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第611話愛奢と麻美

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「そうね。一ヶ月くらい出かけてなかったわ。ごめんなさい、中々いけなくて」

    麻美は謝った。

    二人は親友ゆえに定期的に外出して買い物に行っているが麻美のお小遣いが標準より少ない上にバイトで忙しく家事もやる必要があるせいなのだ。

「いいですわよ。時間がこうしてできるだけで十分ですわ」

    愛奢はふふっと微笑む。

    買い物が行くことのが目的ではなく二人でどこかに行ったり同じ時間を過ごすことが目的なのだ。

    スーパーにつき麻美はカートを取るとスマートフォンのメモ帳を起動する。

「なにしてるんですの?」

    愛奢が彼女に尋ねた。

「買い物メモよ。先にチラシで見た安いのを書いておけばすぐに買えるし余計なもの買わないかなって」

   麻美のような一般家庭では無駄遣いは天敵である。

「はあ…………。庶民というのは大変ですわね」

    愛奢は自分には分からない世界であり頬に手を当てた。
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