プリンセスクロッサー勇と王王姫纏いて魔王軍に挑む

第六話イサミは豪奢なものが合わない、アステリア王女は意外と気取らない

   風呂場から上がり着替えると先程まで着ていた動きやすい服装ではない。貴族や王族が着るような豪奢なものだ。

 

「しっかし、久しぶりのこういう格好も慣れないな」



    学校の長期休暇以来の豪奢な服装にイサミは辟易する。

 

「久しぶりって、ほんの数ヶ月ぶりじゃないか」



    ケイネスは変な感覚だと言った。



「そもそもこういう格好、どうも俺にはあんま合わない気がするんだよな」



    イサミは両手の平を上げる。



「十年以上一緒に住んでいても、行事以外じゃそういうの着なかったしね。思い出したよ」

    

    ケイネスは今までの彼を思い出し納得する。





    そのまま食堂に移動し夕食となる。並んだ主催や副菜も豪奢であり学校では見慣れない。イサミはもはや久しぶりとは言わない。ただ苦笑いするだけだ。



    そのままの顔でイサミは料理を食べていく。



「すいません、お口に合わなかったでしょうか？」



   アステリア王女がイサミの顔を見て不安になった。



「まあ、久しぶりに食べたものですから。あ、味は全然美味しいんで大丈夫ですよ」



    イサミは心配させまいと手を振る。



「ケイネスさんは気に入りましたか？」



「いやー、さすがお城の料理ですよ。僕なんか田舎の貴族ですから全然味が違いますねー。ずっと食べていたいくらいです」



   似た質問にケイネスは笑って答えた。



「お二人は義兄弟で騎士学校に通っていたようですがどんな風に過ごしていたのでしょう？」



   女王が問うた。



    イサミとケイネスは家を継ぎその仕事を手伝うに相応しい人間になるべく騎士学校に通っていたこと、イサミは女生徒にモテるべくちょっかいを出すも結局は誰も気を引けなかったこと、むしろケイネスに女子達が群がったことを伝えた。



「うふふ、イサミさんは面白い方ですね」



    女王は穏やかに笑った。



「うふふ、あはははははは！勇者様面白いですー！勇敢なだけじゃないんですー！」



    アステリア王女は派手に手を叩きながら笑う。



「おいアステリア、はしたないぞ」



「ごめんなさい」



   思わず王に怒られてしまう。



    イサミはこれでこのお姫様に好かれるのかと疑問に思ってしまった。結婚が決まってるのにそれは大丈夫なのかと不安になっていく。



    だが同時にお姫様と言っても気取らないタイプと認識し親近感が沸いてきた。