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君の欠片を
第38話 文化祭企画会議
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文化祭準備のスタートダッシュは、通常揉めるところから始まる。出し物を決める会議だ。
それは一学期中、体育祭が終わり一息ついた頃に行われた。
「じゃあとりあえず、やりたいもんあるやつからどんどん挙げてけ」
前に出た大野さんがクラスに声を掛ける。小川さんはチョークを手に取り、板書の準備をする。彼女達がうちのクラスの文化祭実行委員だ。
お化け屋敷や遊園地、縁日といったアトラクションや、演劇などの舞台パフォーマンス、メイド喫茶などコンセプトカフェでの飲食物の提供。
ありとあらゆる案が次々に飛び出す。大体はここから収拾をつけていくのが大変で長引いてしまうのだが、
「パフェ!」
「チーズインハンバーグ!」
「食いたいもん言やいいってもんじゃねえぞ!」
「俺のソロライブ!」
「自由参加枠で申請してこい!」
「メタバース体験ブース」
「めたば……それ実現できんのか?」
「やり方は知らない」
「却下!」
こんな感じで、大野さんがバサバサ切っていってくれる。
あまりに気持ちよく切り捨ててくれるので、クラスメイトも半分くらい大喜利として楽しんでいる節がある。
そして、なんでもいい、とばかりに不干渉を貫こうとするのも許さない。
「ニノマエ! お前もなんか出せ」
「……ホットサンド」
「あれ、それ用の器具いるだろ」
「誰かしらが提供出来て、規格が統一できればそれでいい。無いならないで、重くて平らな蓋か何かのプレス出来るものがあればフライパンでも作れる」
「お前は提供できんのか?」
「出来る。一台だけだから、それだけで生産が追いつくかは知らないが」
回答は意外なものだった。もしかして料理とかするのだろうか。できない、とは思わない。調理実習のときも、特別手際がいい訳では無いが、そつなくこなしていた。
思っていたよりいろいろ考えてるようでもあるし、この調子なら突けばまだ出てくるだろうと思って聞いてみる。
「なんでホットサンドなの?」
進行がズレるだろ、という目で大野さんに窘められるが、個々のアピールがあれば判断材料も増えるだろう。半分は利己的な好奇心だけど、半分は貢献のつもりなのだ。これでも。
「スイーツ系もおかず系も、バリエーション出せるし、食べ歩き用にも、教室で食べていけるようにも出来る。調理も別に大変なところはない。コスト面は計算してみないとわからないが、多少中身が質素になっても見た目には出にくい」
思った以上に考えていた。もしかして、楽しみにしているのだろうか。
「なるほどな。他に案がなけりゃ、既に出た他のやつの詳細も軽く聞いてくか。なけりゃ別にいいけど」
そんな形で、会議はつつがなく進行していった。もっと揉めるかと思っていたが、大野さんの仕切る能力の高さに舌を巻く。
そして、彼にも。
結局、もうホットサンドの口になってしまったクラスメイトが多く、それ以外にも料理よりも衣装目的で喫茶店をしたい生徒や、片隅に個別にブースを用意し、何かパフォーマンスをしたいと言い出した生徒との兼ね合いも良かったため、喫茶店の方向性で案が固まる。
メニューはコストや実行性の有無との兼ね合いを見て、後々決めていくこととなった。
それが、六月が終わる頃のこと。そして今日の放課後。夏休みの間に牙を研いだシェフたちが、文化祭のメニュー権を賭けて料理バトルを執り行う。
要するに、試作会だ。
それは一学期中、体育祭が終わり一息ついた頃に行われた。
「じゃあとりあえず、やりたいもんあるやつからどんどん挙げてけ」
前に出た大野さんがクラスに声を掛ける。小川さんはチョークを手に取り、板書の準備をする。彼女達がうちのクラスの文化祭実行委員だ。
お化け屋敷や遊園地、縁日といったアトラクションや、演劇などの舞台パフォーマンス、メイド喫茶などコンセプトカフェでの飲食物の提供。
ありとあらゆる案が次々に飛び出す。大体はここから収拾をつけていくのが大変で長引いてしまうのだが、
「パフェ!」
「チーズインハンバーグ!」
「食いたいもん言やいいってもんじゃねえぞ!」
「俺のソロライブ!」
「自由参加枠で申請してこい!」
「メタバース体験ブース」
「めたば……それ実現できんのか?」
「やり方は知らない」
「却下!」
こんな感じで、大野さんがバサバサ切っていってくれる。
あまりに気持ちよく切り捨ててくれるので、クラスメイトも半分くらい大喜利として楽しんでいる節がある。
そして、なんでもいい、とばかりに不干渉を貫こうとするのも許さない。
「ニノマエ! お前もなんか出せ」
「……ホットサンド」
「あれ、それ用の器具いるだろ」
「誰かしらが提供出来て、規格が統一できればそれでいい。無いならないで、重くて平らな蓋か何かのプレス出来るものがあればフライパンでも作れる」
「お前は提供できんのか?」
「出来る。一台だけだから、それだけで生産が追いつくかは知らないが」
回答は意外なものだった。もしかして料理とかするのだろうか。できない、とは思わない。調理実習のときも、特別手際がいい訳では無いが、そつなくこなしていた。
思っていたよりいろいろ考えてるようでもあるし、この調子なら突けばまだ出てくるだろうと思って聞いてみる。
「なんでホットサンドなの?」
進行がズレるだろ、という目で大野さんに窘められるが、個々のアピールがあれば判断材料も増えるだろう。半分は利己的な好奇心だけど、半分は貢献のつもりなのだ。これでも。
「スイーツ系もおかず系も、バリエーション出せるし、食べ歩き用にも、教室で食べていけるようにも出来る。調理も別に大変なところはない。コスト面は計算してみないとわからないが、多少中身が質素になっても見た目には出にくい」
思った以上に考えていた。もしかして、楽しみにしているのだろうか。
「なるほどな。他に案がなけりゃ、既に出た他のやつの詳細も軽く聞いてくか。なけりゃ別にいいけど」
そんな形で、会議はつつがなく進行していった。もっと揉めるかと思っていたが、大野さんの仕切る能力の高さに舌を巻く。
そして、彼にも。
結局、もうホットサンドの口になってしまったクラスメイトが多く、それ以外にも料理よりも衣装目的で喫茶店をしたい生徒や、片隅に個別にブースを用意し、何かパフォーマンスをしたいと言い出した生徒との兼ね合いも良かったため、喫茶店の方向性で案が固まる。
メニューはコストや実行性の有無との兼ね合いを見て、後々決めていくこととなった。
それが、六月が終わる頃のこと。そして今日の放課後。夏休みの間に牙を研いだシェフたちが、文化祭のメニュー権を賭けて料理バトルを執り行う。
要するに、試作会だ。
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