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プロローグ
3話
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初めて乗った馬車は緊張と混乱でどんな乗り心地だったのか覚えていなかった。長く馬車に揺られていた気もするし、一瞬だったような気もする。
目の前で何も言わずにじっと見てくるアルベリヒに馬車がどこかに止まるまでシイナは蛇に睨まれたカエルのように体を固まらせていた。窓の外を見る余裕もなくずっと自分の足とアルベリヒの足の間の床を見つめることしかできなかった。
シイナから声をかけるなんて考えは一切思い浮かばず、またアルベリヒもシイナに何か話しかけることはなかった。
長い沈黙のあと馬車は馬の鳴き声と少しだけ揺れてから止まった。そして扉が外から開けられた。直接入ってきた日の光を浴びてシイナは眩しそうに目を細めた。
アルベリヒが先に降り、振り返ってシイナに手を伸ばした。シイナはその手を取るという考えに思い至らず、じっとその手を見つめていた。するとアルベリヒがそっとシイナの脇に手を差し入れて抱き上げて外へと連れ出した。
外に出て初めて目にしたのは緑あふれる広大な大地に建つ大きな屋敷だった。シイナがこれまで過ごした孤児院とは比べ物にならないほど大きな屋敷だった。
唖然としてその屋敷を見上げているとアルベリヒがサッと歩き出した。アルベリヒが屋敷の扉を開けると数人のメイド服を着た女性とスーツに身を包んだ男性が頭を下げながら待っていた。
「おかえりなさいませ、旦那様」
一番先頭にいた年老いた男性が言う。アルベリヒは着ていたコートをその男性に渡すと立ち尽くしているシイナの方に目線を向けた。
「シイナが見つかった。身支度を整えてやってくれ」
端的に用件を告げると男性はさらに腰を深くした後、数人のメイド服を着た女性に指示を出した。
「畏まりました。アンナ、ニカ、二人でシイナ様の身支度を整えてあげなさい」
「わかりました」
「はい」
アンナと呼ばれたおさげを三つ編みにした女性と、ニカと呼ばれるたボブカットの女性が頷く。二人はアルベリヒのそばを通り過ぎシイナの元までやってきた。シイナは急に近づいてきた二人の女性にびくりと肩を震わせた。アンナとニカは二人の腰ほどしかないシイナのためにしゃがみ込んで視線を合わせてくれた。
「アンナです、シイナ様。よろしくお願いします」
「ニカです。僭越ながらシイナ様のお世話をさせていただきますね」
柔らかく笑って自己紹介をした二人にシイナは視線を彷徨わせる。何て答えればいいのかわからなかったのだ。困ってキョロキョロ見渡し、助けを求めたのは何故かアルベリヒだった。
アルベリヒは表情を変えずにシイナを見つめ返すだけで、何の助けにもならなかった。だけどその視線は大丈夫だと言うようだった。
シイナは何が起きてるのかいまだにわかっていなかったが何が起きてもいいように覚悟を決めてからこくりと頷いた。
「あとからナナも向かわせます。それまでは二人でシイナ様のお世話をお願いします」
二人のメイドの後ろから先ほどの年老いた執事が言う。二人は心得ているのか小さく返事を返した。
アルベリヒ達から離れ、シイナはアンナとニカに連れられて浴室に連れてこられた。
浴室もこの屋敷と同じでシイナの想像できないくらい大きかった。シイナが孤児院で過ごしていた部屋がいったいいくつ入るのだろうか、と戸惑う頭で考えたほどだった。
大理石のタイルが引かれた床は隅々まで磨かれており、気を抜いたら滑って転んでしまうのではないかと思った。脱衣室のようなものがそばにあったこともシイナには驚きだった。
そもそも、孤児院で過ごしていた時の水浴びは本当に稀で、水浴びができたとしても冷たい水で体を流すだけという粗末なものだった。脱衣室なんてものはなく、もちろんこんなに豪華な部屋で水浴びをしたことはなかった。
あまりの違いにシイナの足が入り口で止まる。アンナとニカは最初そのことに気が付かず勝手をわかりきった様子で中に進んだが、すぐにシイナがついてきていないことに気がついた。そして二人は同時にはっとした。
「申し訳ございません、シイナ様」
「配慮が足りませんでした」
二人はすぐにシイナのそばに駆け寄ると膝をついて頭を下げた。誰からも頭を下げられたことのなかったシイナは汗を滝のように流しながら首をブンブンと横に振る。シイナはそんなことをしてもらう身分ではないのだ。
「ここは浴場になります。旦那様が主にお使いになります。これからはシイナ様もここで毎日お体を綺麗にしていただくことになるかと思います」
ニカの説明にシイナは一瞬きょとんと理解が及んでいないような表情を見せた。そしてすぐにその言葉の意味を理解すると視線を彷徨わせ戸惑う様子を見せた。
こんな綺麗で大きな浴場でこれから毎日体を洗うなんてシイナには想像もできなかった。新鮮なお湯が張られているのか白い湯気が少し先のお風呂場から見える。
「さぁ、シイナ様。こちらへ。お体を綺麗に致しますね」
アンナが声をかけ、ニカが優しくシイナの手に触れた。ニカの手がシイナに伸びてきた時、シイナは反射的に目を瞑り体を硬くさせた。その様子にニカが一瞬困ったような顔を見せたが、目を瞑っていたシイナにはわからなかった。
ニカの手は暖かくて柔らかかった。
孤児院の院長だったあの男の手はぶよぶよとしていて気持ちが悪かったし、同じ孤児達の手は栄養不足で骨張っていた。なにより、シイナの手を壊れものを扱うかのように優しく包み込んでくれたのはアルベリヒを除いてニカが初めてだった。
シイナは手から伝わるニカの体温に体の緊張をほぐされていくのを感じた。力の入っていた肩はゆっくりと下に降り、震えていた手足や人とは違う獣の耳はやがて震えなくなった。
「ま、ほう……みたい」
シイナは口から溢れる言葉を止めることができなかった。ほぅと息を吐きながら繋がれた手を見つめる。こんなにも胸が暖かくなるものがあるなんてシイナは考えたこともなかった。
大人の手は怖い。冷たくて、いつだってシイナを傷つけた。なのにここの人たちの手は、アルベリヒ達はシイナを傷つけることなくその手で包み込んでくれる。
彼らの手が魔法のようにシイナの不安も恐怖もどこかへとやってしまった。こんなことは初めてだった。
じっと繋がれた手を見つめるシイナを見て、アンナとニカは優しく笑った。
「シイナ様。ここではシイナ様を傷つけるものはいません。そんな奴がいたら私たちが必ず成敗致します」
「今すぐには難しいかもしれませんが、少しずつでいいので私たちがシイナ様の内側に立ち入ることをお許しください」
シイナはいまいち二人の言っていることがわからなかった。だけど、何か許しを求められていることだけはわかったのでとりあえずこくこくと頷く様子を見せる。
二人はそんなシイナの心境をも分かっているのか笑みを崩さない。
「あら?まだお湯に入っていなかったの?」
三人が入り口でもたもたしていると扉を開けて快活そうな女性が入ってきた。袖を捲し上げメイド服のスカートの裾を紐で器用に結びあげている。お風呂にシイナを入れる準備万端と言わんばかりの格好だった。
「もう、時間は無限にはないのよ。さぁさぁ、シイナ様。万歳をしてください……両手を上に高く上げるんです。そうです……はい!」
しっかりとした物言いに促されるままシイナは両手をまっすぐ上に伸ばした。そして素早くその女性がシイナのボロボロで汚い衣服を抜き取る。
「ごめんなさい、ナナ。シイナ様も初めての経験で戸惑っていらしたので」
「大丈夫よ。誰にだって初めての経験はあるもの。初めてのことは怖かったり尻込みするものよね。シイナ様、水は平気ですか?暖かいお湯も」
吊り目気味で髪の毛をお団子に纏めているナナと呼ばれた女性は少しキツそうに見えるが、その実、明るくて面倒見が良さそうでちっとも怖いところはなかった。
シイナはこれまでの生活の中で湯気が立ち上るほどの暖かいお湯に触れる機会はなかったが、きっと大丈夫だろうと思い首を縦に振る。
「さぁ、旦那様もお待ちですから、ぱぱっと済ませちゃいましょう!」
目の前で何も言わずにじっと見てくるアルベリヒに馬車がどこかに止まるまでシイナは蛇に睨まれたカエルのように体を固まらせていた。窓の外を見る余裕もなくずっと自分の足とアルベリヒの足の間の床を見つめることしかできなかった。
シイナから声をかけるなんて考えは一切思い浮かばず、またアルベリヒもシイナに何か話しかけることはなかった。
長い沈黙のあと馬車は馬の鳴き声と少しだけ揺れてから止まった。そして扉が外から開けられた。直接入ってきた日の光を浴びてシイナは眩しそうに目を細めた。
アルベリヒが先に降り、振り返ってシイナに手を伸ばした。シイナはその手を取るという考えに思い至らず、じっとその手を見つめていた。するとアルベリヒがそっとシイナの脇に手を差し入れて抱き上げて外へと連れ出した。
外に出て初めて目にしたのは緑あふれる広大な大地に建つ大きな屋敷だった。シイナがこれまで過ごした孤児院とは比べ物にならないほど大きな屋敷だった。
唖然としてその屋敷を見上げているとアルベリヒがサッと歩き出した。アルベリヒが屋敷の扉を開けると数人のメイド服を着た女性とスーツに身を包んだ男性が頭を下げながら待っていた。
「おかえりなさいませ、旦那様」
一番先頭にいた年老いた男性が言う。アルベリヒは着ていたコートをその男性に渡すと立ち尽くしているシイナの方に目線を向けた。
「シイナが見つかった。身支度を整えてやってくれ」
端的に用件を告げると男性はさらに腰を深くした後、数人のメイド服を着た女性に指示を出した。
「畏まりました。アンナ、ニカ、二人でシイナ様の身支度を整えてあげなさい」
「わかりました」
「はい」
アンナと呼ばれたおさげを三つ編みにした女性と、ニカと呼ばれるたボブカットの女性が頷く。二人はアルベリヒのそばを通り過ぎシイナの元までやってきた。シイナは急に近づいてきた二人の女性にびくりと肩を震わせた。アンナとニカは二人の腰ほどしかないシイナのためにしゃがみ込んで視線を合わせてくれた。
「アンナです、シイナ様。よろしくお願いします」
「ニカです。僭越ながらシイナ様のお世話をさせていただきますね」
柔らかく笑って自己紹介をした二人にシイナは視線を彷徨わせる。何て答えればいいのかわからなかったのだ。困ってキョロキョロ見渡し、助けを求めたのは何故かアルベリヒだった。
アルベリヒは表情を変えずにシイナを見つめ返すだけで、何の助けにもならなかった。だけどその視線は大丈夫だと言うようだった。
シイナは何が起きてるのかいまだにわかっていなかったが何が起きてもいいように覚悟を決めてからこくりと頷いた。
「あとからナナも向かわせます。それまでは二人でシイナ様のお世話をお願いします」
二人のメイドの後ろから先ほどの年老いた執事が言う。二人は心得ているのか小さく返事を返した。
アルベリヒ達から離れ、シイナはアンナとニカに連れられて浴室に連れてこられた。
浴室もこの屋敷と同じでシイナの想像できないくらい大きかった。シイナが孤児院で過ごしていた部屋がいったいいくつ入るのだろうか、と戸惑う頭で考えたほどだった。
大理石のタイルが引かれた床は隅々まで磨かれており、気を抜いたら滑って転んでしまうのではないかと思った。脱衣室のようなものがそばにあったこともシイナには驚きだった。
そもそも、孤児院で過ごしていた時の水浴びは本当に稀で、水浴びができたとしても冷たい水で体を流すだけという粗末なものだった。脱衣室なんてものはなく、もちろんこんなに豪華な部屋で水浴びをしたことはなかった。
あまりの違いにシイナの足が入り口で止まる。アンナとニカは最初そのことに気が付かず勝手をわかりきった様子で中に進んだが、すぐにシイナがついてきていないことに気がついた。そして二人は同時にはっとした。
「申し訳ございません、シイナ様」
「配慮が足りませんでした」
二人はすぐにシイナのそばに駆け寄ると膝をついて頭を下げた。誰からも頭を下げられたことのなかったシイナは汗を滝のように流しながら首をブンブンと横に振る。シイナはそんなことをしてもらう身分ではないのだ。
「ここは浴場になります。旦那様が主にお使いになります。これからはシイナ様もここで毎日お体を綺麗にしていただくことになるかと思います」
ニカの説明にシイナは一瞬きょとんと理解が及んでいないような表情を見せた。そしてすぐにその言葉の意味を理解すると視線を彷徨わせ戸惑う様子を見せた。
こんな綺麗で大きな浴場でこれから毎日体を洗うなんてシイナには想像もできなかった。新鮮なお湯が張られているのか白い湯気が少し先のお風呂場から見える。
「さぁ、シイナ様。こちらへ。お体を綺麗に致しますね」
アンナが声をかけ、ニカが優しくシイナの手に触れた。ニカの手がシイナに伸びてきた時、シイナは反射的に目を瞑り体を硬くさせた。その様子にニカが一瞬困ったような顔を見せたが、目を瞑っていたシイナにはわからなかった。
ニカの手は暖かくて柔らかかった。
孤児院の院長だったあの男の手はぶよぶよとしていて気持ちが悪かったし、同じ孤児達の手は栄養不足で骨張っていた。なにより、シイナの手を壊れものを扱うかのように優しく包み込んでくれたのはアルベリヒを除いてニカが初めてだった。
シイナは手から伝わるニカの体温に体の緊張をほぐされていくのを感じた。力の入っていた肩はゆっくりと下に降り、震えていた手足や人とは違う獣の耳はやがて震えなくなった。
「ま、ほう……みたい」
シイナは口から溢れる言葉を止めることができなかった。ほぅと息を吐きながら繋がれた手を見つめる。こんなにも胸が暖かくなるものがあるなんてシイナは考えたこともなかった。
大人の手は怖い。冷たくて、いつだってシイナを傷つけた。なのにここの人たちの手は、アルベリヒ達はシイナを傷つけることなくその手で包み込んでくれる。
彼らの手が魔法のようにシイナの不安も恐怖もどこかへとやってしまった。こんなことは初めてだった。
じっと繋がれた手を見つめるシイナを見て、アンナとニカは優しく笑った。
「シイナ様。ここではシイナ様を傷つけるものはいません。そんな奴がいたら私たちが必ず成敗致します」
「今すぐには難しいかもしれませんが、少しずつでいいので私たちがシイナ様の内側に立ち入ることをお許しください」
シイナはいまいち二人の言っていることがわからなかった。だけど、何か許しを求められていることだけはわかったのでとりあえずこくこくと頷く様子を見せる。
二人はそんなシイナの心境をも分かっているのか笑みを崩さない。
「あら?まだお湯に入っていなかったの?」
三人が入り口でもたもたしていると扉を開けて快活そうな女性が入ってきた。袖を捲し上げメイド服のスカートの裾を紐で器用に結びあげている。お風呂にシイナを入れる準備万端と言わんばかりの格好だった。
「もう、時間は無限にはないのよ。さぁさぁ、シイナ様。万歳をしてください……両手を上に高く上げるんです。そうです……はい!」
しっかりとした物言いに促されるままシイナは両手をまっすぐ上に伸ばした。そして素早くその女性がシイナのボロボロで汚い衣服を抜き取る。
「ごめんなさい、ナナ。シイナ様も初めての経験で戸惑っていらしたので」
「大丈夫よ。誰にだって初めての経験はあるもの。初めてのことは怖かったり尻込みするものよね。シイナ様、水は平気ですか?暖かいお湯も」
吊り目気味で髪の毛をお団子に纏めているナナと呼ばれた女性は少しキツそうに見えるが、その実、明るくて面倒見が良さそうでちっとも怖いところはなかった。
シイナはこれまでの生活の中で湯気が立ち上るほどの暖かいお湯に触れる機会はなかったが、きっと大丈夫だろうと思い首を縦に振る。
「さぁ、旦那様もお待ちですから、ぱぱっと済ませちゃいましょう!」
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