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第十一章 最強魔法対決!
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魔術師たちは入室すると、うやうやしく礼をした。ルチアーノが尋ねる。
「わざわざ来ていただき、ありがたい。皆、元々アルマンティリアの魔術師であられたのか?」
魔術師は、全部で十人だった。一番年配と思しき一人が、進み出て答える。
「はい。言いがかりでパッソーニにアルマンティリアを追い出され、仕方なく他国で活動しておりました。ですが、故郷へ帰りたいという思いはずっと消えず……。ルチアーノ殿下、これを機に、帰国をお許しいただけませぬか?」
ルチアーノは、一瞬沈黙すると、チラとフィリッポを見やった。
「諸君がパッソーニに追放された事情は承知しており、気の毒に思っていたところだ。身元さえ確認できれば、もちろん戻って来ていただきたい。……だが、現在アルマンティリアには、ベゲット殿の唯一の弟子である、このフィリッポ殿がおられる。私は、彼に宮廷魔術師の地位を約束した。過分な地位は保障できぬが、それでも構わぬか?」
ははあ、と真純は思った。パッソーニが死んだ今、この魔術師たちが宮廷魔術師の地位狙いで帰国を望んでいるのではと、ルチアーノは警戒しているのだろう。
「もちろんです。帰国できるだけで、我々は御の字でございます」
魔術師たちが、口々に答える。ルチアーノは、そんな彼らをじっと見つめた。瞳には、未だ警戒の色が浮かんでいる。
「ふむ。ならば手配いたそうか。我が国に優秀な魔術師が増えることは、望ましいからな。……ところでそなたらは、これまで同じ国にいたのか? そろって駆け付けるのが、ずいぶん迅速だったが」
「いえ、活動していた国は別でございます」
年長の魔術師が答えた。
「けれど、アルマンティリアの今の状況を知って、風魔法で伝言を飛ばし合い、応援に参上しようと合意したのです」
「では、各国から飛行魔法でやって来たとでも? そのような出国をすれば、それぞれの国に見とがめられるだろう」
ルチアーノが、疑わしげに眉をひそめる。すると一人が、意外なことを言い出した。
「私たちは、一度ホーセンランドに集まったのです。前国王が暗殺され、セバスティアーノ現国王が国を空けて、今ホーセンランド国内は、極度の混乱状態なのです。出入国管理もひどくずさんで、私たちはそれをいいことに、ホーセンランドに入り込みました。そして集合してすぐに、飛行魔法でこちらへ」
ルチアーノが、ようやく納得したように頷く。真純は、何だか不安になった。
(セバスティアーノ国王って、自国内がそんな状況なのに、よそへ戦争を仕掛けてるのか? ホーセンランド、大丈夫なんだろうか……)
もちろんアルマンティリアもそれどころでは無いのだが、罪の無いホーセンランド人が右往左往している様子を想像して、真純は心配になった。
「さようか。母国のことをそのように案じてくれ、嬉しい。長時間の飛行は疲れたであろう。皆、ゆっくりと休みなさい」
ルチアーノは、魔術師たちに微笑みかけると、何気ない調子で尋ねた。
「ところで貴殿たちは、アルマンティリア時代から互いに知り合いだったのか?」
「いえ」
彼らは、かぶりを振った。
「皆、それぞれ違う地域で暮らしていたものですから。……おお、そうだ。本当は、十一人で来るはずだったのですがね。ホーセンランドに集合した時点で、一人が体調を崩し、来られませんでした。たいそう残念がっておりましたが……。殿下、彼も帰国対象に加えていただいても?」
「……なるほど」
ルチアーノは、低く呟いた。
「私の考えは一貫している。身元さえ確認できれば、どの者も歓迎しよう」
「わざわざ来ていただき、ありがたい。皆、元々アルマンティリアの魔術師であられたのか?」
魔術師は、全部で十人だった。一番年配と思しき一人が、進み出て答える。
「はい。言いがかりでパッソーニにアルマンティリアを追い出され、仕方なく他国で活動しておりました。ですが、故郷へ帰りたいという思いはずっと消えず……。ルチアーノ殿下、これを機に、帰国をお許しいただけませぬか?」
ルチアーノは、一瞬沈黙すると、チラとフィリッポを見やった。
「諸君がパッソーニに追放された事情は承知しており、気の毒に思っていたところだ。身元さえ確認できれば、もちろん戻って来ていただきたい。……だが、現在アルマンティリアには、ベゲット殿の唯一の弟子である、このフィリッポ殿がおられる。私は、彼に宮廷魔術師の地位を約束した。過分な地位は保障できぬが、それでも構わぬか?」
ははあ、と真純は思った。パッソーニが死んだ今、この魔術師たちが宮廷魔術師の地位狙いで帰国を望んでいるのではと、ルチアーノは警戒しているのだろう。
「もちろんです。帰国できるだけで、我々は御の字でございます」
魔術師たちが、口々に答える。ルチアーノは、そんな彼らをじっと見つめた。瞳には、未だ警戒の色が浮かんでいる。
「ふむ。ならば手配いたそうか。我が国に優秀な魔術師が増えることは、望ましいからな。……ところでそなたらは、これまで同じ国にいたのか? そろって駆け付けるのが、ずいぶん迅速だったが」
「いえ、活動していた国は別でございます」
年長の魔術師が答えた。
「けれど、アルマンティリアの今の状況を知って、風魔法で伝言を飛ばし合い、応援に参上しようと合意したのです」
「では、各国から飛行魔法でやって来たとでも? そのような出国をすれば、それぞれの国に見とがめられるだろう」
ルチアーノが、疑わしげに眉をひそめる。すると一人が、意外なことを言い出した。
「私たちは、一度ホーセンランドに集まったのです。前国王が暗殺され、セバスティアーノ現国王が国を空けて、今ホーセンランド国内は、極度の混乱状態なのです。出入国管理もひどくずさんで、私たちはそれをいいことに、ホーセンランドに入り込みました。そして集合してすぐに、飛行魔法でこちらへ」
ルチアーノが、ようやく納得したように頷く。真純は、何だか不安になった。
(セバスティアーノ国王って、自国内がそんな状況なのに、よそへ戦争を仕掛けてるのか? ホーセンランド、大丈夫なんだろうか……)
もちろんアルマンティリアもそれどころでは無いのだが、罪の無いホーセンランド人が右往左往している様子を想像して、真純は心配になった。
「さようか。母国のことをそのように案じてくれ、嬉しい。長時間の飛行は疲れたであろう。皆、ゆっくりと休みなさい」
ルチアーノは、魔術師たちに微笑みかけると、何気ない調子で尋ねた。
「ところで貴殿たちは、アルマンティリア時代から互いに知り合いだったのか?」
「いえ」
彼らは、かぶりを振った。
「皆、それぞれ違う地域で暮らしていたものですから。……おお、そうだ。本当は、十一人で来るはずだったのですがね。ホーセンランドに集合した時点で、一人が体調を崩し、来られませんでした。たいそう残念がっておりましたが……。殿下、彼も帰国対象に加えていただいても?」
「……なるほど」
ルチアーノは、低く呟いた。
「私の考えは一貫している。身元さえ確認できれば、どの者も歓迎しよう」
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