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第二章 八咫烏の揺籠
第12話 殺生石
しおりを挟む「これを見て」
刹那は俺にスマホを手渡すと、動画配信アプリの映像の再生ボタンを押した。
「じゃんけんTVっていう一般人のグループよ。最近話題になってる」
『はい、こんばんわ! グーです!』
『パーです! そして……』
『画面外のチョキでーす! 本日の企画は……————』
その動画は、都市伝説や心霊現象系の動画が人気のチャンネルで、生放送されたもののアーカイブのようで……
『——……【超検証】殺生石の封印解いてみた!です!! 現場から生配信でお送りします!!』
森の奥にあるという噂の殺生石の封印を生放送で解きにという行く企画だった。
『殺生石ってなに?』
『ようわからんけど、近づいた人を殺すって伝説がある石らしい。それがなんと、この森の中にある!!という情報を入手しました!さっそく、行ってみましょう!』
『おー!なんか出たらどうするー?』
大学生くらいの髪色の派手な男2人が森の奥へと向かっていく。
おそらく、カメラを持っている男も彼らと同じくらいの年齢だろう。
そして、画面に映し出されたのは、まさにソレ…………と、いう雰囲気の大きい岩だった。
岩にはしめ縄が巻かれていて、画面越しにも、それが危険なものであることがみて取れる。
『マジじゃん!! すっげー!!』
『これなんだ? 札か? 本物じゃん!!』
男たちは興奮しながら、岩の周りを一周して、しめ縄と共に貼られていた“封印”と書かれた札を見つけた。
『取ってみようぜ!』
『いや、まずくね? 流石にこれは…………ガチっぽいぞ?』
『一瞬ならいけるだろ!』
『ばかっ! やめろって!!』
————男は、札を剥がした。
『…………』
『…………』
『…………何にも起こらねーな』
『なんだよー! やっぱりか! つまんねー』
しばらく男たちは岩の周りを観察したが、とくに何も起きなかったと、岩を背にして生配信に寄せられたコメントを読み始める。
男たちは気がついていなかった。
いや、見えていなかったんだ。
岩の中から、青い影のような、靄のようなものが出ている。
そして、視聴者からのコメントを読んでいて、それに気がつく。
『え?なんか出て来た?』
『青い影?』
『まさか————そんなわけ…………————』
振り返ったところで、画面は真っ暗になり、プツリと切れた。
「な、なんだよ、これ!! 続きは!? こいつらどうなったんだ!?」
「それが、行方不明なの」
「え……」
「今、一族の者がその動画の場所へ調査に向かってるわ。まだ結果はわからないけど…………おそらく————」
刹那は、その先は言わなかった。
そして、2日後。
3人の変死体が見つかった。
深い森の中で。
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