上 下
6 / 6

96(6話)

しおりを挟む

「ここがダーバルデットなんですね。父さん。」

「そうだ。」


ダーバルデット。元々は今のヴァルミッチとふたつの島で一つの国であった。その国の名はドューデンシュゲイン連邦国。北側にヴァルミッチ。南側にダーバルデット。国土面積はほぼ変わらない。ヴァルミッチは石工が盛んな島。ダーバルデットは山が多く資源がよく取れた島。ダーバルデットを代々治めていたのがファンブルーブ家。今のネロは46代目である。水が綺麗で空が広い。ダーバルデットの空気は病に効くとして山の頂上に大きな病院がある。多くの人に親しまれ島内全ての人に愛されている。


「私は行くから君はしばらくしたら船を出なさい。」

「わかった。気をつけてね父さん。」

父さんは振り返らず船を降りて街に消えた。心につっかえるもやっとした気持ちの悪い違和感があった。父さんのあんな表情は見たことがなかった。

「ごめん父さん。」



「ガリオ様!」

「どうした。」

「あの方が会いたいとおっしゃっています。」

「あの方?誰だ?」

「ーーーーーー」

「おもしろい。久しぶりにその名を聞いたな。今更なんだって言うんだ。。奴が丸腰でくるわけがない。念の為だ。警戒を強めろ。ただ、奴が手を出してくるまでは何もするな。」

何が目的なんだ。グラディウス家の門を叩くと言うことはお前にとっては自ら地獄に向かうようなものではないか。戦争が始まる3年前。お前が俺になんと言ったか覚えているのか。

「兄さん!こんなの間違っているよ!ネロ様を止めないと多くの命を失うことになる!なぜ不必要な犠牲を出そうとしているのですか!兄さん達は狂ってます!」

「狂ってなどいない。あの錆びた空気でノコノコと生きている奴らに制裁を加えるだけだ。」

「それの何が悪いのです!」

「ファンブルーブ家の汚点。それを完全に消さなければこの国の権威の示しがつかん!」

「それは国民には関係のないことだ!」

「だがそれがどうした。駒だぞアイツらは。」

「間違っています。それだけは絶対に違います。一人一人に大切な人がいます。帰りたい場所があるのです。兄さんにもわかるでしょ!」

「俺らには両親はいない!お前に限っては親の顔など知らんだろ。」

「やはり兄さんにはわからないのですね。もういいです。さようなら兄さん。」



なぜ帰ってきたんだ。


グラウディウス=ルキウス
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

王子妃だった記憶はもう消えました。

cyaru
恋愛
記憶を失った第二王子妃シルヴェーヌ。シルヴェーヌに寄り添う騎士クロヴィス。 元々は王太子であるセレスタンの婚約者だったにも関わらず、嫁いだのは第二王子ディオンの元だった。 実家の公爵家にも疎まれ、夫となった第二王子ディオンには愛する人がいる。 記憶が戻っても自分に居場所はあるのだろうかと悩むシルヴェーヌだった。 記憶を取り戻そうと動き始めたシルヴェーヌを支えるものと、邪魔するものが居る。 記憶が戻った時、それは、それまでの日常が崩れる時だった。 ★1話目の文末に時間的流れの追記をしました(7月26日) ●ゆっくりめの更新です(ちょっと本業とダブルヘッダーなので) ●ルビ多め。鬱陶しく感じる方もいるかも知れませんがご了承ください。  敢えて常用漢字などの読み方を変えている部分もあります。 ●作中の通貨単位はケラ。1ケラ=1円くらいの感じです。 ♡注意事項~この話を読む前に~♡ ※異世界の創作話です。時代設定、史実に基づいた話ではありません。リアルな世界の常識と混同されないようお願いします。 ※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。 ※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義です。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。登場人物、場所全て架空です。 ※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完】愛人に王妃の座を奪い取られました。

112
恋愛
クインツ国の王妃アンは、王レイナルドの命を受け廃妃となった。 愛人であったリディア嬢が新しい王妃となり、アンはその日のうちに王宮を出ていく。 実家の伯爵家の屋敷へ帰るが、継母のダーナによって身を寄せることも敵わない。 アンは動じることなく、継母に一つの提案をする。 「私に娼館を紹介してください」 娼婦になると思った継母は喜んでアンを娼館へと送り出して──

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します

Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。 女性は従姉、男性は私の婚約者だった。 私は泣きながらその場を走り去った。 涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。 階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。 けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた! ※この作品は、他サイトにも投稿しています。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】記憶を失くした旦那さま

山葵
恋愛
副騎士団長として働く旦那さまが部下を庇い頭を打ってしまう。 目が覚めた時には、私との結婚生活も全て忘れていた。 彼は愛しているのはリターナだと言った。 そんな時、離縁したリターナさんが戻って来たと知らせが来る…。

【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。 お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。 これからどうやって暮らしていけばいいのか…… 子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに…… そして………

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

処理中です...