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23、初めてのデート

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(ちなみに、30話までカキカキ済。ちょっと短縮させようかなぁ?どう思います?予定では35話完結。5話番外編っていう感じです。⬅️ふう。無事に完結。)


「飛鳥さんは、ここに来たことあるんですか?」

「・・・ああ。司がまだ小さい時、夫と3人で来たことがある。」
「司のお父さんとどう知り合ったんですか?」
お互い前を向いたまま話す。
「夫とは、高校2年の時に知り合ってすぐに仲良くなって気がついたら親友になっていた。」
「へぇ、僕と司みたいですね。」
「ああ、司から陽斗くんのことを聞いて、俺もそう思った。そしてある日、告白されて俺も同じ気持ちだったから、OKしたんだ。」

「・・・どんな方だったんですか?」
「そうだなぁ。明るくてムードメーカーだったかな。結婚してからも俺や司をいろんなところに連れて行ってくれて、楽しませてくれた。」
懐かしい思い出に笑いが込み上げてくる。
「ここに来た時司がまだ3歳で迷子になっちまったんだ。」
「え?それ大変じゃないですか。」
「そう。迷子の放送して貰ったり手分けして探したり大変だったのに、司なやつ1人で園内を回っていたんだ。泣きもせずに。」

「3歳の男の子が?」
驚く陽斗くんに頷いて見せる。

「そ。もう見つけた時は、俺たちの方が号泣してて、司のほうが、泣かないでって慰めてくれて。」
「ふはっ、なんか目に浮かぶようです。」
「うん。とってもいい思い出なんだ。ここに来てそれを鮮明に思い出すことが出来た。ありがとう、陽斗くん。」
俺が顔を見て礼を言うと、陽斗くんが教えてくれてありがとうございますと逆にお礼を言われる。

本当は、ここまで話すとは思っていなかったけど、俺はアイツを愛しているし、アイツを忘れることはない。だから、その気持ちを込めて伝えたつもりだ。


「飛鳥さん、僕この動物園初めてきたと言ったじゃないですか。」
陽斗くんは、唐突にそう言ってきた。陽斗くんの方をむくと、俺の方ではなく前を向いている。それをみてから、俺も前を向く。

「僕もこの動物園を回って思い出したことがあるんです。僕、小さい時ここに来ていました。しかも父と母と。」
陽斗くんのご両親とは何回か話したことある。愛していたけど、お互いどう接していいか分からなくてすれ違っていたことも。

「鮮明に覚えてはいませんが、あの触れ合い広場・・・あそこでうさぎを抱っこしたことを思い出しました。そしてそれを見守ってくれる父と母の姿を。

・・・・・・・・・それを思い出させてくれたのは、飛鳥さんです。」

手を握られて、陽斗くんの方をむくと俺の顔を見ていて、見つめられる。思わず、ゴクリと唾を飲み込む。

「俺はあなたが好きです。」
そう告白される。

「・・・・・・。それは、錯覚だよ。あの時陽斗くんは家族と上手くいっていなかった。初めて信頼出来る大人が出来たからそう思っただけだ。」
心にズキンと痛みが走るがそう言い切った。陽斗くんにはもっと俺より相応しい人がいる。無理に俺のような男を選ぶ必要は無い。

「初めて僕と出会った時のこと覚えています?」
「?」
「あの時、僕飛鳥さんが玄関の扉を開けてくれた時、衝撃が走ったんです。」
「ん??」
意味が分からなかった。初めて会った時?あの時だよな?

「す、すみません。とても可愛らしい人が出てきたので、見蕩れてしまいました!」
「んん?それって?」
確か陽斗くんが、初めて会った時の言葉。

「これ実は、本心です。あの時出てきた飛鳥さんに一目惚れしたんです。」
「へ?、ひ、一目惚れ?」
「そうです。あの時、挙動不審だったのは、初めて恋に落ちてどうしたらいいのか分からなかったからです。まさかこの僕が、恋するなんて思っても見ませんでした。」
な、なにを言っているんだ、陽斗くんは?

混乱する俺を他所に話を続ける。
「それから、毎日言い訳を考えて司の家に転がり込むことができて、本当に幸せでした。飛鳥さんのことを知れば知るほど、好きになって行って、
初めてキスをした時は心臓が破裂しそうなぐらい緊張したし、すごく嬉しかった。」
「ちょっ、ちょっ、・・・!」
パニックになってきた。それなのに、熱い視線で俺を見てくる。

「司をだしに、触れたことは謝ります。断れない状況を作って、体に触れてすみませんでした。でも、後悔はしてません。どんな形でも愛する人に触れて僕は嬉しかった。

飛鳥さん、ほんの少しでも僕に思いはありませんか?
触れる時の飛鳥さん、どんな顔をしていたか分かります?嫌だとかやめろとか言いながら、目を潤ませて僕を見てくるあなたにいつもドキドキしてました。

本当に僕のこの気持ちは、望みはないですか?」

俺を見てくる陽斗くんの瞳は、真剣そのもので、俺はその気持ちを疑っていたことを恥じた。ちゃんと真摯に受け止めて、答えをださないといけない。

声をかけようと口を開くと、そっと唇に人差し指が触れた。

「まだそれを言うのは待ってください。

今からあなたにキスをします。心の底から嫌だと思ったら、僕を突き飛ばしてください。でもほんの少しでも僕に気持ちがあるのなら、お願いします。

僕にチャンスをください。あなたを絶対振り向かせて見せます。」

そう言う陽斗くんに、ドキドキする。いつもの表情ではなく、1人の恋する男の顔だ。近づいてくる唇を見ながら、今までの陽斗くんを思い返していた。そして今日、俺を見つけた時の嬉しそうな顔を。

俺は、陽斗くんが好きだ。

近づいてくる陽斗くんに、俺は目を瞑って唇を迎え入れた。押し付けられる唇。しっとり柔らかな陽斗くんのくちびる。そっと唇が離されると、
信じられないという感じの陽斗くんの顔が見える。

「なんで逃げないんですか?分かっているんですか?僕、都合のいい風に受け取ってしまいますよ!?」
泣きそうな顔をしながら、そう言ってくる。そんな顔をさせたい訳じゃないのに、今までの言動を見る限り、俺の行動が信じられないのだろう。

今にも泣きそうな陽斗くんの目尻にちゅうと吸い付くと、少ししょっぱい味がした。後頭部に手を回すと、グイッと引き寄せて、俺の方から唇を奪う。至近距離で陽斗くんの目が大きく見開いていたが、そっと目を瞑ると俺に身を委ねてくれた。

暫くして唇を離すと、陽斗くんの唇は唾液で濡れ、艶めいている。それに瞳は涙で潤み、壮絶な色気を纏っていた。

めっちゃくちゃ、エロいんですけど?!なに、これで16歳なんて嘘だろ?!いや、完璧未成年なんだけど、危うい雰囲気がダダ漏れだった。

「飛鳥さん・・・。」
縋るように見てくる陽斗くんに、ドキドキしながら、俺もちゃんと答えるべく向き合う。

「お、俺も、君のことが、・・・好きだ。まだ愛しているとは返せないけど。俺と付き合って下さい。」
絶対、顔が真っ赤になっている。心臓が破裂しそうなぐらい脈打って苦しい。

陽斗くん、早く何か言ってほしい!

ポロリ、ポロリ、ポロリ・・・

綺麗な瞳から、涙が零れたと思えば、次から次へと涙が溢れてくる。
「あ、ああああ、ちょっ、ちょっ、陽斗くん?!」
オロオロしてしまう俺に、
ガバッと胸に飛び込んでくる陽斗くん。
「う、嬉しいです・・・ぐすっ、飛鳥さん、愛してます。うわぁあああ~~~~~~~~ー!!」
俺の腕の中、陽斗くんは泣いた。

ポンポンと頭を撫でると、背中に手を回されて抱きしめられる。こうして、俺と陽斗くんは、お付き合いをすることになったのである。


泣きすぎて目が腫れてしまった陽斗くんは、照れ笑いをしながら俺の手を離さなかった。絶対この顔で電車に乗るのは、通報されてしまうと思った俺はタクシーを選んだ。その選択は正しかったようで、運転手さんに怪訝な顔をされるも、陽斗くんがにこにこ嬉しそうにしているから、通宝はされなかった。

よ、良かったぁ~~~!

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