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第一章
第一五話
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オフィーリアはニコニコと笑う目の前の女性をまじまじと見つめる。
「あなたが、ドリィ・テーラー?」
「ええ、ええ!その通りですよぉ、お嬢さん!」
ドリィは一歩だけ下がると片手を広げて仰々しくお辞儀をする。
「私はこのドリィ商店の店主をしておりますぅ。ドリィ・テーラーと言いますわぁ。お嬢さんのお名前を伺ってもよろしいかしらぁ?」
「私はオフィーリア。後ろにいるのは私の使用人のサラよ。」
「まぁ、まぁ!オフィーリア様と言うことはガルシア家のお嬢さんでいらっしゃいますかぁ?」
「名前だけでわかるの?」
あえて家名を伏せたがドリィには無意味だったようで、オフィーリアは少しだけ驚いた。ドリィはにんまりと笑って頷く。
「どこに縁が転がっているかぁ、わかりませんからねぇ、この世界はぁ。この国の主要なお方の名前は皆様頭に入れさせていただいてるんですのぉ。」
「そう……さすがね、ドリィさん。」
「ドリィさんなんてぇ!お嬢さんは大切なお客様なんですがらぁ、敬称なんて入りませんよぉ。それにしてもぉ、ガルシア家のお嬢さんがこんなお店にどんな御用があるんですかぁ?」
オフィーリアの胸の内を暴こうとするようにドリィが下から顔を覗きこんでくる。独特なドリィの話し方と人を舐めたような態度に後ろに控えるサラの機嫌がどんどん悪くなっていっているのがわかった。オフィーリアは後ろから感じるサラの様子に心の中で苦笑する。
「サラ、少しの間外に出で待っていてくれるかしら?」
「お、お嬢様!?それは承服できかねます!」
オフィーリアのお願いにサラは戸惑いを隠せず慌てた。サラがそばを離れるのを嫌がる気持ちもわかるが、これからする話をサラに聞かれたくなかった。これは誰にも知られずに行いたいのだ。
「大丈夫じゃないですかぁ?お嬢さんはとてもしっかりされているみたいですしぃ。このくらいのお年頃なら隠し事の一つや二つあってもおかしくないですよぉ。」
頑として動く気配を見せないサラにどう説得したものかと考えていると、横からドリィが口を挟んできた。そしてドリィはサラの手を取った。サラは急に手を取られ反射的に振り解こうとしたが、ドリィの力が強いのかうまくいかなかった。
「お嬢様…!」
店の外に無理やり追い出されながらサラはオフィーリアに助けを求めるように見てきた。オフィーリアは困ったように目尻を下げると「大丈夫よ。」と、繰り返し答え、サラを見送った。
最後までサラはオフィーリアを一人にしないために抵抗していたがドリィが力づくて外に追いやった。
パタンと店の扉が閉められる。ドリィは一仕事終えた後の人のように息を吐くと、オフィーリアの方に振り返った。店の扉にある小さなすりガラスが嵌められた窓から溢れる光が、ドリィの逆光となりすこしだけ怪しい雰囲気を助長していた。
「さぁさぁ!やっと邪魔者がいなくなりましたねぇ。」
「サラは邪魔者なんかじゃないわ。」
「そうですかぁ?彼女がいるとお話ししにくそうなお顔をしてらしてしましたがぁ…?」
ドリィの言葉に否定することができず思わず口を閉ざした。そんなオフィーリアを見てドリィはおかしそうに笑った。
「貴方はなんだかチグハグですねぇ。そこらの大人よりも冷静かと思えば、子供のように感情を表にお出しになられてぇ…。貴方のような不思議なお方のお客様はぁ、初めてですわぁ。」
ドリィはオフィーリアに近づき腰を折り曲げてオフィーリアの目をじっと見つめる。まるでオフィーリアの心のうちを見透かそうとしているようだった。
急に近づいてきたドリィに思わず身体を後ろに逸らして逃げてしまった。それを見てドリィはまた愉快そうに笑った。
「まぁまぁ、詮索はしないでおきますわぁ。それでは、お嬢さんのお話をお伺いするとしましょうかぁ。」
オフィーリアの横を通り抜けカウンターの前に立つ。そしてカウンターの反対側にあるイスにオフィーリアを促す。オフィーリアは勧められるままそのイスに座った。小さな子供が座るには少しだけ高いイスだった。
「先ほどもお伝えしましたがぁ、ここドリィ商店ではお客様がお望みのものはぁ、なんでもご提供させていただいておりますわぁ。それで、お嬢さんは一体何をお望みなのですかぁ?」
「本当に、なんでも用意してくれるのかしら?」
「えぇ、えぇ!どんなに珍しいものであってもこの世に存在するものでしたら必ず手に入れてご提供させていただきますわぁ!」
「そう……なら、トゥトゥスの実を頂けないかしら?」
オフィーリアがその名を出すとドリィは一瞬目を見開き驚いた様子を見せた。しかし流石は商人というべきか、すぐににこにこと笑ういつもの表情に戻し、何事もなかったかのように振る舞った。
「ほぅほぅ、トゥトゥスの実ですかぁ。それはそれは、また面白いものをご所望なのですねぇ。」
「難しいかしら?」
「いえいえ!ドリィ商店ではどんなお品物でも必ずご提供させていただきますわぁ!…ですが、トゥトゥスの実どなるとお値段が張りますがぁ…。」
考え込むような仕草をした後、ちらりとオフィーリアの方を見てくる。オフィーリアにそれを払うだけのお金があるのかと、目線で訴えてきている。
「大丈夫よ。お金については心配しないでちょうだい。」
そう答えるとドリィは満面の笑みを見せた。今日一番の笑顔と言ってもいいほどだった。
「そうですか、そうですかぁ!それなら安心ですわねぇ!」
「ええ。だから、不純品の混じらない純粋なトゥトゥスの実を譲ってくれるかしら?」
オフィーリアも試すようにドリィの方を見つめると、ドリィは承知したように顔を縦に振る。
「それはぁ、必ず、お約束いたしますわぁ!お金さえしっかり払っていただけるのならぁ、このドリィ、最高級のトゥトゥスの実をご用意させていただきますわぁ!」
「そう……。そう言ってくれて安心したわ。」
オフィーリアも満足そうに頷くと、懐から一通の便箋を取り出した。それを机の上に置きドリィに差し出す。ドリィは薄く笑いながらその便箋を受け取り軽く中を確認した。
ドリィが便箋を受け取ったのを確認したオフィーリアは続いて金貨の入った小さな袋を机の上に置いた。ドリィは便箋を横に置くとその袋を受け取り中身を確認した。じゃらじゃらと金貨同士が擦れる音を立てながら、輝かしいそれらを見てドリィは目を輝かせた。
「えぇ、えぇ!確かに受け取りましたわぁ!私、ドリィはこのお金にかけて必ずお嬢さんにトゥトゥスの実をお届けさせていただきますわぁ。」
お金を大切そうにしまったドリィはホクホクとした顔でそう言った。ドリィの言葉を聞いたオフィーリアはひとまずここまで順調に事が進んだことに安心してほっと胸を撫で下ろした。
トゥトゥスの実、それは情報屋で使われている所謂隠語というやつだ。トゥトゥスの実は過去の大戦時に植生が途絶えたとされる幻の果実であり、この手の界隈では情報を買いに来たと売り手に伝える手段でもあった。
ドリィ・テーラーはかなり独特な個性を持ち合わせていたが、彼女は唯一お金だけを信用している。そのため、他の情報屋とは違い、お金さえ払えばそれ以外のことは気にせず仕事を引き受けてくれる。だから彼女はオフィーリアの事情を深く知ろうとはしないだろうと予想していた。そして予想通り、ドリィはオフィーリアのちくはぐさを指摘しながらも、その理由についてまでは大して気にしている様子はなかった。ドリィにとってオフィーリアがお金を払えるのかどうかそれだけが大事であったようだ。
「あぁ、そういえばぁ。お嬢さんは、精霊師なんですかぁ?」
「あなたが、ドリィ・テーラー?」
「ええ、ええ!その通りですよぉ、お嬢さん!」
ドリィは一歩だけ下がると片手を広げて仰々しくお辞儀をする。
「私はこのドリィ商店の店主をしておりますぅ。ドリィ・テーラーと言いますわぁ。お嬢さんのお名前を伺ってもよろしいかしらぁ?」
「私はオフィーリア。後ろにいるのは私の使用人のサラよ。」
「まぁ、まぁ!オフィーリア様と言うことはガルシア家のお嬢さんでいらっしゃいますかぁ?」
「名前だけでわかるの?」
あえて家名を伏せたがドリィには無意味だったようで、オフィーリアは少しだけ驚いた。ドリィはにんまりと笑って頷く。
「どこに縁が転がっているかぁ、わかりませんからねぇ、この世界はぁ。この国の主要なお方の名前は皆様頭に入れさせていただいてるんですのぉ。」
「そう……さすがね、ドリィさん。」
「ドリィさんなんてぇ!お嬢さんは大切なお客様なんですがらぁ、敬称なんて入りませんよぉ。それにしてもぉ、ガルシア家のお嬢さんがこんなお店にどんな御用があるんですかぁ?」
オフィーリアの胸の内を暴こうとするようにドリィが下から顔を覗きこんでくる。独特なドリィの話し方と人を舐めたような態度に後ろに控えるサラの機嫌がどんどん悪くなっていっているのがわかった。オフィーリアは後ろから感じるサラの様子に心の中で苦笑する。
「サラ、少しの間外に出で待っていてくれるかしら?」
「お、お嬢様!?それは承服できかねます!」
オフィーリアのお願いにサラは戸惑いを隠せず慌てた。サラがそばを離れるのを嫌がる気持ちもわかるが、これからする話をサラに聞かれたくなかった。これは誰にも知られずに行いたいのだ。
「大丈夫じゃないですかぁ?お嬢さんはとてもしっかりされているみたいですしぃ。このくらいのお年頃なら隠し事の一つや二つあってもおかしくないですよぉ。」
頑として動く気配を見せないサラにどう説得したものかと考えていると、横からドリィが口を挟んできた。そしてドリィはサラの手を取った。サラは急に手を取られ反射的に振り解こうとしたが、ドリィの力が強いのかうまくいかなかった。
「お嬢様…!」
店の外に無理やり追い出されながらサラはオフィーリアに助けを求めるように見てきた。オフィーリアは困ったように目尻を下げると「大丈夫よ。」と、繰り返し答え、サラを見送った。
最後までサラはオフィーリアを一人にしないために抵抗していたがドリィが力づくて外に追いやった。
パタンと店の扉が閉められる。ドリィは一仕事終えた後の人のように息を吐くと、オフィーリアの方に振り返った。店の扉にある小さなすりガラスが嵌められた窓から溢れる光が、ドリィの逆光となりすこしだけ怪しい雰囲気を助長していた。
「さぁさぁ!やっと邪魔者がいなくなりましたねぇ。」
「サラは邪魔者なんかじゃないわ。」
「そうですかぁ?彼女がいるとお話ししにくそうなお顔をしてらしてしましたがぁ…?」
ドリィの言葉に否定することができず思わず口を閉ざした。そんなオフィーリアを見てドリィはおかしそうに笑った。
「貴方はなんだかチグハグですねぇ。そこらの大人よりも冷静かと思えば、子供のように感情を表にお出しになられてぇ…。貴方のような不思議なお方のお客様はぁ、初めてですわぁ。」
ドリィはオフィーリアに近づき腰を折り曲げてオフィーリアの目をじっと見つめる。まるでオフィーリアの心のうちを見透かそうとしているようだった。
急に近づいてきたドリィに思わず身体を後ろに逸らして逃げてしまった。それを見てドリィはまた愉快そうに笑った。
「まぁまぁ、詮索はしないでおきますわぁ。それでは、お嬢さんのお話をお伺いするとしましょうかぁ。」
オフィーリアの横を通り抜けカウンターの前に立つ。そしてカウンターの反対側にあるイスにオフィーリアを促す。オフィーリアは勧められるままそのイスに座った。小さな子供が座るには少しだけ高いイスだった。
「先ほどもお伝えしましたがぁ、ここドリィ商店ではお客様がお望みのものはぁ、なんでもご提供させていただいておりますわぁ。それで、お嬢さんは一体何をお望みなのですかぁ?」
「本当に、なんでも用意してくれるのかしら?」
「えぇ、えぇ!どんなに珍しいものであってもこの世に存在するものでしたら必ず手に入れてご提供させていただきますわぁ!」
「そう……なら、トゥトゥスの実を頂けないかしら?」
オフィーリアがその名を出すとドリィは一瞬目を見開き驚いた様子を見せた。しかし流石は商人というべきか、すぐににこにこと笑ういつもの表情に戻し、何事もなかったかのように振る舞った。
「ほぅほぅ、トゥトゥスの実ですかぁ。それはそれは、また面白いものをご所望なのですねぇ。」
「難しいかしら?」
「いえいえ!ドリィ商店ではどんなお品物でも必ずご提供させていただきますわぁ!…ですが、トゥトゥスの実どなるとお値段が張りますがぁ…。」
考え込むような仕草をした後、ちらりとオフィーリアの方を見てくる。オフィーリアにそれを払うだけのお金があるのかと、目線で訴えてきている。
「大丈夫よ。お金については心配しないでちょうだい。」
そう答えるとドリィは満面の笑みを見せた。今日一番の笑顔と言ってもいいほどだった。
「そうですか、そうですかぁ!それなら安心ですわねぇ!」
「ええ。だから、不純品の混じらない純粋なトゥトゥスの実を譲ってくれるかしら?」
オフィーリアも試すようにドリィの方を見つめると、ドリィは承知したように顔を縦に振る。
「それはぁ、必ず、お約束いたしますわぁ!お金さえしっかり払っていただけるのならぁ、このドリィ、最高級のトゥトゥスの実をご用意させていただきますわぁ!」
「そう……。そう言ってくれて安心したわ。」
オフィーリアも満足そうに頷くと、懐から一通の便箋を取り出した。それを机の上に置きドリィに差し出す。ドリィは薄く笑いながらその便箋を受け取り軽く中を確認した。
ドリィが便箋を受け取ったのを確認したオフィーリアは続いて金貨の入った小さな袋を机の上に置いた。ドリィは便箋を横に置くとその袋を受け取り中身を確認した。じゃらじゃらと金貨同士が擦れる音を立てながら、輝かしいそれらを見てドリィは目を輝かせた。
「えぇ、えぇ!確かに受け取りましたわぁ!私、ドリィはこのお金にかけて必ずお嬢さんにトゥトゥスの実をお届けさせていただきますわぁ。」
お金を大切そうにしまったドリィはホクホクとした顔でそう言った。ドリィの言葉を聞いたオフィーリアはひとまずここまで順調に事が進んだことに安心してほっと胸を撫で下ろした。
トゥトゥスの実、それは情報屋で使われている所謂隠語というやつだ。トゥトゥスの実は過去の大戦時に植生が途絶えたとされる幻の果実であり、この手の界隈では情報を買いに来たと売り手に伝える手段でもあった。
ドリィ・テーラーはかなり独特な個性を持ち合わせていたが、彼女は唯一お金だけを信用している。そのため、他の情報屋とは違い、お金さえ払えばそれ以外のことは気にせず仕事を引き受けてくれる。だから彼女はオフィーリアの事情を深く知ろうとはしないだろうと予想していた。そして予想通り、ドリィはオフィーリアのちくはぐさを指摘しながらも、その理由についてまでは大して気にしている様子はなかった。ドリィにとってオフィーリアがお金を払えるのかどうかそれだけが大事であったようだ。
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