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4寄り道
4-1 石衣
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「おお!?」
菓子鉢にはぽっぽクッキーと一緒に”石衣”も入っている
「さてっと」
アカリさんがワタシの斜め前、ソラの隣に座る。長い時間一緒に過ごしているからソラの気配が感じられるようになったのかない?
「ソラは居るの?」
あ、感じられてないみたい。
「居ますよ、アカリさんのすぐ横に」
「そう」
言いながら、アカリさんが鞄からルーズリーフと筆入れを出しすのを見ながら、ワタシは石衣を一つ口に放り込んだ。砂糖が口の中でシャリっと溶けて、中のあんこの味と混ざって少々甘すぎるくらいなのがおいしい。本日の玄米茶のさっぱり風味とよく合いますな。
「この前、ソラが消えたのは日赤前駅と桜町駅の間。ソラ自身が驚いていたんだから、何回か俺と降りたことがある日赤前駅は関係なさそう。ってことは桜町近くで”お化け”が関係しそうというと”日赤病院”だよね。」
もう一つと手を伸ばしながらアカリさんの手元を見る。アカリさんはワタシの方は見ないでルーズリーフに路線図を書き、病院のマークも書き入れる。
「内緒だけど、病院ってお化けがつきものじゃん?お祓いを頼まれることもあってさ、事務の方に兄さんの知り合いがいるんだ。それで、交通事故にあって、眠ったままの小学生が居るって聞きだしたんだ。それ以上は教えてもらえなかったけど、その子がソラでしょ?」
アカリさんが、多分初めてソラを見て、ソラはアカリさんをまっすぐにみて頷いた。
「ぼくは交通事故にあって、お化けになって、なんだか落ち着かない気持ちになって、でも、アカリさんと一緒にいると安心した」
ワタシはアカリさんの手元のルーズリーフを裏返してソラの言葉を書き込んだ。
「この前、ソフィバラに向かっている時、突然、ぼくは病室のぼくの前に居たんだ。ぼくを見て、思い出したんだ。必ず君を見つけるって彼女との約束を」
”必ずきみを見つけるって生まれる前に約束をした恋人に会いたい”
「青い鳥の恋人たちみたいだね」
「青い鳥?」
「そうメーテルリンクのお話。子供たちは生まれる為に船に乗るんだ。その子供たちの中で、恋人同士の二人は離れ離れになるのを拒むんだけど時(とき)に引き離されて、一人は船に乗せられるんだ。男の子の方だったかな?」
「それ!ぼくたちのことだ!先に行ったのは彼女だったから、そこだけ間違えてるけど」
「ソラが言うには、そのお話はソラたちのコトなんだそうです」
「そうなんだ」
アカリさんは否定する事なく優しく微笑んで頷く。あいにく、ソラの方を見てはいないけれど
「お話の中ではその恋人たちは会えるんですか?」
青い鳥は読んだことがあるけれし、生まれる前の子供がいる国も覚えているけれど恋人たちなんて居たっけ?
「別れの場面までしか書かれていなかったんじゃないかな?」
「そうなんだ」
「作者さん無責任ですね」
ソラとワタシの声が重なる
「ごめんね」
アカリさんが悪いわけじゃないのにアカリさんが謝る
「でも、ぼくは彼女を見つけるよ 絶対に! それまではお化けで居る」
菓子鉢にはぽっぽクッキーと一緒に”石衣”も入っている
「さてっと」
アカリさんがワタシの斜め前、ソラの隣に座る。長い時間一緒に過ごしているからソラの気配が感じられるようになったのかない?
「ソラは居るの?」
あ、感じられてないみたい。
「居ますよ、アカリさんのすぐ横に」
「そう」
言いながら、アカリさんが鞄からルーズリーフと筆入れを出しすのを見ながら、ワタシは石衣を一つ口に放り込んだ。砂糖が口の中でシャリっと溶けて、中のあんこの味と混ざって少々甘すぎるくらいなのがおいしい。本日の玄米茶のさっぱり風味とよく合いますな。
「この前、ソラが消えたのは日赤前駅と桜町駅の間。ソラ自身が驚いていたんだから、何回か俺と降りたことがある日赤前駅は関係なさそう。ってことは桜町近くで”お化け”が関係しそうというと”日赤病院”だよね。」
もう一つと手を伸ばしながらアカリさんの手元を見る。アカリさんはワタシの方は見ないでルーズリーフに路線図を書き、病院のマークも書き入れる。
「内緒だけど、病院ってお化けがつきものじゃん?お祓いを頼まれることもあってさ、事務の方に兄さんの知り合いがいるんだ。それで、交通事故にあって、眠ったままの小学生が居るって聞きだしたんだ。それ以上は教えてもらえなかったけど、その子がソラでしょ?」
アカリさんが、多分初めてソラを見て、ソラはアカリさんをまっすぐにみて頷いた。
「ぼくは交通事故にあって、お化けになって、なんだか落ち着かない気持ちになって、でも、アカリさんと一緒にいると安心した」
ワタシはアカリさんの手元のルーズリーフを裏返してソラの言葉を書き込んだ。
「この前、ソフィバラに向かっている時、突然、ぼくは病室のぼくの前に居たんだ。ぼくを見て、思い出したんだ。必ず君を見つけるって彼女との約束を」
”必ずきみを見つけるって生まれる前に約束をした恋人に会いたい”
「青い鳥の恋人たちみたいだね」
「青い鳥?」
「そうメーテルリンクのお話。子供たちは生まれる為に船に乗るんだ。その子供たちの中で、恋人同士の二人は離れ離れになるのを拒むんだけど時(とき)に引き離されて、一人は船に乗せられるんだ。男の子の方だったかな?」
「それ!ぼくたちのことだ!先に行ったのは彼女だったから、そこだけ間違えてるけど」
「ソラが言うには、そのお話はソラたちのコトなんだそうです」
「そうなんだ」
アカリさんは否定する事なく優しく微笑んで頷く。あいにく、ソラの方を見てはいないけれど
「お話の中ではその恋人たちは会えるんですか?」
青い鳥は読んだことがあるけれし、生まれる前の子供がいる国も覚えているけれど恋人たちなんて居たっけ?
「別れの場面までしか書かれていなかったんじゃないかな?」
「そうなんだ」
「作者さん無責任ですね」
ソラとワタシの声が重なる
「ごめんね」
アカリさんが悪いわけじゃないのにアカリさんが謝る
「でも、ぼくは彼女を見つけるよ 絶対に! それまではお化けで居る」
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