6 / 36
第一章 甘えるということ
6話
しおりを挟む
ナナと一緒に食堂に向かった。シイナにとってこの屋敷は広すぎて、移動するだけで一苦労だった。道中いろんな部屋があり、その部屋を一つずつ覚えていくのかと思うと、ちゃんと覚えられるのか不安に感じるほどだった。
ナナはキョロキョロと辺りを見渡しながら歩くシイナのスピードに合わせてゆっくりと歩いてくれた。
そして長い時間をかけてようやく食堂に辿り着く。食堂の扉は開いており、中ではメイドや執事が食事の準備を進めていた。その中心にはアルベリヒが無表情で座っていた。
アルベリヒはシイナが部屋の入り口に到着するのを見つけてシイナのことをじっと見つめた。シイナはアルベリヒに見つめられて思わず体を硬直させる。そして無意識にナナの服の端をきゅっと握った。
「こっちに来なさい、シイナ」
アルベリヒは立ち上がりシイナを呼んだ。シイナはナナの方に顔を向け、ナナが小さく頷くのを見て恐る恐るアルベリヒの方へと足を踏み出した。
忙しなく食事の準備をする使用人たちにぶつからないようにゆっくりとアルベリヒに近づく。シイナは気が付いていなかったが、使用人たちはシイナが足を踏み出しのを見て一時的に手を止めていたため、シイナの気遣いは無用であった。
アルベリヒのそばに来るとアルベリヒは膝を折って目線を合わせる。
「おはよう、シイナ。昨日はよく眠れたか?」
「ぁ……はい」
緊張でからからに乾いた喉からなんとか言葉を搾り出す。シイナの返答を聞いたアルベリヒは小さく頷いた。
「それならいい。何か不自由はないか?」
不自由、と聞いてシイナはぶんぶんと勢いよく顔を横に振る。孤児院の時は他の子供達と床で雑魚寝をしていた。それに比べればふかふかで暖かいベッドに寝れただけ十分だった。これ以上何かを望むのはバチが当たりそうだとも思った。
「まだ来たばかりだからな。もしもこの先何かあれば遠慮せずに言いなさい」
この先何かあることがあるのだろうかとシイナは思った。すでに十分すぎるくらいのものを与えてもらっている。寝て起きて、実は夢だったと分かった時に立ち直れないだろうと思うほどにここは居心地が良かった。
「さぁ、食事にしよう」
アルベリヒはシイナを持ち上げるとシイナには大きすぎる椅子に座らせた。突然持ち上げられたシイナは耳をピンと立ててびっくりした様子を見せた。
長いテーブルを囲むように八脚の椅子が等間隔で並んでいた。シイナが座った場所のテーブルの上には湯気の立つスープと新鮮そうな野菜のサラダ、暖かそうなパンと出来立てのベーコンとスクランブルエッグが綺麗なお皿に盛り付けられて置かれていた。
シイナは生まれてからこれまで暖かいご飯を食べたことがなかった。それどころか酷い時は一日一食、固くて乾いたパンだけの日もあった。そのため、目の前に並ぶご馳走に目を輝かせて食いつくように見つめた。
アルベリヒは小さく笑うとシイナの横に腰掛けた。
「好きなだけ食べるといい」
ご馳走に釘付けになっているシイナの頭を優しく撫でる。シイナはアルベリヒに頭を撫でられてようやくはっとしたように前のめりになっていた体を元に戻した。そして恥ずかしそうにもじもじと下を向いた。
しばらくそうした後、シイナはアルベリヒの方を向いた。まるで本当にこのご飯を食べてもいいのかと聞いているようだった。その視線の意味を汲み取ったのか、アルベリヒはシイナの前に並べられたスプーンを手に取りスープを掬った。そして息を吹きかけてスープを少し冷ますとシイナの口元へと持っていく。
シイナは少し悩んだ後、差し出されたスプーンを口に含んだ。アルベリヒは器用にシイナの口の中にスープを流し込むとすっとスプーンを引き抜いた。
シイナの口の中に流れ込んだスープは程よく温かく、すり潰されたジャガイモのざらざらとした食感が舌を滑る。
初めて口にする食感にシイナは目を丸くする。そしてあまりのおいしさに思わず笑顔を見せた。
この屋敷に来てから初めて見せた表情だった。
その表情を目の前で見たアルベリヒは僅かに目を見開き、その後すぐにいつもの無表情に戻り、もう一度スープを掬ってシイナの口元に運ぶ。
今度はシイナも戸惑うことなくそのスープに口をつけた。他の人から見れば親鳥と雛鳥のように見えていたが、シイナは美味しいご飯に夢中でそんなことに気がつくこともなかった。
「スプーンやフォークの使い方はわかるか?」
二口目を堪能しているとアルベリヒがスプーンを差し出してきた。シイナはそのスプーンを受け取るとこくりと頷いた。
シイナは受け取ったスプーン使ってスープを掬い上げる。湯気の立つスープはこれまで食べたどの食べ物よりも美味しかった。こんなに美味しいものを食べさせてもらってもいいのかと不安になる気持ちがなかったわけではないが、美味しいものを食べたい気持ちには勝てなかった。
シイナがゆっくりとではあるが食事を始めたのを見て、アルベリヒも自身の目の前に置かれた料理に手をつけ始めた。
食事が進むにつれてシイナの手は初めほどの勢いがなくなっていった。シイナとしては出されたものは全て食べたかったのだが、これまでの食生活の酷さから食事の半分もしないところでお腹がいっぱいになってしまった。
孤児院では出された食事はたとえ故意に床に落とされたとしても全て食べなければいけなかった。そうしないと大人たちに躾と称して罰を与えられた。
その記憶がシイナに無理を強いていた。
お腹がいっぱいでこれ以上食べられないと分かっていても、ゆっくりとではあるが食べ進めた。
その様子に気がついたアルベリヒは無理に食べようとするシイナの手を掴み止めた。シイナは泣きそうな顔でアルベリヒを見上げた。
「無理はしなくていい。食べられるだけでいい。残すことは決して悪いことではない」
余計なことは言わず、アルベリヒは必要なことだけシイナに伝えた。それでもシイナは申し訳なさそうに食器に残された料理を見つめる。アルベリヒもシイナの考えがわかったのか、シイナから手を離すとその手をシイナの食事へと手を伸ばした。
「もったいないと思うのなら私が食べよう。それなら少しは気にならないか?」
「……ごめんなさい」
シイナは泣きそうになりながら小さく呟いた。全て食べれなかったことも、その処理をアルベリヒに押し付けてしまったことも、全てがシイナの心に重くのしかかる。
「どうして謝る?」
アルベリヒの言葉にシイナは困惑した表情を見せる。アルベリヒが何を言ってるのか汲み取ることができなかった。
「シイナ、私たちは家族になった。シイナができないことを家族である私がしてあげることは何もおかしいことじゃない」
当然のことのようにアルベリヒは話す。
「家族とは支え合うものだ。シイナが一人で無理することも嫌な思いをすることもない」
アルベリヒは髪をすくようにシイナの頭を撫でる。
「ここに、シイナを害するものはいない。怯える必要はない。だから謝る必要もない」
アルベリヒの言葉はシイナが全てを理解するには難しかった。
シイナは家族を知らない。ずっと孤児院を転々とし、その先々で獣人だからと大人たちからは目をつけられ、同じ子供たちからは遠巻きにされてきた。
ずっと一人だったシイナには誰かが手を差し伸べてくれること自体、あり得ないことだった。
(家族……家族って、なんだろう)
孤児院の窓から小さな子供とその家族が手を繋いで歩いている姿を見たことがあった。子供はその大人のことを信頼しているのか屈託のない笑顔で話しかけて、話を聞いていた大人も笑顔だった。
その関係が一体どうやって成り立つのか、シイナにはずっと疑問だった。
(家族って、難しいことじゃないのかな)
アルベリヒはシイナがアルベリヒの言葉を飲み込むまで根気強く待った。しかし考えすぎたシイナの頭はパンクしそうだった。
「あ……ご、ごめんなさい!」
そしてシイナはアルベリヒから逃げるように立ち上がると食堂から走って逃げ出した。突然のことにアルベリヒの手は宙で彷徨い、そばに控えていたナナや他の使用人も反応できなかった。
「だ、旦那様」
固まるアルベリヒに恐る恐るナナが声をかけた。
「すぐにシイナ様を探してきます!」
「いや、待て」
そして返事を聞く前にシイナと同じように飛び出そうとするナナをアルベリヒが止める。ナナは様子を窺うようにアルベリヒを見る。
アルベリヒは深く息を吐くと静かに立ち上がった。
「私が行こう。お前たちは仕事に戻ってくれ。……ナナ、君はニュートンを呼んできてくれ」
「……畏まりました」
アルベリヒの出した指示を元に各々が動き出す。それを確認したアルベリヒはシイナを探すために食堂の外へと出ていった。
ナナはキョロキョロと辺りを見渡しながら歩くシイナのスピードに合わせてゆっくりと歩いてくれた。
そして長い時間をかけてようやく食堂に辿り着く。食堂の扉は開いており、中ではメイドや執事が食事の準備を進めていた。その中心にはアルベリヒが無表情で座っていた。
アルベリヒはシイナが部屋の入り口に到着するのを見つけてシイナのことをじっと見つめた。シイナはアルベリヒに見つめられて思わず体を硬直させる。そして無意識にナナの服の端をきゅっと握った。
「こっちに来なさい、シイナ」
アルベリヒは立ち上がりシイナを呼んだ。シイナはナナの方に顔を向け、ナナが小さく頷くのを見て恐る恐るアルベリヒの方へと足を踏み出した。
忙しなく食事の準備をする使用人たちにぶつからないようにゆっくりとアルベリヒに近づく。シイナは気が付いていなかったが、使用人たちはシイナが足を踏み出しのを見て一時的に手を止めていたため、シイナの気遣いは無用であった。
アルベリヒのそばに来るとアルベリヒは膝を折って目線を合わせる。
「おはよう、シイナ。昨日はよく眠れたか?」
「ぁ……はい」
緊張でからからに乾いた喉からなんとか言葉を搾り出す。シイナの返答を聞いたアルベリヒは小さく頷いた。
「それならいい。何か不自由はないか?」
不自由、と聞いてシイナはぶんぶんと勢いよく顔を横に振る。孤児院の時は他の子供達と床で雑魚寝をしていた。それに比べればふかふかで暖かいベッドに寝れただけ十分だった。これ以上何かを望むのはバチが当たりそうだとも思った。
「まだ来たばかりだからな。もしもこの先何かあれば遠慮せずに言いなさい」
この先何かあることがあるのだろうかとシイナは思った。すでに十分すぎるくらいのものを与えてもらっている。寝て起きて、実は夢だったと分かった時に立ち直れないだろうと思うほどにここは居心地が良かった。
「さぁ、食事にしよう」
アルベリヒはシイナを持ち上げるとシイナには大きすぎる椅子に座らせた。突然持ち上げられたシイナは耳をピンと立ててびっくりした様子を見せた。
長いテーブルを囲むように八脚の椅子が等間隔で並んでいた。シイナが座った場所のテーブルの上には湯気の立つスープと新鮮そうな野菜のサラダ、暖かそうなパンと出来立てのベーコンとスクランブルエッグが綺麗なお皿に盛り付けられて置かれていた。
シイナは生まれてからこれまで暖かいご飯を食べたことがなかった。それどころか酷い時は一日一食、固くて乾いたパンだけの日もあった。そのため、目の前に並ぶご馳走に目を輝かせて食いつくように見つめた。
アルベリヒは小さく笑うとシイナの横に腰掛けた。
「好きなだけ食べるといい」
ご馳走に釘付けになっているシイナの頭を優しく撫でる。シイナはアルベリヒに頭を撫でられてようやくはっとしたように前のめりになっていた体を元に戻した。そして恥ずかしそうにもじもじと下を向いた。
しばらくそうした後、シイナはアルベリヒの方を向いた。まるで本当にこのご飯を食べてもいいのかと聞いているようだった。その視線の意味を汲み取ったのか、アルベリヒはシイナの前に並べられたスプーンを手に取りスープを掬った。そして息を吹きかけてスープを少し冷ますとシイナの口元へと持っていく。
シイナは少し悩んだ後、差し出されたスプーンを口に含んだ。アルベリヒは器用にシイナの口の中にスープを流し込むとすっとスプーンを引き抜いた。
シイナの口の中に流れ込んだスープは程よく温かく、すり潰されたジャガイモのざらざらとした食感が舌を滑る。
初めて口にする食感にシイナは目を丸くする。そしてあまりのおいしさに思わず笑顔を見せた。
この屋敷に来てから初めて見せた表情だった。
その表情を目の前で見たアルベリヒは僅かに目を見開き、その後すぐにいつもの無表情に戻り、もう一度スープを掬ってシイナの口元に運ぶ。
今度はシイナも戸惑うことなくそのスープに口をつけた。他の人から見れば親鳥と雛鳥のように見えていたが、シイナは美味しいご飯に夢中でそんなことに気がつくこともなかった。
「スプーンやフォークの使い方はわかるか?」
二口目を堪能しているとアルベリヒがスプーンを差し出してきた。シイナはそのスプーンを受け取るとこくりと頷いた。
シイナは受け取ったスプーン使ってスープを掬い上げる。湯気の立つスープはこれまで食べたどの食べ物よりも美味しかった。こんなに美味しいものを食べさせてもらってもいいのかと不安になる気持ちがなかったわけではないが、美味しいものを食べたい気持ちには勝てなかった。
シイナがゆっくりとではあるが食事を始めたのを見て、アルベリヒも自身の目の前に置かれた料理に手をつけ始めた。
食事が進むにつれてシイナの手は初めほどの勢いがなくなっていった。シイナとしては出されたものは全て食べたかったのだが、これまでの食生活の酷さから食事の半分もしないところでお腹がいっぱいになってしまった。
孤児院では出された食事はたとえ故意に床に落とされたとしても全て食べなければいけなかった。そうしないと大人たちに躾と称して罰を与えられた。
その記憶がシイナに無理を強いていた。
お腹がいっぱいでこれ以上食べられないと分かっていても、ゆっくりとではあるが食べ進めた。
その様子に気がついたアルベリヒは無理に食べようとするシイナの手を掴み止めた。シイナは泣きそうな顔でアルベリヒを見上げた。
「無理はしなくていい。食べられるだけでいい。残すことは決して悪いことではない」
余計なことは言わず、アルベリヒは必要なことだけシイナに伝えた。それでもシイナは申し訳なさそうに食器に残された料理を見つめる。アルベリヒもシイナの考えがわかったのか、シイナから手を離すとその手をシイナの食事へと手を伸ばした。
「もったいないと思うのなら私が食べよう。それなら少しは気にならないか?」
「……ごめんなさい」
シイナは泣きそうになりながら小さく呟いた。全て食べれなかったことも、その処理をアルベリヒに押し付けてしまったことも、全てがシイナの心に重くのしかかる。
「どうして謝る?」
アルベリヒの言葉にシイナは困惑した表情を見せる。アルベリヒが何を言ってるのか汲み取ることができなかった。
「シイナ、私たちは家族になった。シイナができないことを家族である私がしてあげることは何もおかしいことじゃない」
当然のことのようにアルベリヒは話す。
「家族とは支え合うものだ。シイナが一人で無理することも嫌な思いをすることもない」
アルベリヒは髪をすくようにシイナの頭を撫でる。
「ここに、シイナを害するものはいない。怯える必要はない。だから謝る必要もない」
アルベリヒの言葉はシイナが全てを理解するには難しかった。
シイナは家族を知らない。ずっと孤児院を転々とし、その先々で獣人だからと大人たちからは目をつけられ、同じ子供たちからは遠巻きにされてきた。
ずっと一人だったシイナには誰かが手を差し伸べてくれること自体、あり得ないことだった。
(家族……家族って、なんだろう)
孤児院の窓から小さな子供とその家族が手を繋いで歩いている姿を見たことがあった。子供はその大人のことを信頼しているのか屈託のない笑顔で話しかけて、話を聞いていた大人も笑顔だった。
その関係が一体どうやって成り立つのか、シイナにはずっと疑問だった。
(家族って、難しいことじゃないのかな)
アルベリヒはシイナがアルベリヒの言葉を飲み込むまで根気強く待った。しかし考えすぎたシイナの頭はパンクしそうだった。
「あ……ご、ごめんなさい!」
そしてシイナはアルベリヒから逃げるように立ち上がると食堂から走って逃げ出した。突然のことにアルベリヒの手は宙で彷徨い、そばに控えていたナナや他の使用人も反応できなかった。
「だ、旦那様」
固まるアルベリヒに恐る恐るナナが声をかけた。
「すぐにシイナ様を探してきます!」
「いや、待て」
そして返事を聞く前にシイナと同じように飛び出そうとするナナをアルベリヒが止める。ナナは様子を窺うようにアルベリヒを見る。
アルベリヒは深く息を吐くと静かに立ち上がった。
「私が行こう。お前たちは仕事に戻ってくれ。……ナナ、君はニュートンを呼んできてくれ」
「……畏まりました」
アルベリヒの出した指示を元に各々が動き出す。それを確認したアルベリヒはシイナを探すために食堂の外へと出ていった。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる