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1 フォレサクレ王国
閑話 コドモトビネコの捕獲は 下// モリーオ辺境伯
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「やあ 久しぶり レーナ」
「ト ウ ミ おじさま?」
王城の魔法陣はどうやらマグダレーナ王女のクローゼット扉に描かれていたらしい。
なるほど、有事の際に一番小さな王族の部屋に避難路を設置するというのは兄上らしいな。
う、、、この部屋に手洗いは?なさそうだな
「マグダレーナ様?ご無事ですか?」
今にもドアを開けようかと外から声をかけてくるのは護衛だろう
「レーナ この部屋には父王以外は入れるな」
「はい」
色々 察したのかレーナはすぐにドアを開けた。
「護衛!王を呼んで!」
「王女 ご無事ですか?」
「すぐにお呼びして!」
「は」
護衛の気配が遠ざかる 俺の方も限界だ
「レーナ このバスケットを預かってくれ」
俺は 廊下に人気が無いのを確認して洗面所に急いだ
はああああ
少し気分が良くなったぞ ここからならば誰かに出会ってもどうとでも言える。めったに来ることは無いが俺は辺境伯であり王弟だからな。
幸い誰にも会うことは無くレーナの部屋に戻ることができた。
ドアをノックすると
「入れ」
兄の声が答える。
「マー」
ん?猫?コドモトビネコの鳴き声か?
「そう、気に入ったのね。マダナ、わたくしはこのケマルバ王国の王女マグダレーナよ レーナと呼んでくれていいわよ」
「マー」
レーナが膝にコドモトビネコを抱いて頭を撫でている。猫の方も元気そうだ。
ふううううっと息を吐いて 近くのソファに腰を落とす ピンクの小ぶりなソファがギシっと悲鳴を上げる
「トウミくん?」
兄が咎めるような声で俺を呼ぶのはソファの為じゃないだろう
***
王と側近のダイゴ(ダイゴは俺にとっても幼馴染でもある聡明な人物で王の懐刀でもある)俺、レーナ、今ここにコドモトビネコがいるのを知っているのはここにいる3人と俺を送り出したアミカだけだ。
コドモトビネコが元気になったのは何よりだが、それだけに、兄への説明は若干説得力を欠いた。
それでも、アミカが持たせてくれたバスケットの菓子たちのおかげか”アミカが判断したのならば間違いないだろう”という雰囲気になった。
俺よりアミカの方が信頼されている様なのは少々納得いかないが細かいことは気にしないことにしよう。
話し合いの結果、石だと思い込み森から卵を持ってきてしまったことは罪に問わない事とした。
コドモトビネコの事を知っているのは狩人夫婦のみなので、今回の事は他言無用としもし噂にでもなった場合は希少種捕獲の罪に問わざるを得ない旨を言い含める事とした。
そして 弱っていたコドモトビネコは死んでしまったとして処理することとなった。コドモトビネコは死ぬと土に溶けると言われているから問題ないだろう。
問題は 今生きているコドモトビネコだ。
おそらく、こんな風にレーナに懐いてしまった以上、迷いの森に返しても生きてはいけないだろう。
「これだけ懐いているんだ レーナに面倒を見させればいいんじゃないか?」
俺もレーナと同じ王位継承順位二位の王族だった。
かつてこの国では 王位継承順位二位の王子を担ぎ上げての内乱が起きたことがあり、以来、第一位以外の継承者は少なくとも学齢期になるまでは表には出されない。
誕生時でさえ国民には発表されず、存在を隠されたまま育てられる。人とのかかわりは最小限にされ、家族ですら月に数回しか会った記憶が無い。
現王と王妃は週に一度は食事を共にとれるようにしているようだが、幼いレーナにとってそれは十分な時間とは言えないだろう。
「王女の存在ですら表ざたにしてないんだから、その王女の付属品なんて隠し通せるだろう?」
「付属品ですか?」
ダイゴが顔を顰める。お前、そんな顔できるんだな?知らなかったけどもしかして猫好きなのか?
「そのうちにレーナを隠す必要はなくなるが、 その後はどうするつもりだ?」
兄がコドモトビネコと遊ぶレーナに視線を向ける
「コドモトビネコって寿命何年なんだ?1年かも知れないだろ?」
俺はコドモトビネコの寿命も猫の寿命だって知りはしない
「普通の猫は5-6年です」
ダイゴ、お前やっぱり猫に詳しいんだな
結局、他に良い考えも浮かばずコドモトビネコの世話はレーナとダイゴの娘のマオリに任せることになった。
帰り?帰りはやっぱり魔法陣で帰った。
妻に無断で飛んできたから、さっさと帰らないと心配かけるからな。
とは言え、帰ったら帰ったで酔ってフラフラになった俺はやっぱり妻に心配されることになった。すまん!
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本日最後の更新! 明日も午前中から3話投稿予定です よろしくお願いします♪
「ト ウ ミ おじさま?」
王城の魔法陣はどうやらマグダレーナ王女のクローゼット扉に描かれていたらしい。
なるほど、有事の際に一番小さな王族の部屋に避難路を設置するというのは兄上らしいな。
う、、、この部屋に手洗いは?なさそうだな
「マグダレーナ様?ご無事ですか?」
今にもドアを開けようかと外から声をかけてくるのは護衛だろう
「レーナ この部屋には父王以外は入れるな」
「はい」
色々 察したのかレーナはすぐにドアを開けた。
「護衛!王を呼んで!」
「王女 ご無事ですか?」
「すぐにお呼びして!」
「は」
護衛の気配が遠ざかる 俺の方も限界だ
「レーナ このバスケットを預かってくれ」
俺は 廊下に人気が無いのを確認して洗面所に急いだ
はああああ
少し気分が良くなったぞ ここからならば誰かに出会ってもどうとでも言える。めったに来ることは無いが俺は辺境伯であり王弟だからな。
幸い誰にも会うことは無くレーナの部屋に戻ることができた。
ドアをノックすると
「入れ」
兄の声が答える。
「マー」
ん?猫?コドモトビネコの鳴き声か?
「そう、気に入ったのね。マダナ、わたくしはこのケマルバ王国の王女マグダレーナよ レーナと呼んでくれていいわよ」
「マー」
レーナが膝にコドモトビネコを抱いて頭を撫でている。猫の方も元気そうだ。
ふううううっと息を吐いて 近くのソファに腰を落とす ピンクの小ぶりなソファがギシっと悲鳴を上げる
「トウミくん?」
兄が咎めるような声で俺を呼ぶのはソファの為じゃないだろう
***
王と側近のダイゴ(ダイゴは俺にとっても幼馴染でもある聡明な人物で王の懐刀でもある)俺、レーナ、今ここにコドモトビネコがいるのを知っているのはここにいる3人と俺を送り出したアミカだけだ。
コドモトビネコが元気になったのは何よりだが、それだけに、兄への説明は若干説得力を欠いた。
それでも、アミカが持たせてくれたバスケットの菓子たちのおかげか”アミカが判断したのならば間違いないだろう”という雰囲気になった。
俺よりアミカの方が信頼されている様なのは少々納得いかないが細かいことは気にしないことにしよう。
話し合いの結果、石だと思い込み森から卵を持ってきてしまったことは罪に問わない事とした。
コドモトビネコの事を知っているのは狩人夫婦のみなので、今回の事は他言無用としもし噂にでもなった場合は希少種捕獲の罪に問わざるを得ない旨を言い含める事とした。
そして 弱っていたコドモトビネコは死んでしまったとして処理することとなった。コドモトビネコは死ぬと土に溶けると言われているから問題ないだろう。
問題は 今生きているコドモトビネコだ。
おそらく、こんな風にレーナに懐いてしまった以上、迷いの森に返しても生きてはいけないだろう。
「これだけ懐いているんだ レーナに面倒を見させればいいんじゃないか?」
俺もレーナと同じ王位継承順位二位の王族だった。
かつてこの国では 王位継承順位二位の王子を担ぎ上げての内乱が起きたことがあり、以来、第一位以外の継承者は少なくとも学齢期になるまでは表には出されない。
誕生時でさえ国民には発表されず、存在を隠されたまま育てられる。人とのかかわりは最小限にされ、家族ですら月に数回しか会った記憶が無い。
現王と王妃は週に一度は食事を共にとれるようにしているようだが、幼いレーナにとってそれは十分な時間とは言えないだろう。
「王女の存在ですら表ざたにしてないんだから、その王女の付属品なんて隠し通せるだろう?」
「付属品ですか?」
ダイゴが顔を顰める。お前、そんな顔できるんだな?知らなかったけどもしかして猫好きなのか?
「そのうちにレーナを隠す必要はなくなるが、 その後はどうするつもりだ?」
兄がコドモトビネコと遊ぶレーナに視線を向ける
「コドモトビネコって寿命何年なんだ?1年かも知れないだろ?」
俺はコドモトビネコの寿命も猫の寿命だって知りはしない
「普通の猫は5-6年です」
ダイゴ、お前やっぱり猫に詳しいんだな
結局、他に良い考えも浮かばずコドモトビネコの世話はレーナとダイゴの娘のマオリに任せることになった。
帰り?帰りはやっぱり魔法陣で帰った。
妻に無断で飛んできたから、さっさと帰らないと心配かけるからな。
とは言え、帰ったら帰ったで酔ってフラフラになった俺はやっぱり妻に心配されることになった。すまん!
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本日最後の更新! 明日も午前中から3話投稿予定です よろしくお願いします♪
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