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2章 愛される嫁
15、始まる地獄のような日々
しおりを挟む初めて入る聖域にフェンたちは驚き、その荘厳たる風景に絶句していて、ルークと2人で笑った。俺たちも似たようなものだったからね。
ここに訪れるだけで浄化されて行く気分になる。みんなが、意識を取り戻すまで、聖水の泉をみると、何か心の中がザワつく気が・・・。ルークをみると、ルークの方も、何か眉間にシワを寄せて考えている。
ギュッと手を握ると、ハッとしたように、俺を見てきた。
まだみんなは、固まったままだったけど、ルークの手を引っ張って泉に近づく。ざわつきが強くなるけど、ここに入らないと行けない・・・何故か、そう思った。
ルークをみると、泣きそうに顔を歪ませているが、俺の手を振りほどこうとは、していない。
ルークを横抱きにすると、聖水に入る。その途端、足先から聖水の力によって、澱んだ何かが薄れていき、思考のモヤが晴れていく。それは、浸かる面積が広がるほど、澱みが消えていった。
ルークの身体半分、聖水に浸かっており、憑き物が取れたようにスッキリとしている。
俺の唯一である、俺の大切なお嫁さん。ギュッと抱きしめると、ルークも抱き返してくれる。煌めく水面の下に、番の紋章が見えた。以前は、ルークに触れる度に、キスを贈っていたというのに、最近はキスを贈った記憶がない。そのことに、今更ながらゾッとする。
俺は、ルークの何を見ていたのか・・・。タカが外れたように、欲望が抑えきれず、暴走をしていた。俺以外に愛される姿をみて、興奮していた自分が信じられない。
確かに俺のルークが、背徳感を持ちながら、その身体を許してしまうのは、とてもそそられたけど、ここまでするつもりは無かった。
俺たちに、何が起こっている?みっちゃんは、何を知っているのだろう。サキュバスの力とは、一体・・・。
以前聖水に浸った時とは違う感覚がする。そして、それはルークも同じで、俺をギュッと抱きしめて肩口に顔を埋めると、ごめん、ごめんと小さく何回も呟く。その言葉は、俺の方が言うべきなのに・・・。
気がつくと、フェンやタキ、メリーちゃん、キラにベア。聖水に浸かっていて、一様に真剣な顔をしている。その顔をみて、やっとその原因がわかった。入る前と後の表情の変化。
それは、焦りがみえない・・・。焦燥感というか飢餓状態を脱したというか。
瞳の澱みがなくなり、透明感を増している気がする。恐らく俺たちもそうなのだろう。ルークの顔をみると、綺麗な薄紫色のした本来の瞳が見えた。
メリーちゃんに聞くと、ルークに対しての渇望感はあるもののその度合いがコントロールできるまでになったらしい。
タキに聞くと、わてもそうやでと返してくる。
ルークと離れていたフェンは、近くにいると性欲が、刺激されて2人きりになると暴走しちゃったらしい。それを聞いて、ちょと寝取らせが刺激されたのは、黙っておこう・・・。
俺たちは、みっちゃんの言う通り、ルークのスキルであるサキュバス化(擬態)に影響を受けていたと考える。恐らく、擬態ではもうないのだろう。
あの時のルークは、完全にサキュバスだった。申し子ということを考えると、十分に考えられる。
みっちゃんに話を聞かないといけないな。俺たちに何が起こっているんだ・・・。
スッキリしたところで、みっちゃんにテレパシーを送ると、2人で部屋に来てちょうだいと言われ、みんなとは別れた。
みっちゃんの部屋に行くと、相変わらずファンシーな部屋というかカオスというか・・・
「しばくわよ!!」
また心を覗かれた・・・。プライバシーの侵害たぞ!
とは、言わない。目つきが、めっちゃ怖いから・・・。ブルブル。
椅子に腰掛けると、すぐにティーセットが並べられた。「ふふ、まずは食べてちょうだい♡ルークが好きなものを揃えたのよ。
食べなかったら、抱きつくわよ?」
その言葉に、ルークと2人、紅茶を口にする。オネェのみっちゃんは、やっぱり迫力あって、化粧が濃く、確実に山姥系統だ・・・!
スパコーーーン!
「いだぁああああ!!!」
頭に激痛が走って、絨毯に崩れ落ちる。原因は、みっちゃんが持っているハリセン・・・!!
「天誅!」
なんだそれ・・・。それにしてもめっちゃいたい。火花が散ったぞ?!
「ううううっ、頭が破裂するかと思った・・・。」
ノロノロとエリクサーを飲むと、失礼なことを考えるからよ!ってすぐさまつっこまれる。
ルークは、さっきまで悲壮そうな顔をしていたけど、ニコニコしながら、パクパクと美味しそうに食べてる♡か、可愛い♡♡
「ほら、リオンあなたも食べなさい。長くなるのだから食べながら話ましょう?」
その言葉に、遠慮なく焼き菓子を食べると、口の中に程よい甘さが広がる。思わず顔を綻ばすと、ルークが嬉しそうに笑った。
ある程度食べてから、みっちゃんが話し出した
「あなたたちの身体に淫気がまとわりついているわ。前回は聖水に浸ってなんとか落ち着いたけど、あの時に比べて倍以上の淫気が染み付いているわね。
その影響が、神獣である彼らにも影響して、普段は抑制出来ている欲望も表面化している状態だわ。」
その言葉に、今までの淫らな行為の数々が頭によぎって、赤面する。今思えばなんであんな、行為をしてしまったのかと思うけど、欲望が表面化ってことは、寝取らせ大好物の俺が密かに思い描いていたことだったりして・・・。ちょっと不謹慎ながらドキドキてしまう。
あ、ああっルークったら、そんな目で俺を見ないで?!!そのジト目が痛い!
あああっ!みっちゃんまでぇ~~~~!
「す、すみません・・・。」
寝取らせ計画のスキルをくれたのみっちゃんなのに・・・。
《黙らっしゃい!》
テレパシーで、怒られた。プライバシーの侵害だ!!
はい、すみませんでした!
瞬時に殺気が飛んで、すかさず心の中で土下座する勢いで謝る!
「ふぅ、まぁそういうことだから、聖水に浸ってまた淫気を祓ってちょうだい。それと今回はキスもダメだからね。結構澱むぐらいに濃ゆいものだから、性的な接触は全てなし!」
その言葉に、愕然とする。あんなに毎日毎日甘美な時間を過ごしまくっていたことを考えると、到底耐えられるはずも無い!
「みっちゃんっ!?!それ、何とかならない?!触れ合えないなんて・・・!せめて、キスだけ!」
「ダメよ!貴方は特に変態なのだから、淫気を与えすぎるじゃない。絶対に許可できないわ!」
みっちゃんめっちゃ笑顔~~!絶対さっきの根に持っている!
「・・・!ルークも、それでいいの?!」
藁にもすがる思いでルークをみると、意外と平気そうな顔をしていた。な、なんで?!
「ん?俺、なんかさっき聖水に浸かったからから、今スッキリしているんだよな。
でも淫気はなんで溜まったんだ?みっちゃんは分かるのか?」
確かに、リクとのバイパスを切断しているんだから、溜まる原因なんて?
「それはね、ルークのサキュバスとリオンの淫魔法が関係あるの。」
「どういうことだ?」
ルークが首を傾げながら聞く。
「俺の淫魔法も関係あるのか?もしかしたら、インキュバス・・・?」
「リオン正解ね。そう、あなたのインキュバスが影響してサキュバスの力を増幅させているわ。お互い淫魔だから、相性抜群だし。」
「まさか、漫画の淫魔法が、そんな影響があるなんて・・・。」
驚く俺に、みっちゃんも
「そう、普通ならありえないのだけど、何故かありえないことが起きたのよね。そしてサキュバスの擬態だけだったのに、実際にサキュバス化までなるなんてねぇ・・・。驚きだわ。ルークもサキュバスと相性がいいのね。反対にリオンは、インキュバスとだけど。」
「・・・・・・。それ、嬉しくない。」
げんなりして呟く。
「まぁ、あなたの淫魔法には、色々お世話になったから、ひとまず聖水で対応しましょう。それても抑えられないのなら、別の方法を考えるわ♡」
うううっ、淫魔法で神獣たちを孕ませたからね・・・。
含みがあるその言葉に、ルークが、恥ずかしがって真っ赤になっていた。聖水に浸ったからか、今までは妖艶に微笑んでいたのに・・・。恥ずかしがり屋のルークをみて、キュンとときめいた♡
ううううっ、いつもなら、押し倒しているのに、押し倒せないなんて?!拷問である・・・しくしく。
ちなみに、みっちゃんから俺含めてみんなに、正式に接触禁止令を出された。ちなみに、破ったものは、電気ショックが流れる仕様になっている。鬼!悪魔っ!俺たちは夫婦なんだぞ?!
とは、言えない・・・。みっちゃんこわ~~い!
⬛︎みっちゃんサイド
まったく、あの子たちは厄介なものを引き寄せて・・・。サキュバスの申し子のことは把握していたけど、まさかインキュバスまで・・・。
眷属であるリクの潜在意識を操作して、慎重に事を進めてきたのね。このワタシの目を掻い潜るなんて、たいしたものだわ。
ふぅ、でももうルークの胎内に2人とも宿ってしまっている。流石にこうなってはワタシもお手上げ・・・。取り除くにしてもリスクが高すぎるわ。
・・・今は、これ以上力を蓄えさせない為にも、淫気を抑制させないと。
鑑定でも隠蔽を使われているし。リオンなんていつの間に寝取らせの熟練度最大値まで上がっているなんて!
ワタシが言える立場ではないけど、本当に変態ね!!
余計な混乱を与えるだけだから、2人には内緒にしときましょ・・・。まぁインキュバスの淫魔法のおかげで、神獣たちもこれほどにまで増えたことを考えると一概に悪いとは言えないのよねぇ♡
こんなにも神獣が溢れかえるなんて・・・きゃー!これでワタシの負担が減って、推しカプを覗きにいけるわぁーーーー! !今の推しはね、初々しいケンカップルの男の子たち♡ケンカばかりなのに、ふとした時にお互いドキッてきて赤く恥じらう姿がたまらないのよ!
分かるかしら?!
しかも恋敵もちゃんといるのよぉーーーー♡さい、こーーー!
⬛︎インキュバスとサキュバスの会話
《ふははははっ!ついにバレたか。》
《そうねぇ、さすがに受精卵とはいえ受肉したからバレるのも時間の問題だったと思うわよ。ふふ、やっぱり神様は、私たちを排除しなかったわ♡ 》
《くくくっ、それはそうだろ。私たちが側にいて侵食してきたのだから、無理に剥がそうとすれば、リオンとルークの精神にも何かしら影響はあるだろう。》
《リオンとルークたちに内緒にしてくれて、ありがとう♡か、み、さ、ま♡その選択を後悔する時が、今から楽しみだわ♡》
《見破られた隠蔽は、1人分だけの力だからな。あの情報だけは、俺たち2人で隠蔽しているから流石の創造神でも容易にはいかない。くくくっ、リオンとルークが絶望する姿が今からとても愉しみだ・・・はははははっ!》
《貴方も悪い男ね・・・ふふっ、でも私もその時が楽しみだわ♡ねぇ、ルーク。もっと堕ちてきて♡》
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