一年前の忘れ物

花房ジュリー

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番外編②(倉木と玲の交際スタート編)

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 一糸まとわぬ姿の藤間玲をベッドに横たえる。
「玲……」
 優しく囁きながら、倉木は玲の首筋や鎖骨、身体のあらゆる所にキスを落とした。玲は、人形のように大人しく倉木のされるがままになっている。しかし、倉木がその脚を開かせようとすると、彼にビクリと緊張が走る気配がした。
「待ってください……」
 訴えるようなか細い声に、倉木は動作を止めた。
「嫌か?」
「違うんです。嫌とかじゃなくて……」
 玲は意外なことを口にした。
「俺、初めてなんです」
「えっ? 高校の時に彼氏がいたって、言ってたじゃないか」
 倉木はあっけにとられた。
「はい。でも、その……。最後までは、したことが無くて。怖くて、できなかったんです。お互い触り合ったりとか、それくらいで……」
 話しながら、玲は真っ赤になっていく。倉木は、言い様の無い感慨を覚えた。
 ――じゃあ、まだ誰も、彼の身体を開いたことが無いのか……。
「優しくするから、心配しないで」
 髪を撫でながらあやすように言うと、玲は不安そうな顔をしながらも、首を縦に振った。倉木は、複雑な思いに駆られた。無垢なものを汚す背徳感と、早く自分のものにしてしまいたいという征服欲。より強いのは後者だった。
 倉木は、タンスの引き出しからローションを取り出した。玲の脚を開かせると、これから倉木の欲望を受け入れる部分を、丁寧に濡らしていく。
「力を抜いていて……」
 ゆっくりと、指を一本入れる。まだ誰にも侵入を許したことの無いそこは、想像以上に狭かった。しばらく馴染ませてから、二本目も挿入する。拡げるよう動かしていたその時、玲から艶めかしい吐息が漏れた。よく見れば、頬も紅潮している。
「気持ちいい?」
「分からない……。何だか、変な気分」
 そうは言いながらも、玲のものはゆるく勃ち上がり始めている。倉木は、もう片方の手で握って扱いてやりながら、三本目を挿入した。
 時間をかけて辛抱強くほぐしてから、倉木はようやく指を引き抜いた。
 ――それでもまだ、きついだろうが……。
 自身も裸になり、すでに猛り狂ったものにゴムを被せる。ふと気づけば、玲は明らかに怯えた表情でそれを凝視していた。倉木はもう一度玲の髪を撫でると、軽くキスをした。
「辛かったら、すぐ止めるからね……」
 ――実際止められるとは思えないけれど……。
 
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