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1アイスブルーでの日々//幼年期

2 おおあめの夢 と にいさまみたいなおとこのこの夢

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”大雨がずっとふっている 雨の音がうるさいくらい”
 朝ごはんの後で、父さまがぼくの夢見帳を読んでいます。夕べぼくはずーっと雨の中に居る夢をみたのです。雨の中でぼくは、いつまでこの雨は降るんだろうって思っていました。
「天気は良さそうだが… 今日のうちにイモを収穫してしまうか」
 窓から身を乗り出して、雲一つない空を見上げていた父さまが今日を収穫日と決めました。突然の決定に兄さまも学校を休んで収穫作業です。
 一家総出、使用人総出(といってもカイとクウだけですけど)で働いたおかげで、一日で収穫はおわりました。でもぼくはぐったりです。いつものように一緒にベッドに入ったぼくは兄さまに聞きました。
「ねえ兄さま、ぼくたちってこれでも貴族なんでしょうか?絵本の貴族とはなんだかちがいますけど?」
「ははは……そうだ、だいぶ違うね。ま、親が貴族だから貴族なんじゃないか?家名もあるしね」
兄さまが言うんですから泥だらけになっておイモほりをして、ぐったり疲れていてもぼくたちは貴族なんですね。
「貴族だって言うなら、わたしもいつか素敵なドレスを着ることが出来るのかしら?」
「誰かがマリーがドレスを着ている夢を見たら、きっと着れるよ。ね?ビビ」
「はい ぼく、がんばります」
「ふふ わたしがドレスを着る日があるからビビが夢をみるのか、ビビが夢を見るからわたしがドレスを着られるのか、どっちなのかしら?」
「夢見って、どっちですか?」
「わたしの運命が先なんじゃないかしら?わたしがドレスを着る未来があるって事を夢が教えてくれるんじゃないのかしら?」
「どっちにしてもマリーはその日の為に貴族らしい立ち振る舞いを身に着けておかないとね」
マリーお姉さまが絵本のお姫様みたいなドレスを着る夢、見たいな……あふう…眠い、ぼくはもう目を開けていられません。
「今日は疲れたね お休み ビビ、マリー」

 ぼくは広い廊下にいました。お城でしょうか?絵が何枚も飾られてます。
コツコツコツ コツコツコツ 
何かをたたく音、ノックの音みたいです。見回すと銀の髪の男の子がドアをノックしています。部屋の中から聞こえるのは、女の子が、泣いている声?
「おかあさま、どうして死んでしまったの?…会いたい…」
男の子にその声は聞こえているのか、いないのか?男の子は声のする部屋のドアをずっとノックしています。部屋の中の声は男の子のお姉さまか妹かもしれません。ノックし続ける男の子は下を向いて顔が見えませんが寂しそうです。
 コツコツという音が早くなって、大きくなって目が覚めました。目が覚めてもコツコツと聞こえる音は雨粒が窓をたたく音でした。

”絵がかざってあるりっぱなろうか 銀のかみの男の子がずっとドアをノックしている。そのへやからは女の子がないているこえがする。かあさまが死んでしまったらしい。”

 雨は二日間 降り続きました。あまりにひどい雨なので兄さまの学校はお休みになりました。
おかげで、雨の間は姉さまや兄さまと過ごせます。兄さまは何でも知っているので兄さまとお話するのは楽しいのです。
「兄さま 銀の髪の王子様っていますか?」
「この国の王族はみんな見事な金髪なんだよ。銀髪の王子はいないんじゃないかな?」
「昨日の夢に銀の髪の男の子が出てきました。りっぱな家に住んで居るので王子様かと思ったのですが違うんですね」
「銀の髪の男の子?その子は立派なお屋敷に住んでいるのかい?」
「はい ぼくはお城だと思っていました」
「ビビ、それが夢見だったら、お前はお城の様な立派な家の子になれるかもしれないよ」
兄さまは嬉しそうですが ぼくはとても嫌な気持ちになりました。
「兄さまは ぼくに早く養子に行ってほしいんですか?」
「ビビはいずれにしてもどこかに養子に行くことになるんだよ。どうせ行くのなら立派な家の方がいいと思わない?ビビの好きな鳥の丸焼きだって毎日食べられるかもしれないよ?」
兄さまの手がぼくの方へ伸びて、ぼくの髪をくしゃくしゃっとかかき混ぜながら撫でました。ぼくはその兄さまの手を頭で押し返してコテンと兄さまの胸により掛かりました。
「ぼくは、ずっと兄さまや姉さまといっしょにいたいです」
兄さまは黙ってぼくの頭を抱いて頬っぺたを優しくなでてくれました。いつかはぼくはこの家を出なくちゃならないのは分かっています。でも、できればずっとこの家に居たいのです。


************

兄弟仲よし。ずっとずっと、今日が続くって気がしているような気がしてます
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