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第十九話 スパの世界の事情

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「とまあ冗談はさておき、君たちは侵略者、でいいのかな」



    ディリハが空気を変えてゆっくり問う。



「ええ、あたし達は魔法界からこの世界を支配するためにやってきた侵略者よ」



    スパがニヤリと答える。



「それは独裁者が自らの世界を取るのに飽きて外に求めたゆえの侵略かい?」



「支配するのは楽しい、だから支配するとでも言えばいいのかしら?」



「あんたぁ」



    祐子が挑発されたと思いスパの襟を掴む。



「落ち着け、ここでキレたってしょうがないだろ」



    烈太に宥められんっん、と唸る。



「まさか、違うなら違うで中々に興味深いさ」



     だがディリハは笑みを浮かべている。スパのおふざけに乗せられるつもりはない、むしろ乗せようとしている。



     その言葉にスパは口を尖らせる。



「あたし達の世界は元々内戦をしていたらしいんだけどどんどん激しくなって世界の国々は疲弊してきたの、このままじゃ街も兵士も使いものにならなくなる。だから外の世界を支配することにしたの」



    その口調にはどこか不満や不安を孕んでいた。



「ふっ、予想通りつまらない答えだね。でもま、わざわざ発明の実験体になってくれるならありがたいよ」



     ディリハは吐き捨てた。彼には侵略者など自分を満足させる道具でしかなかった。



「嫌なやつ」



     自分を実験体と言われスパは腹ただしくなった。



「心外だな、わたしはただ実験をしたいだけなのに」



     ディリハはそれに悪びれる気もない。
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