プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第九十三話

  勇は違和感を覚えた。フランデンの力が格段に以前と上昇しているのだ。



「お前こそ、この前は手抜いてたくせに」



「ふっ、ここを負ければ魔王軍をクビだからな」



    フランデンは自身が必死なのを打ち明ける。



「そういうことか。ならこっちも！」



   勇もここで相手を倒すと決め、魔力を全開にしてレイピアに注ぎ込んだ。



「おおっ！凄まじい魔力だ」

「剣士でこれは多いな」



   その魔力量には国王もハリーも驚く。



「ホーリーラッシュスピアー！！」



   勇はレイピアを突く動作をすることで多量の魔力で作られた槍を連続で放った。



「ぐぁぁぁぁ！」



   フランデンは斧で防いでもその隙間に傷を浴びてしまう。



   だが勇は余力を残しており、魔力を纏い跳躍し迫った。



    フランデンが体勢を立て直した瞬間にそれは襲いかかる。盾に魔力を纏わせ突撃したのだ。



「な、なにぃぃぃ！」



    フランデンはさらなる激痛に襲われ再び膝をつく。もはや魔王軍での後はない、なのに戦う力は彼にはないのだ。



「覚えていろ、勇者ぁぁぁぁ！！！」



   痛みと敗北、行き場を失ったことへの凄まじい屈辱がフランデンを地の底から響くような彷徨をさせた。    



    屈辱に耐えながらこの場を離れる。