上 下
420 / 499
第14部

第一章 想いは変わらず③

しおりを挟む
 長い船旅を経て、およそ二週間後。

「おお~、意外といい国じゃないか」

 アティス王国の市街区にて。
 キャスリンは、感嘆の声を上げた。

「もっとド田舎だと思っていたのだけどね」

 石畳で舗装された大通り。一定間隔で設置された恒力を利用した街灯。遠く見える高台には白亜の王城も見える。歩道と車道は明確に区分けされている訳ではないようだが、通行人も馬車も互いルールを守った通行を心掛けているようだ。

「へえ、これなら『鉄鋼車輌』が走っても問題なさそうっすね」

 と、ダインが呟く。
『鉄鋼車輌』とは、オズニア大陸の東方地区で普及されつつある馬を必要としない馬車のことだ。鎧機兵の技術を活用した恒力を動力にする輸送車である。
 非常に便利ではあるが、馬よりも速すぎて法整備や公道の舗装が徹底されていない場所では、些細なことで大事故を起こしやすいという問題もある。
 そのため、ごく一部の地域のみで、試行的に運用されているのだが、技術的にはもうほとんど確立しているとも言えた。

 ちなみに現在、『鉄鋼車輌』の開発、運用テストは鎧機兵発祥の地であるセラ大陸でも行われている。皇国や、エリーズ国のような大国では率先して行っていた。
 課題や問題点はまだあるが、それらも徐々に解決されつつあるので、『鉄鋼車輌』が世界的に認可される日も近いのかもしれない。

「治安も……よさそうだ」

 ハークスが、双眸を細めて呟く。
 彼の瞳には、老人に声を掛ける黄色い制服の騎士の姿が映っていた。
 大荷物を代わりに持ってあげようとしているようだ。

「ここならゆっくり出来そうだね!」

 キャスリンが、ニカっと笑う。
 しかし、それに対してレナの表情は、

「……そうだな」

 まだ暗いままだった。
 二週間の船旅でも、ずっと同じ顔をしていた。
 やはり相当重症のようだ。

(う~ん)

 キャスリンは、頭をかいた。

(これは根が深いね。やはり仕方がないか)

 キャスリンは、レナの友人だ。
 時々一緒に入浴もするし、親友と呼んでもいい間柄だ。
《フィスト》の立ち上げ時からの相棒であり、最も親しい人間でもある。

 だからこそ分かる。
 いや、分かりやすいぐらいか。

 レナは、何度も聞いたその村の少年に、恋をしていたのだ。
 恐らくは初恋だったのだろう。
 話の内容からも、それは読み取れる。

 傭兵団を一人で潰したとか。殴ると人が飛んでいったとか。

 レナが嬉しそうに語っていたその少年は、とんでもない逸話ばかりを持っていた。明らかに話を盛っている……というより、思い出補正で美化されているのだろう。
 傭兵を拳で吹き飛ばす農民がいるはずもない。

 レナは、ずっと、その少年への想いを大切に保管していたのだ。あれほどの美貌と、羨ましいほどのお胸さまを持っているのに浮いた噂が一つもないはずだ。
 ずっと、彼との再会を願っていたに違いない。
 それが理不尽に壊されてしまった。

 レナのショックは、相当なものだったのだろう。
 しかし件の少年は、結局のところ、レナの初恋の――思い出の相手に過ぎないのだ。
 それも、片思いしていただけの少年だ。

(件の少年が生きているのならともかく、過去の相手に囚われるのはよくないね)

 キャスリンは、視線を落とすレナを見つめた。
 レナは親友だ。当然、幸せになって欲しい。
 ならば、どうすべきなのか。

(決まっている。過去よりも未来が素晴らしいと分からせればいい)

 かつての自分のように。
 堕ちた家名に囚われ、自分たち家族を陥れた叔父への復讐ばかりを考えていた日々。
 それを救ってくれたのが、レナと――ホークスだった。
 特にホークスには、世界観まで変えられてしまった。

 自分が憎悪や確執を抱くことはもうない。
 彼に、どれほどの安らぎを与えてもらってきたことか。
 キャスリンはホークスに近づくと、思わず彼の左腕を掴んだ。

「……どうした? キャス……」

「ん~ん。なに。ぼくは幸運だと思ってね。やはりこれしかないだろう。よし、ダイン君」

「ん? 何すか、キャスさん」

「ちょっと耳を貸したまえ」

 言って、クイクイっと手招きした。
 ダインは、キャスリンたちに近づいていく。
 レナは仲間の様子に気付くこともなく、大通りを歩き続けていた。

「一体何の用っすか?」

 ダインがそう聞くと、キャスリンは声を落として告げた。

「ダイン君。君、レナを抱きたまえ」

「……へ?」

 ダインが目を丸くする。

「要は、レナとエッチしろと言っているんだ」

 そんなことを告げるキャスリンに、ホークスまで目を丸くした。
 すると、ダインが顔を真っ赤にして。

「な、何言ってんすか!? キャスさん!?」

「うるさい。声が大きい。この童貞め」

「ど、どどどどど童貞ちゃうわ!」

「うるさい。その反応が童貞なんだよ。いいかい。よく聞くんだ」

 キャスリンは、レナには聞こえないように話を続ける。

「レナは今、過去に囚われている。思い出の中の少年に心を奪われたままなんだ。それは分かるよね」

「……そりゃあ、見てりゃあ分かるっすけど……」

「思い出を大切にすること自体は悪くない。ぼくにも忘れたくない思い出があるしね。だけど、そのために未来を放棄するのは間違っているよ」

「……そうだな」

 神妙な声でそう呟くのは、ホークスだった。
 彼の視線は、歩き続けるレナの背中に向けられていた。
 キャスリンは「うん」と頷く。

「結局のところ、息抜きだけじゃダメなんだ。あの子の気持ちを変えるには、レナに過去よりも未来の方が大切であると理解させなきゃダメなんだよ。いいかい。そのための今回のバカンス。そして君なんだ」

「……オ、オイラ?」

 自分を指差すダインに、キャスリンは力強く頷いた。

「恋には恋さ。君がレナを口説き落とすんだ。昔の男を忘れるぐらい、彼女を君に夢中にさせるんだ。ぼくとしては苦肉の選択だけど……」

 キャスリンは、指先を額に当てた。

「なにせ、大切な親友の相手だしね。並みの男なんて認めたくないのが本音だよ。ダイン君は……まあ、仲間のよしみで、ギリッギリ合格ってことにしておくよ」

 そこで、自分よりも、ずっと背の高いホークスを見上げた。

「流石に、こればかりはホークスにお願いする訳にはいかないしね」

「当然……だ」

 ホークスは、キャスリンを見据えて不機嫌そうに言う。
 キャスリンは「え……」と目を丸くした。

「団長は……人としても……女性としても、魅力的な人だ。だが、俺が……これからの生涯で、抱くのはお前、だけだ。それだけは……絶対だ」

「う……」直球すぎる愛の言葉に、思わずキャスリンの顔が耳まで赤くなる。「う、嬉しいことを言ってくれるね。うわあ、今夜すっごく甘えちゃいそうだよ……」

 と、呟いたところでハッとし、ブンブンと頭を振った。

「と、とにかくだ!」

 それから照れ隠しのように、ダインの方を睨みつける。

「ダイン君は今回のバカンスで、レナにアタックするんだ。猛烈にね。宿の部屋はぼくとホークス。君用と、レナ用で三部屋とるつもりなんだけど……」

 グッと親指を立てる。

「帰る頃には二部屋になっておくこと! それが君のミッションだ!」

「お、おおお……」

 ダインは、感嘆にも似た声を零した。

「オイラに力を貸してくれるんすか、キャスさん……」

「仕方がなくね。よし。君のやる気を俄然に上げる朗報を一つ教えてあげよう」

 キャスリンは、こっそりと告げた。

「レナは、まだ初めてだよ」

 一拍の間。
 ――ブオッ、と
 ダインは鼻血を噴き出し、慌てて鼻を押さえた。
 キャスリンは「うわあ……」と表情を歪めた。
 ホークスまで「お前、それは、ないだろう……」と渋面を浮かべている。
 ダインの顔は真っ赤だった。

「……はあ」

 思わず、キャスリンは溜息をついた。

「そういうところが童貞なんだよ。う~ん、こんなのしか選択肢がないなんて……」

「ち、違うっす! これはただのチョコの食いすぎっすよ!」

「君、甘いものが苦手だったろ。それよりもレナだよ」

 キャスリンは、立ち止まっている自分たちを置いたまま、一人だけどんどん進んでいくレナに目をやった。

「うちの団長、どこまで行くつもりなんだい? 何かに引き寄せられてるみたいに全然足が止まらないし。このままだと街外れまで直行していきそうだよ」

「……本当に、心ここに、あらず、だな……」

 ホークスが心配そうに呟く。

「とにかく一度あの子を回収しよう。それから宿を探そうじゃないか」

 キャスリンが、そう告げた。
 この後、彼らは市街区の宿で三部屋とった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

外れ婚約者とは言わせない! 〜年下婚約者様はトカゲかと思ったら最強のドラゴンでした〜

秋月真鳥
恋愛
 獣の本性を持つものが重用される獣国ハリカリの公爵家の令嬢、アイラには獣の本性がない。  アイラを出来損ないと周囲は言うが、両親と弟はアイラを愛してくれている。  アイラが8歳のときに、もう一つの公爵家で生まれたマウリとミルヴァの双子の本性はトカゲで、二人を産んだ後母親は体調を崩して寝込んでいた。  トカゲの双子を父親は冷遇し、妾腹の子どもに家を継がせるために追放しようとする。  アイラは両親に頼んで、マウリを婚約者として、ミルヴァと共に自分のお屋敷に連れて帰る。  本性が本当は最強のドラゴンだったマウリとミルヴァ。  二人を元の領地に戻すために、酷い父親をザマァして、後継者の地位を取り戻す物語。 ※毎日更新です! ※一章はざまぁ、二章からほのぼのになります。 ※四章まで書き上げています。 ※小説家になろうサイト様でも投稿しています。 表紙は、ひかげそうし様に描いていただきました。

地上最強ヤンキーの転生先は底辺魔力の下級貴族だった件

フランジュ
ファンタジー
地区最強のヤンキー・北条慎吾は死後、不思議な力で転生する。 だが転生先は底辺魔力の下級貴族だった!? 体も弱く、魔力も低いアルフィス・ハートルとして生まれ変わった北条慎吾は気合と根性で魔力差をひっくり返し、この世界で最強と言われる"火の王"に挑むため成長を遂げていく。

婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。 お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。 婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。 過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。 ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。 婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。 明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。 「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。 そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。 茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。 幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。 「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?! ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。 ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました

海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」 「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」 「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」 貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・? 何故、私を愛するふりをするのですか? [登場人物] セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。  × ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。 リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。 アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

婚約も結婚も計画的に。

cyaru
恋愛
長年の婚約者だったルカシュとの関係が学園に入学してからおかしくなった。 忙しい、時間がないと学園に入って5年間はゆっくりと時間を取ることも出来なくなっていた。 原因はスピカという一人の女学生。 少し早めに貰った誕生日のプレゼントの髪留めのお礼を言おうと思ったのだが…。 「あ、もういい。無理だわ」 ベルルカ伯爵家のエステル17歳は空から落ちてきた鳩の糞に気持ちが切り替わった。 ついでに運命も切り替わった‥‥はずなのだが…。 ルカシュは婚約破棄になると知るや「アレは言葉のあやだ」「心を入れ替える」「愛しているのはエステルだけだ」と言い出し、「会ってくれるまで通い続ける」と屋敷にやって来る。 「こんなに足繁く来られるのにこの5年はなんだったの?!」エステルはルカシュの行動に更にキレる。 もうルカシュには気持ちもなく、どちらかと居言えば気持ち悪いとすら思うようになったエステルは父親に新しい婚約者を選んでくれと急かすがなかなか話が進まない。 そんな中「うちの息子、どうでしょう?」と声がかかった。 ルカシュと早く離れたいエステルはその話に飛びついた。 しかし…学園を退学してまで婚約した男性は隣国でも問題視されている自己肯定感が地を這う引き籠り侯爵子息だった。 ★↑例の如く恐ろしく省略してます。 ★8月22日投稿開始、完結は8月25日です。初日2話、2日目以降2時間おき公開(10:10~) ★コメントの返信は遅いです。 ★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。 ※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません

World of Fantasia

神代 コウ
ファンタジー
ゲームでファンタジーをするのではなく、人がファンタジーできる世界、それがWorld of Fantasia(ワールド オブ ファンタジア)通称WoF。 世界のアクティブユーザー数が3000万人を超える人気VR MMO RPG。 圧倒的な自由度と多彩なクラス、そして成長し続けるNPC達のAI技術。 そこにはまるでファンタジーの世界で、新たな人生を送っているかのような感覚にすらなる魅力がある。 現実の世界で迷い・躓き・無駄な時間を過ごしてきた慎(しん)はゲーム中、あるバグに遭遇し気絶してしまう。彼はゲームの世界と現実の世界を行き来できるようになっていた。 2つの世界を行き来できる人物を狙う者。現実の世界に現れるゲームのモンスター。 世界的人気作WoFに起きている問題を探る、ユーザー達のファンタジア、ここに開演。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

処理中です...