プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第二百六十二話 教会育ちだから聞くどころか歌い慣れてるもの

    勇達は翌日の夕方、修練の合間に大教会の賛美歌を聞いていた。



「さすがは教会、こういうのも悪くないかも」

   

「素晴らしい！まるで心が洗われるようですわ！」



    アステリア王女は感激して両手を合わせる。



「そこまでか？あたしこういうのは苦手っつうか…………背中が痒くなるんだよ」  



     クリム王女は顔を歪めて背中をかいた。



「そういうの、いるわよね。この手のものは好き嫌い多いといし」

   

    リンネはクリム王女に同意する。



「先輩はなんともなさそうですね」



    勇はエルハに声をかけた。

 

「だってわたし、教会育ちだから聞くどころか歌い慣れてるもの。もはやどうでもいいっていうか身体の一部みたいなものなのよ」



    エルハは気まずく顔を逸らす。



「あー」



     勇はそういうものなのかと視線をあげた。



「つうかあいつ、ほんと連れないな…………」



    そして遠くを見るような目をする。



「あいつってケイネス？相当あなたが嫌になったみたいね」

   

    リンネも眉を潜めた。



「なんというか、あなた達息ピッタリだと思ったけど結構簡単に壊れるものなのね」



    エルハも感慨深くなる。



    その言葉に勇はまた暗い顔になり下を向く。



「だ、大丈夫だよ！その内仲直りできるって！」

「まあ、すぐとはわからんけどな…………」



    アステリア王女は慌ててフォローするもクリム王女が補足した。



    クリム王女の言葉には勇は上がりかけた顔が止まる。



「もー、クリムちゃんてばー」



    アステリア王女の目も細まった。