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第14部

第五章 宣戦布告➂

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 月が輝く、夜の八時過ぎ。
 場所は変わって、王城ラスセーヌの三階の渡り廊下。

 ――カツカツ、と。
 少し急いだ様子の足音が響く。

 足音の主は、赤い騎士服とサーコートを纏った女性だった。
 年齢は二十歳ぐらいか。スレンダーな肢体に、整った顔立ちの女性だ。
 瞳の色は紫色。髪の色も紫色で腰まで届くほどに長く、毛先においては綺麗に整えられている。前髪もまた、斜めの角度で迷いがないぐらいに綺麗にカットされていた。それを銀色の細い留め金で止めている。

 ――カツ、カツ、カツ。
 彼女は、早足で渡り廊下を進んでいた。
 彼女の脳裏には今、とある思い出が浮かんでいた。

 ――あれは、とてもよく晴れた夏の日のことだった。

 いつものように、彼女が自室で授業を受けていた時だった。

『……そうだな。今日は課外授業にしようか』

 屋敷の窓から、蒼い空を見上げた彼は、おもむろにそう宣言した。
 次いで、出不精な彼女を庭園まで連れ出すと、

『よし! 来い!』

 そう告げて、彼は、ゴンと自分の胸板を叩いた。

『ほ、本当にいいのでありますか?』

 当時、十四歳だった彼女が、おずおずと確認する。
 その手には、木剣が握りしめられていた。

『ああ! 構わないさ! 私の防御力は騎士団随一だ!』

 再び、胸板――ブレストプレートを叩いて、彼は言う。
 騎士であっても、今や時代遅れと言ってもいいブレストプレート。しかも、彼はフルフェイスのヘルムまで被っている。
 こんなものを装備していては、騎士団随一の防御力も当然だろう。

『わ、分かったのです』

 彼女は、覚悟を決めて木剣を強くに握り直した。
 そして――。

『やああ!』

 渾身の突きを放つ!

『――うおっ!?』

 彼は驚きの声を上げた。
 そして、
 ――ガツンッ!
 眉間を射抜かれた彼は、盛大な音を立てて吹き飛ばされた。

『お、叔父さまッ!?』

 突いた本人である彼女の方も驚いた。
 彼は、大の字になって横たわっている。

『お、叔父さまッ! 大丈夫でありますか!?』

 彼女が木剣を捨てて駆け寄ると、

『う、う~ん、まさかいきなり眉間に突きとはな。うちの子並みに容赦がない』

 頭を押さえながら、彼は上半身を立ち上がらせた。

『ご、ごめんなさい。叔父さま……』

 彼女が彼の傍で両膝を突き、泣き出しそうな顔でそう告げる。と、

『ははは! この程度で私の防御力は突破できないさ!』

 思いっきり吹き飛ばされておきながら、彼は言う。

『それに稽古なのだから謝る必要などはないさ。シェーラ』

 彼は、彼女の頭をくしゃくしゃと撫でてくれた。

『叔父さま……』

 彼女は、幸せそうに目を細めた。
 そうして――……。


 ――カツカツカツ、と。
 足音は、さらに早くなる。
 回想を終えた彼女は、一つの扉の前で止まった。
 ノックをすると、「入っていいぞ」という許可が返ってきた。
 彼女はドアを開く。と、

「……う」

 部屋の主人が呻くのが聞こえた。
 彼女は、部屋の主人に目をやった。彼女と同じデザインの、ただし、緑系統で統一された騎士服を着た老騎士が、執務席に座っていた。この七十代に近い老騎士こそが、この部屋――第二騎士団の団長室の主だった。
 第二騎士団の団長。カザン=フォクス。アティス王国において、六家しかない侯爵家の一つ、フォクス家の当主でもある。

 そして、

「お爺さま」

 彼女――シェーラ=フォクスの実の祖父でもあった。

「……むむ」

 しかし、孫の来訪に、祖父の面持ちは思わしくなかった。

「……何の用だ? シェーラ」

「シェーラは、お爺さまに失望しているのであります」

 いきなりシェーラは、そう言い放った。

「い、いや、シェーラよ」

 カザンは狼狽する。

「儂とて努力はしたのだぞ?」

 コホンと喉を鳴らす。

「しかし、儂でもお前をあやつの直属の部下にするところが手いっぱいでな」

「かつて、お爺さまは約束しました」

 冷淡な表情で、シェーラは祖父の前まで近づいていく。

「《夜の女神杯》。それに優勝すれば、願いを一つ聞いてくれると」

「い、いや、確かにそうは言ったが……」

「シェーラは優勝しました。お爺さまも喜んでくださったはずです」

「いや、あのな、シェーラ」

 カザンは部下には決して見せない、今にも泣き出しそうな顔をした。

「お前の願いが想定外すぎたのだ。どうして可愛い孫娘に、子持ちの四十男との見合いをセッティングせねばならんのだ」

「それは当然、シェーラが叔父さまと結婚するためです」

 シャーラは迷いなく言った。

「なのに、お爺さまはこの二年間、一度も叔父さまとの見合いをセッティングしてくれなかったのであります」

「いや、だから、せめてその代わりに、お前が、あやつの部下に配属されるように苦慮したではないか」

「シェーラは、叔父さまの部下ではなく妻になりたいのです」

 やはり迷いのないシェーラ。カザンは頭を抱えた。

「そもそも、叔父さまは昔からどこか抜けているのであります。シェーラが早くお傍に行かないと不安であります」

 と、シェーラは言う。すでに解決こそしたが、シェーラが想いを寄せる彼が、とある成り上がりの富豪に陥れられて借金まみれになった事件は記憶に新しい。

「………はあ」

 カザンは嘆息した。

「まさか、お前がそこまであやつに執着するとはな。引き籠りだったお前を更生させてくれたことには感謝するが、あやつを家庭教師に据えたのは間違いだったか……」

 一拍おいて、

「しかし、見合いをセッティングすると言っても、そもそもあやつは受けんぞ。あやつの亡き妻に対する想いの深さは騎士団では有名だからな」

「それは、知っているのであります」

 シェーラは一瞬だけ無念の表情を浮かべつつ、言葉を続ける。

「シェーラが、真っ当な手段でアピールしても、叔父さまは見向きもされないでしょう。だからこその見合いなのです」

 シェーラは、サーコートの中に手を入れた。

「所属は違っていても、騎士団長からの見合い話ならば叔父さまも断れないはず。一度その場さえ設けてくれれば、後はシェーラが何とかするのであります」

 そう言って、シェーラはサーコートの中から一枚の封筒を取り出した。

「今年の《夜の女神杯》の招待状です。予選免除だそうです。シェーラは、今回も出場するつもりです」

 トンと封筒を執務席に置いて、シェーラは祖父を見据えた。

「今度こそお約束してください。シェーラが二連覇した暁には、叔父さまとの見合いをセッティングしてくれると」

「……うぐ」

 カザンは呻いた。
 本音を言えば断りたい。
 どうして、まだ二十歳になったばかりの孫娘を、四十後半に差し掛かった男に嫁がせる手伝いをせねばならないのか。
 しかも、その男には十七になる娘までいるのである。
 仮にその男と結ばれた場合、わずか三歳差の母娘ということになる。
 流石にとんでもない話だった。

「シェーラよ。考え直す気は……」

 と、カザンが交渉しようとしたら、

「シェーラも約束するのであります」

 孫娘は先手を打って、祖父にとっての弱点を突いてきた。

「お爺さまがお約束してくれるのなら、シェーラは、三年――いえ、二年以内にお爺さまにひ孫の顔をお見せすることをお約束するのであります」

「………うぐっ!」

 思わず仰け反るカザン。この台詞は実に効いた。

「叔父さまには、男児はいないのであります。ご息女も十七。いつ他家に嫁がれてもおかしくない年頃。叔父さまには後継が必要なのであります」

 腹部に両手を置き、少し頬を赤くしつつ、シェーラが言う。

「叔父さまに愛され、叔父さまの御子を宿して育む。シェーラ最初の大役であります。お爺さま。ひ孫の顔は見たくありませんか?」

「……ぬ、ぬうゥ」

 カザンは思わず唸った。
 シェーラは、カザンにとって唯一成人している孫だ。
 孫なら他にも二人いるが、一人は四歳。もう一人に至ってはまだ二歳だった。
 未だ現役の騎士といっても、カザンも相当な高齢だ。恐らく自分が生きている間に、ひ孫の顔を見せてくれる可能性があるのはシェーラだけだった。

「……ぐ、ぐうゥ、わ、分かった」

 カザンは、苦渋の末に承諾した。

「……お前が二連覇した暁には、あやつとの見合いを必ずセッティングしよう」

「ありがとうございます。お爺さま」

 シェーラはこの部屋に来て、初めて笑った。
 カザンは深々と嘆息する。
 ひ孫の顔も見たいが、ここで拒否して孫娘に嫌われるのだけは御免だった。
 どうにか、それだけは避けられたようだ。

「では、失礼いたします。お爺さま」

 と、用は済んだとばかりにシェーラは、一礼して退室していった。

「まったく。あの娘は……」

 カザンとしては脱力するしか他なかった。
 一方、部屋を出たシェーラは上機嫌だ。

(ようやく。ようやくであります)

 笑みを零しつつ、渡り廊下を歩く。
 そうして――。

「……アラン叔父さま」

 シェーラは、自分の胸元で誓うように右の拳を固めた。

「待っていて欲しいのです。シェーラは絶対に勝ちますから」

 …………………。
 ………………。
 …………。

 そうして、夜が明けた。
 朝が来て、日常が始まり、昼過ぎになった頃だった。
 クライン工房隣の大広場。

「なあなあ! アッシュ!」

 今日は休日だったので、朝一から講習に来ていたサーシャも交えたアッシュたちに、やって来たばかりのレナは、こう告げるのであった。

「オレと決闘しようぜ!」
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