6 / 34
3-3
しおりを挟む
「そ、そういや、コンビ名決めないとな」
「コンビ名……キューブはどうやって決めたんですか?」
「あれは佐野がルービックキューブ得意だったから。そういうネタもあったし」
熱くなった耳を髪で隠しながら、冷静を装って話を続ける。
コンビ名に特に拘りはないが、他と被らない名前を考えるのが面倒だ。
「2人の名前くっつけるとか、どうですか?」
「灰村椎名? 無難だけどありきたりだよな。せっかく獣人がいるんだから、そこを押し出したいんだけど。……ハイエナ―ズとか」
「それだとハイエナ2人みたいです」
元々俺にネーミングセンスがないから、前は佐野に丸投げだった。
ハイエナの名前を使わずちょっと捻って……ハイエナ……灰……グレーはなんか居そうだし……
「アッシュ」
「アッシュ、ですか?」
「灰色のこと、アッシュとも言うだろ。お前の毛並み灰褐色だし、『灰村』だし、よくないか?」
「でもそれだと、僕のことだけですよね」
「どう考えてもお前がコンビの顔になるんだからいいだろ」
「そんな……コンビなんですから、2人の意味が欲しいです」
結構拘るタイプなのかよ。
まあ、一生使う名前になるかもしれないからな。
「じゃ、『Wアッシュ』」
W付けただけじゃん、と灰村が言いたそうな顔してる。これ以上文句言わせないように、俺は灰村の肩を叩いた。
「俺も灰色みたいなもんだから、な?」
灰村は何か言いたそうにしながらも、「わかりました」とうなずいた。
「コンビ名も決まったことだし、改めてよろしくな。灰村」
「ヨル、でいいです」
下の名前か。結構シャレた名前なんだよな。
「いいのか?」
「はい。僕も、下の名前で呼んでいいですか?」
「あー……俺の下の名前知ってんだっけ?」
「知ってます。陽向さん」
俺が苦い顔してるのに気づいたのか、灰村……ヨルが首を傾げる。
「ダメですか?」
「俺、嫌いなんだよ。その名前」
「なんで……かわいいのに」
「だからだよ!」
今でこそ男の「ひなた」も増えたらしいが、俺が子供の頃は女に間違えられることが多かった。だから周りには極力苗字で呼ばせてる。
「そうですか……」
また耳が少し垂れた。呼び名くらいで何をそんなにガッカリしてるんだ、こいつは。
なんだか俺が悪いことしてるような気持ちになるじゃんか。
「……わかった、いいよ。ただし、俺と2人きりのときだけにしろよ」
「ありがとうございます!」
ヨルの耳と、ついでに尻尾もピンと立った。
クールな顔してるくせに、獣の部分はわかりやすいのな。
「Wアッシュとして、よろしくお願いします。陽向さん」
「……よろしくな、ヨル」
「コンビ名……キューブはどうやって決めたんですか?」
「あれは佐野がルービックキューブ得意だったから。そういうネタもあったし」
熱くなった耳を髪で隠しながら、冷静を装って話を続ける。
コンビ名に特に拘りはないが、他と被らない名前を考えるのが面倒だ。
「2人の名前くっつけるとか、どうですか?」
「灰村椎名? 無難だけどありきたりだよな。せっかく獣人がいるんだから、そこを押し出したいんだけど。……ハイエナ―ズとか」
「それだとハイエナ2人みたいです」
元々俺にネーミングセンスがないから、前は佐野に丸投げだった。
ハイエナの名前を使わずちょっと捻って……ハイエナ……灰……グレーはなんか居そうだし……
「アッシュ」
「アッシュ、ですか?」
「灰色のこと、アッシュとも言うだろ。お前の毛並み灰褐色だし、『灰村』だし、よくないか?」
「でもそれだと、僕のことだけですよね」
「どう考えてもお前がコンビの顔になるんだからいいだろ」
「そんな……コンビなんですから、2人の意味が欲しいです」
結構拘るタイプなのかよ。
まあ、一生使う名前になるかもしれないからな。
「じゃ、『Wアッシュ』」
W付けただけじゃん、と灰村が言いたそうな顔してる。これ以上文句言わせないように、俺は灰村の肩を叩いた。
「俺も灰色みたいなもんだから、な?」
灰村は何か言いたそうにしながらも、「わかりました」とうなずいた。
「コンビ名も決まったことだし、改めてよろしくな。灰村」
「ヨル、でいいです」
下の名前か。結構シャレた名前なんだよな。
「いいのか?」
「はい。僕も、下の名前で呼んでいいですか?」
「あー……俺の下の名前知ってんだっけ?」
「知ってます。陽向さん」
俺が苦い顔してるのに気づいたのか、灰村……ヨルが首を傾げる。
「ダメですか?」
「俺、嫌いなんだよ。その名前」
「なんで……かわいいのに」
「だからだよ!」
今でこそ男の「ひなた」も増えたらしいが、俺が子供の頃は女に間違えられることが多かった。だから周りには極力苗字で呼ばせてる。
「そうですか……」
また耳が少し垂れた。呼び名くらいで何をそんなにガッカリしてるんだ、こいつは。
なんだか俺が悪いことしてるような気持ちになるじゃんか。
「……わかった、いいよ。ただし、俺と2人きりのときだけにしろよ」
「ありがとうございます!」
ヨルの耳と、ついでに尻尾もピンと立った。
クールな顔してるくせに、獣の部分はわかりやすいのな。
「Wアッシュとして、よろしくお願いします。陽向さん」
「……よろしくな、ヨル」
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
【R18】満たされぬ俺の番はイケメン獣人だった
佐伯亜美
BL
この世界は獣人と人間が共生している。
それ以外は現実と大きな違いがない世界の片隅で起きたラブストーリー。
その見た目から女性に不自由することのない人生を歩んできた俺は、今日も満たされぬ心を埋めようと行きずりの恋に身を投じていた。
その帰り道、今月から部下となったイケメン狼族のシモンと出会う。
「なんで……嘘つくんですか?」
今まで誰にも話したことの無い俺の秘密を見透かしたように言うシモンと、俺は身体を重ねることになった。
擬似父子セックスしてくれるパパが大好きな頭ゆるゆるDCの話
ルシーアンナ
BL
頭緩めのDCが、同級生の父親に洗脳されるまま始めた不特定多数の中年男性との擬似父子セックスを嬉しがる話。
パパたち×桃馬
DC,父子相姦,未成年淫行,パパ活,洗脳,メス堕ち,肉便器,おねだり,雄膣姦,結腸姦,中出し,白痴受け,薬物表現, 全編通して倫理観なし
♡喘ぎ濁音喘ぎ淫語
奴隷騎士の雄っぱい牧場
丸井まー(旧:まー)
BL
敗戦国の騎士リンデは、敵兵に捕らえられ、奴隷となった。リンデは、他の者達と共に移送された先の施設で、何故の注射をされた。それから平穏な日々を過ごしていたリンデ達だが、ある日から乳が出るようになり、毎日雌牛のように乳を搾られるようになった。奴隷となった騎士リンデは、貴族の男に買われ、美しい男ダーナディルに乳を飲ませることになった。奴隷騎士の搾乳雌堕ちデイズ!
※てんつぶ様主催の「奴隷騎士アンソロジー」に寄稿させていただいた作品です。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。
潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
あかさたな!
BL
潜入捜査官のユウジは
マフィアのボスの愛人まで潜入していた。
だがある日、それがボスにバレて、
執着監禁されちゃって、
幸せになっちゃう話
少し歪んだ愛だが、ルカという歳下に
メロメロに溺愛されちゃう。
そんなハッピー寄りなティーストです!
▶︎潜入捜査とかスパイとか設定がかなりゆるふわですが、
雰囲気だけ楽しんでいただけると幸いです!
_____
▶︎タイトルそのうち変えます
2022/05/16変更!
拘束(仮題名)→ 潜入捜査でマフィアのドンの愛人になったのに、正体バレて溺愛監禁された話
▶︎毎日18時更新頑張ります!一万字前後のお話に収める予定です
2022/05/24の更新は1日お休みします。すみません。
▶︎▶︎r18表現が含まれます※ ◀︎◀︎
_____
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる