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三章 -変わる関係-
幕間:氷室家の人々
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友達の家で徹夜で遊び倒した後、解散する。
欠伸を噛み殺しながら家に帰り、バイクを置くと家の鍵を取り出した。
「あらかじめ予定を伝えてあった分はいいが、初日のは絶対になんか言われるな」
とりあえず、いないのが一番。いたら、簡単に謝って早く寝ようと思いながら扉をゆっくりと開けていく。
下を見ると、残念ながら靴があった。仕方ない、腹をくくろう。
そして、ため息をつきながらリビングの扉を開けると、帰宅の挨拶をした。
ソファには、妹の早希が寝そべっていて、俺が怒られるのが分かっているのかニヤニヤと笑っていた。あいつ、後で覚えてろよ。
「ただいま」
「おかえり、誠」
母さんの責める視線に、すぐに謝る。
「連絡忘れて、ごめん」
「心配したのよ?泊まる時とご飯がいらない時は必ず連絡してっていつも言ってるわよね」
相変わらずの無表情だが、かなり怒っていることが分かった。
「本当にごめん」
「次やったら、バイクの鍵は取り上げるから」
「マジかよ。絶対もうやらない」
こんな便利で楽しいもんを取り上げられたら困る。まぁヘルメットはめちゃくちゃ蒸れるが、自転車で頑張るよりは断然いい。
「なら、いいわ。どこに泊まったの?」
「友達の家。突如決まってさ。あっ、そういえば!その泊めてくれた子、今度家に連れてきていいか?」
隆の家でゲームをしている最中も、暇なのかよく連絡があり、催促され続けたので話を出しておくことにした。どうせ、我が家の最終決定権は母さんにあるしな。
「家に?いいけど、珍しいわね」
「ちょっといろいろあってさ」
「ふーん。いつ?」
「ちょっと聞いてみるよ」
とりあえず、いつがいいかと尋ねるメッセージを送ると、スマホをしまうまでもなく返事が返ってきた。
どうやら、透は夏休みにも関わらず暇人らしい。もしかしたら、俺が知らないだけでこれが女子高生のデフォルトの返信スピードなのかもしれないが。
「明日は?」
「別にいいわよ。他のお客さんが来る日じゃないし」
「じゃあ、明日でいいって伝えとくよ」
「わかった。けど、泊めて貰ったんだから相手先の家にもお礼言っとかなきゃね。私の知らない子なんでしょ?」
「それは大丈夫。その子、一人暮らしだから」
「え?高校生で一人暮らしなの?すごいわね。なんか複雑な家庭とかかしら?」
「よくしらない。けど料理は上手いよ」
そういや、どういう家庭なのか聞いたことが無かったような気がする。
「はぁ。誠は、そういうところあるわよね。でも、その年頃の男の子で料理ができるってすごいじゃない」
「ん?いや、女の子だけど」
「「え!?」」
母さんだけじゃなく、何故か、早希までもが大きい声をあげた。
そして、今まで読んでいた雑誌を放り投げてこちらに寄ってくる姿を見ると、母さんの目が少し細まった。バカなやつめ。お前も後で説教コースだぞ。
「どうした?」
「どうしたじゃないってお兄ちゃん!私がモテ男ポイント教えてあげたら一瞬でモテ期来たじゃん!やっぱりねー下地はあるとは思ってたのよ」
「いや、それは関係ない。聞き流してたから覚えてないし」
「聞き流してたの!?嘘だよね?あんなに熱心に教えてあげたのに」
「嘘じゃない」
「バカ!!お兄ちゃんはほんとしょうがないなー。でも、私は優しいからまた教えてあげるよ。どこから覚えてないの?」
「アイス買いに行こうの後から」
「それ、全部じゃん!?」
早希がショックを受けたような顔で三角座りをする。ほんとに騒がしい奴だな。
だが、それとは別に母さんもけっこー衝撃があったようで珍しく表情を動かしてこちらを見ていた。
「でも、誠が女の子を家に連れてくるなんて思ってもみなかったわ」
「そうだろうな。自分でもなんでこうなったのかよくわからないし」
「その子のこと好きなの?」
「うーん、そういうのあんま興味ないんだよな。でも、良い子ではあるよ」
「誠は、ほんとに枯れてるわよね。けど仕方ないか、隼人さんも昔は趣味命で恋愛とか興味無かったらしいし」
それは初めて聞く話だ。親父は母さん大好きだから、昔からそうなんだと思ってた。
「へー知らなかった」
「そう?でも、こんな話普段しないからわからないか。まぁいいわ。それと、どうせだったら夕食も一緒に食べてってもらったら?一人暮らしじゃ何かと大変だろうし」
「確かにな。誘ってみるよ」
「そうね」
「じゃあ、俺ちょっと眠いから寝るよ。また、飯になったら起こして」
「はいはい。おやすみ」
思ったよりも話が長くなってしまったのでめちゃくちゃ眠い。とりあえず、シャワーを浴びるとすぐさまベッドに横になった。
「とりあえず、メッセージだけ入れとくか」
簡潔に明日でいいこと、夕食を食べたいならそれでもいいことをメッセージで送る。
返事は、やはりすぐに返ってきた。
「早希もそうだけど、女子はこういうの好きなんだろうなぁ。ふわぁ。まっいいや、寝よ」
俺は、そう独り言を言い、ハートが連続で並ぶスマホの画面を消すと、深い眠りについた。
親父が興奮した様子で女!女!と言いながら飛び込んでくるまで。
欠伸を噛み殺しながら家に帰り、バイクを置くと家の鍵を取り出した。
「あらかじめ予定を伝えてあった分はいいが、初日のは絶対になんか言われるな」
とりあえず、いないのが一番。いたら、簡単に謝って早く寝ようと思いながら扉をゆっくりと開けていく。
下を見ると、残念ながら靴があった。仕方ない、腹をくくろう。
そして、ため息をつきながらリビングの扉を開けると、帰宅の挨拶をした。
ソファには、妹の早希が寝そべっていて、俺が怒られるのが分かっているのかニヤニヤと笑っていた。あいつ、後で覚えてろよ。
「ただいま」
「おかえり、誠」
母さんの責める視線に、すぐに謝る。
「連絡忘れて、ごめん」
「心配したのよ?泊まる時とご飯がいらない時は必ず連絡してっていつも言ってるわよね」
相変わらずの無表情だが、かなり怒っていることが分かった。
「本当にごめん」
「次やったら、バイクの鍵は取り上げるから」
「マジかよ。絶対もうやらない」
こんな便利で楽しいもんを取り上げられたら困る。まぁヘルメットはめちゃくちゃ蒸れるが、自転車で頑張るよりは断然いい。
「なら、いいわ。どこに泊まったの?」
「友達の家。突如決まってさ。あっ、そういえば!その泊めてくれた子、今度家に連れてきていいか?」
隆の家でゲームをしている最中も、暇なのかよく連絡があり、催促され続けたので話を出しておくことにした。どうせ、我が家の最終決定権は母さんにあるしな。
「家に?いいけど、珍しいわね」
「ちょっといろいろあってさ」
「ふーん。いつ?」
「ちょっと聞いてみるよ」
とりあえず、いつがいいかと尋ねるメッセージを送ると、スマホをしまうまでもなく返事が返ってきた。
どうやら、透は夏休みにも関わらず暇人らしい。もしかしたら、俺が知らないだけでこれが女子高生のデフォルトの返信スピードなのかもしれないが。
「明日は?」
「別にいいわよ。他のお客さんが来る日じゃないし」
「じゃあ、明日でいいって伝えとくよ」
「わかった。けど、泊めて貰ったんだから相手先の家にもお礼言っとかなきゃね。私の知らない子なんでしょ?」
「それは大丈夫。その子、一人暮らしだから」
「え?高校生で一人暮らしなの?すごいわね。なんか複雑な家庭とかかしら?」
「よくしらない。けど料理は上手いよ」
そういや、どういう家庭なのか聞いたことが無かったような気がする。
「はぁ。誠は、そういうところあるわよね。でも、その年頃の男の子で料理ができるってすごいじゃない」
「ん?いや、女の子だけど」
「「え!?」」
母さんだけじゃなく、何故か、早希までもが大きい声をあげた。
そして、今まで読んでいた雑誌を放り投げてこちらに寄ってくる姿を見ると、母さんの目が少し細まった。バカなやつめ。お前も後で説教コースだぞ。
「どうした?」
「どうしたじゃないってお兄ちゃん!私がモテ男ポイント教えてあげたら一瞬でモテ期来たじゃん!やっぱりねー下地はあるとは思ってたのよ」
「いや、それは関係ない。聞き流してたから覚えてないし」
「聞き流してたの!?嘘だよね?あんなに熱心に教えてあげたのに」
「嘘じゃない」
「バカ!!お兄ちゃんはほんとしょうがないなー。でも、私は優しいからまた教えてあげるよ。どこから覚えてないの?」
「アイス買いに行こうの後から」
「それ、全部じゃん!?」
早希がショックを受けたような顔で三角座りをする。ほんとに騒がしい奴だな。
だが、それとは別に母さんもけっこー衝撃があったようで珍しく表情を動かしてこちらを見ていた。
「でも、誠が女の子を家に連れてくるなんて思ってもみなかったわ」
「そうだろうな。自分でもなんでこうなったのかよくわからないし」
「その子のこと好きなの?」
「うーん、そういうのあんま興味ないんだよな。でも、良い子ではあるよ」
「誠は、ほんとに枯れてるわよね。けど仕方ないか、隼人さんも昔は趣味命で恋愛とか興味無かったらしいし」
それは初めて聞く話だ。親父は母さん大好きだから、昔からそうなんだと思ってた。
「へー知らなかった」
「そう?でも、こんな話普段しないからわからないか。まぁいいわ。それと、どうせだったら夕食も一緒に食べてってもらったら?一人暮らしじゃ何かと大変だろうし」
「確かにな。誘ってみるよ」
「そうね」
「じゃあ、俺ちょっと眠いから寝るよ。また、飯になったら起こして」
「はいはい。おやすみ」
思ったよりも話が長くなってしまったのでめちゃくちゃ眠い。とりあえず、シャワーを浴びるとすぐさまベッドに横になった。
「とりあえず、メッセージだけ入れとくか」
簡潔に明日でいいこと、夕食を食べたいならそれでもいいことをメッセージで送る。
返事は、やはりすぐに返ってきた。
「早希もそうだけど、女子はこういうの好きなんだろうなぁ。ふわぁ。まっいいや、寝よ」
俺は、そう独り言を言い、ハートが連続で並ぶスマホの画面を消すと、深い眠りについた。
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