ア、アリシアお姉ちゃんのことや、サーシャお姉ちゃんのことは少し話したことはあるけど、ユーリィちゃんや、仮面さんのことは話したことはないよ」
「……じゃあ、どうして私達のことを知ってるの?」
ユーリィが眉根を寄せる。
それはアリシアやサーシャ、ロック達も同様だ。
ユーリィに限らず、アティス組にしてみれば、訳の分からない状況だろう。
と、その時だった。
「それは簡単な話よ。ユーリィちゃん。だって、アタシが教えてあげたのだから」
その声は、唐突に響いた。
それは聞き覚えのある声だった。
コウタ達のみならず、アリシア達にとっても、だ。
事実、アリシア達はギョッとしていた。
エイシス騎士団長も桟橋に目を向けて「ッ! あなたは……」と目を剥いている。
彼女を知らないのは、この場ではルカだけだった。
そして――。
「「「ミ、ミランシャさん!?」」」
桟橋に目を向けたアリシア達が、驚愕の声を上げた。
現れたのは、三人目の公爵令嬢。
――嵐を呼ぶ赤髪娘。
ミランシャ=ハウルの登場である。
コウタに続き、メルティアが声を張り上げた。
『メ、メルティア=アシュレイです。コウタの幼馴染で、同級生で、ア、アシュレイ家の長女、です』
続けて、ブオンと頭を下げる。ハンマーを振り下ろすような挨拶に、アティス王国の少年達は表情を強張らせた。少女達も少しだけ腰が引けている。
「これは申し遅れました」
そんな中、壮年の騎士が堂々とした佇まいで挨拶を返してくる。
「私の名は、ガハルド=エイシスと申します。アティス王国第三騎士団の団長を務める者です。アシュレイさま。ヒラサカ殿。どうか、お見知りおきを」
言って、騎士はコウタに一礼をし、メルティアの着装型鎧機兵の手の甲にキスをした。
礼儀正しい騎士団長の対応を見て、少年少女達も続いた。
「おう! 俺の名はエドワード=オニキスだ!」
まずは、ブラウンの髪の少年が名乗る。
「エドと呼んでくれ!」
二カッと笑ってそう告げた。
とにかく明るそうな少年だ。
コウタとメルティアは「宜しく」と返して、エドワードと握手を交わした。
「ロック=ハルトだ。二人とも宜しくお願いする」
続けて、そう名乗ったのは大柄な少年。ジェイク並みの巨漢だ。
少し武人のような雰囲気を持っている。
コウタ達は彼とも握手した。
「サーシャ=フラムです。よろしくお願いします」
楚々たる仕草で名乗るのは、銀髪の少女だった。
甲冑まで着た見た目は、まさに騎士そのものなのだが、何というか良き母、良き妻になりそうな穏やかさを持つ少女だ。
(やっぱりこの人がサーシャ=フラムさんか)
コウタは、少しだけ複雑な想いで彼女と握手を交わした。
「私はアリシア=エイシスよ」
長い髪をなびかせて、活発そうな少女が名乗る。
顔つきからして凜々しさを感じさせる少女だ。
ただ、少し気になる。
「……エイシス?」
コウタは、壮年の騎士の方に目をやった。
エイシス騎士団長は、苦笑を浮かべる。
「娘です。礼儀知らずで申し訳ない」
(き、騎士団長の娘っ!?)
コウタは、顔には出さなかったが驚愕した。
その事は、ミランシャからも聞いていなかった。
(に、兄さん、そんな娘にまで好かれてるの……)
まじまじと少女――アリシアを見つめる。
彼女は、怪訝そうに眉をひそめた。
(ま、まあ、それを言うのなら、ルカに至っては王女さまか)
気持ちを立て直す。メルティアと共に、アリシアとも握手を交わした。
そして、最後の一人と向き合った。
「……ユーリィ=エマリア。ルカの友達。よろしく」
空色の髪の少女が名乗る。
やはり、この子こそが兄の義娘らしい。
コウタは一瞬沈黙するが、すぐにニコッと笑って彼女と握手を交わした。
それから、改めて少女達に目をやった。
アリシア、サーシャ。そしてユーリィを。
事前に聞いた話では、彼女達は、全員が兄に想いを寄せているらしい。
「……コウタさま」
その時、不意に、リーゼがコウタに声を掛けてきた。
コウタは、リーゼに目をやる。
彼女は、何とも言えないような表情を浮かべていた。
わざわざ言葉にしなくとも、想いはよく伝わってくる。
コウタは、とても困ったような表情を見せた。
「……うん。分かっているよ。リーゼ。彼女達に加えて、さらに……」
そこで、視線をルカにも向ける。
可愛い後輩は、不思議そうに首を傾げていた。
「……多分、ルカもなんだよね。はぁ……」
思わず溜息が出てくる。
「あ、あの……」
すると、サーシャが、おずおずと手を上げた。
「ど、どうかしたんですか? その、ヒラサカ君」
優しそうな少女が、心配げな眼差しで尋ねてくる。
「あ、コウタで構いません」
コウタは内心では苦笑しつつも、笑った。
「ボクらも、出来れば皆さんのことを名前で呼びたいですし」
「それは、別に構わないけど……」
続けて、アリシアがコウタに尋ねてくる。
「じゃあコウタ君。何かさっきから奇妙な感じなんだけど、何かあったの?」
随分と直球な質問だ。
(これは露骨だったかな?)
確かに、心情を隠しきれていなかったように思える。
リーゼやジェイクの方に目をやると、彼らは嘆息したり、肩を竦めていたりした。
(う~ん)
コウタは、頬をポリポリとかいた。
「いえ。本当に話通りの容姿の人達なんだなって思って。実は、ボクらはここにいる皆さんのことをあらかじめ聞いていたんです」
「「「………………え?」」」
アリシア達は目を丸くする。
これもまた当然の反応か。コウタは心の中でふっと笑う。
「もちろん、ここにいないオトハ=タチバナさんや――」
そこで、コウタは少し躊躇った。
が、すぐに意を決し、その名を呼んだ。
「……アッシュ=クラインさんの、ことも」
――兄の今の名を。
一瞬、沈黙が降りる。
驚くルカも含めて、アリシア達は呆然としていた。
「ルカ」
ユーリィが、訝しげな様子でルカに尋ねる。
「私達のことを事前に教えてたの?」
それに対し、ルカは、ブンブンとかぶりを振った。
「ア、アリシアお姉ちゃんのことや、サーシャお姉ちゃんのことは少し話したことはあるけど、ユーリィちゃんや、仮面さんのことは話したことはないよ」
「……じゃあ、どうして私達のことを知ってるの?」
ユーリィが眉根を寄せる。
それはアリシアやサーシャ、ロック達も同様だ。
ユーリィに限らず、アティス組にしてみれば、訳の分からない状況だろう。
と、その時だった。
「それは簡単な話よ。ユーリィちゃん。だって、アタシが教えてあげたのだから」
その声は、唐突に響いた。
それは聞き覚えのある声だった。
コウタ達のみならず、アリシア達にとっても、だ。
事実、アリシア達はギョッとしていた。
エイシス騎士団長も桟橋に目を向けて「ッ! あなたは……」と目を剥いている。
彼女を知らないのは、この場ではルカだけだった。
そして――。
「「「ミ、ミランシャさん!?」」」
桟橋に目を向けたアリシア達が、驚愕の声を上げた。
現れたのは、三人目の公爵令嬢。
――嵐を呼ぶ赤髪娘。
ミランシャ=ハウルの登場である。
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