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第十七話
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店が休みの日にみんなに声をかけ、集まってもらった。
「まずは、みんなに私の状況を説明するわ」
お母様が亡くなって1週間もしないうちに、継母と妹がきたこと。
屋敷では私の居場所がなく、お父様である伯爵様とはほとんど話をしていないこと。
私とは話していないが、義妹には好きなものを買い与え、私のお母様の部屋まで好きにさせていたこと。
義妹を養子にし、私の婚約者を奪う計画があること。
そして、私がいない時を狙って義妹と婚約者が会っていることを説明した。
「え…ベリルちゃんがそんな思いをしていたなんて」
「領主様信じらんんなーい!」
「俺たちには大切な娘を預かってくれってお願いされたけどな?」
「そういえば、最近は領主様じゃなく、執事としかやりとりしてないな…」
報告していたのはアラルドだったのね。
「今の伯爵様は私のことじゃなくて、義妹の我儘を聞くことが優先なんだと思うわ」
私の言葉を聞いて、みんなは黙ってしまった。黙ってしまったということは、私の話を信じてくれてると感じた。
「これから話すことは、伯爵様には伝えないでほしいの…」
「私、誕生日が来たら貴族籍を抜いて、他国に行く」
「!?」
5人が驚いた顔をした。
「本気なのか?」
冷静にアラルドが聞いてきた。
「本気よ。伯爵様がサーシャを養子にする話を聞いて、決意が固まったわ。
何より、この店にいる時の方がとっても楽しいの!屋敷には戻る時は憂鬱でしかないわ…この商団が私の居場所なの!」
少しの沈黙の後…
「あたしはベリルちゃんを応援する!」
マリアが口を開いた。
「俺もだ。娘思いだと思っていた領主様にはガッカリだな。いや、後からきた娘には優しいのか…」
カーリック言う通りだと思う。義妹には理想の父親でしょうね。
「ベリルちゃんの前で言うのもなんだが、やっぱり貴族ってのはいけ好かないもんだな。俺は稼げるならどこにでも付いてくぜ!」
アラルドらしい答えだった。
ルイとロイも私に同意してくれ、胸を撫で下ろした。
「みんなありがとう!」
「それで、これからのことで相談なんだけど…」
貴族籍を抜くための書類を提出するのは簡単だ。
問題はルーノア王国に行くまでの間、伯爵様に気付かれないようにすることだ。
「私の誕生日に伯爵様に旅行に行きたいと伝えるつもりなんだけど、どこかここから遠くでいい場所はないかしら?」
「はいはーい!今はね、ラヒチっていう海に囲まれた島が人気だって聞いたよ~」
何でも知っているマリアにはいつも驚かされるが助かる。地図で場所を確認すると、方角がルーノア王国と真逆に位置していた。
「これなら、時間を稼げる!」
「どうやって稼ぐんだ?」
「私は旅行には参加しないの。出発当日にこの商団でトラブルが起きる予定にするから」
「なるほど、往復だけでも時間がかかるし、いなくなった知らせもすぐには伝えられないってことか」
さすが、アラルドは頭の回転が早い。
「あとは、私が商団の元に行かなければならないほどのトラブルって何があるかしらね…」
みんなが頭を悩ませる。
「まずは、みんなに私の状況を説明するわ」
お母様が亡くなって1週間もしないうちに、継母と妹がきたこと。
屋敷では私の居場所がなく、お父様である伯爵様とはほとんど話をしていないこと。
私とは話していないが、義妹には好きなものを買い与え、私のお母様の部屋まで好きにさせていたこと。
義妹を養子にし、私の婚約者を奪う計画があること。
そして、私がいない時を狙って義妹と婚約者が会っていることを説明した。
「え…ベリルちゃんがそんな思いをしていたなんて」
「領主様信じらんんなーい!」
「俺たちには大切な娘を預かってくれってお願いされたけどな?」
「そういえば、最近は領主様じゃなく、執事としかやりとりしてないな…」
報告していたのはアラルドだったのね。
「今の伯爵様は私のことじゃなくて、義妹の我儘を聞くことが優先なんだと思うわ」
私の言葉を聞いて、みんなは黙ってしまった。黙ってしまったということは、私の話を信じてくれてると感じた。
「これから話すことは、伯爵様には伝えないでほしいの…」
「私、誕生日が来たら貴族籍を抜いて、他国に行く」
「!?」
5人が驚いた顔をした。
「本気なのか?」
冷静にアラルドが聞いてきた。
「本気よ。伯爵様がサーシャを養子にする話を聞いて、決意が固まったわ。
何より、この店にいる時の方がとっても楽しいの!屋敷には戻る時は憂鬱でしかないわ…この商団が私の居場所なの!」
少しの沈黙の後…
「あたしはベリルちゃんを応援する!」
マリアが口を開いた。
「俺もだ。娘思いだと思っていた領主様にはガッカリだな。いや、後からきた娘には優しいのか…」
カーリック言う通りだと思う。義妹には理想の父親でしょうね。
「ベリルちゃんの前で言うのもなんだが、やっぱり貴族ってのはいけ好かないもんだな。俺は稼げるならどこにでも付いてくぜ!」
アラルドらしい答えだった。
ルイとロイも私に同意してくれ、胸を撫で下ろした。
「みんなありがとう!」
「それで、これからのことで相談なんだけど…」
貴族籍を抜くための書類を提出するのは簡単だ。
問題はルーノア王国に行くまでの間、伯爵様に気付かれないようにすることだ。
「私の誕生日に伯爵様に旅行に行きたいと伝えるつもりなんだけど、どこかここから遠くでいい場所はないかしら?」
「はいはーい!今はね、ラヒチっていう海に囲まれた島が人気だって聞いたよ~」
何でも知っているマリアにはいつも驚かされるが助かる。地図で場所を確認すると、方角がルーノア王国と真逆に位置していた。
「これなら、時間を稼げる!」
「どうやって稼ぐんだ?」
「私は旅行には参加しないの。出発当日にこの商団でトラブルが起きる予定にするから」
「なるほど、往復だけでも時間がかかるし、いなくなった知らせもすぐには伝えられないってことか」
さすが、アラルドは頭の回転が早い。
「あとは、私が商団の元に行かなければならないほどのトラブルって何があるかしらね…」
みんなが頭を悩ませる。
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