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第六章 魔物なんて狩れません!
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四日後、真純・フィリッポたち一行は、無事クオピボへ到着した。西方のこの地域は、空気が乾いている。モーラントほど寒くはないが、喉が乾燥するのを真純は感じた。
「ニトリラを思い出しますね」
フィリッポは、そんなことを言った。
「似ているんですか?」
「この、乾燥した気候がね。地理的にも近いんですよ」
「そうでしたか」
火災が大規模になったのは、気候の影響もあるかもしれない。チラとそんな考えがよぎったが、口に出すのは控えて、真純はさりげなく話題をそらしたのだった。
ここでの宿泊先は、領主の屋敷だ。領主夫妻は、下にも置かぬ扱いで二人を出迎えてくれた。
「ようやく、あの魔物を退治していただけるとは。この日を待ち望んでおりました」
平身低頭といった様子で、領主が挨拶する。フィリッポは、それを聞いて眉をひそめた。
「ようやく?」
「そうなんですよ。あの魔物には、もう何年も前から頭を悩ませていたのです」
領主は、ため息を吐いた。
「普段は、森の奥でおとなしくしているんですがね。食糧が不足すると、出て来て領民を襲うのです。たいそう凶暴で、主に子供が被害に遭いました。そこで、宮廷魔術師様にお越しいただけないかと何度もお願いしたのですが、ずっと断られ続けていたのです」
「そのお断りの理由ですが、何と仰ったとお思いです?」
よほど立腹しているのか、夫人が口を挟んできた。
「あれは魔物ではなく神獣だ、などと仰るのですよ?」
「神獣!?」
フィリッポは、呆れ声を上げた。
「ええ。ですから、いくら領民から犠牲者が出ようとも、手出ししてはいけないと」
フィリッポは、信じられないといった様子で首を振った。領主が話を引き取る。
「最近、また魔物が出没し始めました。今回の疫病では、動物たちもかなりやられましたから、餌が無くなったのでしょう。とはいえ、お願いしてもどうせ断られるだろうと諦めていたところ、何とパッソーニ様の方からご連絡があったのです。魔物討伐に伺おう、と」
自身に退治能力が無いため、パッソーニは放置していたのだろう。だが今回、フィリッポと真純が現れたため、能力の見定めをかねて、体よく押し付けたに決まっている。身勝手さに呆れていた真純だったが、領主はさらにとんでもないことを言い出した。
「さすがに、私どもも憤慨しましてね。神獣だから手出しできないのではなかったですか、とお尋ねしました。するとパッソーニ様は、こう仰ったのですよ。あれらは、突如魔物に変異したのだ、と」
吐き捨てるように、領主が言う。フィリッポは失笑しかけたが、慌てたように笑みを引っ込めた。犠牲になった領民たちのことを考えると、不謹慎だと思ったたのだろう。
「しかもその変異の理由を、パッソーニ様はこう仰ったのですよ?」
夫人が、興奮気味に叫ぶ。
「私たち領主夫妻の心がけが悪いからだ、ですって! いくら宮廷魔術師様とはいえ、我慢も限界ですわ!」
まあまあ、となだめるように、領主が妻の肩を抱く。フィリッポは、二人に語りかけた。
「あなた方のせいではありませんよ。最初から、それは魔物だったのでしょう。恐らくパッソーニ様は、何らかの思い違いをされていたものかと。どうぞ、彼の言葉はお忘れください」
フィリッポの穏やかな口調に安心したのか、領主夫妻は表情を和らげた。
「そう言っていただけて、安心しました……。パッソーニ様の補佐役と伺っておりますが、ずいぶんと頼もしそうな方々だ。是非よろしくお願いしますよ」
「正確には、私どもはルチアーノ殿下付きなのですがね。昨今の宮廷の混乱ぶりを見かねて、パッソーニ様のサポートもしてはどうかと、殿下は考えられたのです」
パッソーニの補佐役という表現に納得がいかないのか、フィリッポはそんな補足をした。夫妻が、目を見張る。
「ルチアーノ殿下といいますと、ずっと離宮にいらっしゃった方ですか。あの方が、そのように気を利かせてくださったのですね」
「幽閉されていた身にもかかわらず、そのように心を砕いてくださるなんて、何と国思いの方でしょう」
夫人は、華やいだ声を上げた。
「もっと活躍していただきたいわ。アルマンティリア王室も、きっと改善されましてよ」
「これ」
領主は、慌てたように妻をたしなめた。
「ええと、お二人とも長旅でお疲れでしょう。すぐにお部屋にご案内しますので、どうぞおくつろぎくださいませ」
誤魔化すように、領主が使用人に指示し始める。真純とフィリッポは、何となく顔を見合わせていた。少なくともここの領主夫妻は、今の王室に不満を持っているらしい。それだけは確実だった。
荷物を整理し、食事を取ると、真純はフィリッポの部屋を訪ねた。魔術書は、ずっと彼が持っている。真純も、水魔法をもう少し練習しようと思ったのだ。
「どうしました?」
フィリッポは、ソファで魔術書を読んでいたが、真純のために快く隣を開けてくれた。
「その本ですが、少し貸してもらえませんか」
自分も練習したいと告げると、フィリッポは渋った。
「止した方がいいです。初心者のあなたが付け焼き刃で学んだところで、魔物に立ち向かうなど無理です。退治は私がやりますので、任せてください」
「でも、そんなわけには」
真純はためらったが、フィリッポは止めろと頑強に言い張った。
「危険だから言っているんです。騎士団や領主ご夫妻には、あなたはルチアーノ殿下の治療係を兼務しているため、大事を取っているのだと言い訳すればいい。魔物さえ退治して戻れば、何とかなりますよ」
「そう……、ですかね?」
ええ、とフィリッポはにっこり笑った。
「きっと、ルチアーノ殿下が上手く取り繕ってくださいます。コッサートとペサレージを手なずけた手腕を、見ていたでしょう? 見事な飴と鞭でした。極秘書類まで見せて信用させるなど、大したお方だ」
そこで真純は思い出した。
「そういえば、殿下はなぜ、図書館への訪問者を知りたがっておられたのでしょう?」
ルチアーノは、二人に何も話してくれなかったのだ。
「本が破損したとか言っていましたね。しかも、ホーセンランドに関する本でした。知られるとまずい何かが書かれていたので、誰かが読めなくした……といったところでしょうか」
フィリッポも、本の題名を見ていたようだった。
「パッソーニでしょうか。ああ、王妃陛下かもしれませんね」
真純は考え込んだ。
「二人とも、同じくらい怪しいんですよねえ。ボネーラさんは否定なさっていましたが、手を組んでいる可能性は本当に無いんでしょうか。今回だって、タッグを組んでいるようにしか見えなかったんですけど」
「発案は、パッソーニでしょうけどね。偽魔術師の奴にとって、本物の魔術師が現れるほど恐ろしいことは無い。けれど王妃陛下も、奴の味方をなさっていましたからねえ。それに恐らく、ルチアーノ殿下を足止めされたのも、彼女でしょう」
フィリッポは、思案するように腕を組んでいる。真純は、勢い込んだ。
「二人が手を組んでいるとしたら、僕は嬉しいですね。ほら、ルチアーノ殿下が仰っていたじゃないですか。それならば、殿下はパッソーニの子ではないという結論になる、って」
思わず顔をほころばせた真純だったが、フィリッポはふと黙り込んだ。真純は訝った。
「えっと……、フィリッポさん?」
「本当に、殿下のことをお好きなんですね」
ダークブラウンの瞳で真っ直ぐに見つめられ、真純はたじろいだ。
「それは……」
「殿下のことしか頭に無いようですが。まさか、お忘れではありませんよね? 私の告白を」
フィリッポは、魔術書をテーブルに置くと、ずいと真純の顔をのぞき込んできた。
(しまった。無神経だった……?)
忘れていたわけでは、決して無いのだが。フィリッポが魔法に没頭しているのをいいことに、返事を引き延ばしていた、というのが正直なところだ。
「いや、ルチアーノ殿下が国王陛下のお子なら、喜ばしいじゃないですか。良い後継者が現れて、何よりですよ。ご領主夫妻だって、期待なさっていたでしょう?」
「話を逸らさないでください。私をどう思っているのかが、知りたいんですよ」
ぐいと、距離を詰められる。狭いソファ上では逃げ場が無く、真純は焦った。フィリッポが、くすりと笑う。
「返事を急がせるつもりは、無かったんですけどね。絶好の機会が転がり込んできたなら、利用しない手は無いでしょう。殿下を足止めしてくださった王妃陛下には、少しだけ感謝かなあ」
不意に、肩を引き寄せられた。ルチアーノほどでは無いが、長身のフィリッポが接近して来ると、それなりの迫力がある。心臓が早鐘のように打ち始めるのを、真純は感じた。フィリッポが、耳元で囁く。
「大体、ね。あなたを好きだと言っている男の部屋に、夜にのこのこ来ます? 誘ってるって思われても、仕方ないですよ」
言うが早いか、フィリッポは真純の顎を捕らえた。唇が迫ってくる。反射的に突き飛ばそうとした、その時だった。
コンコン、とノックの音がした。フィリッポが、素早く真純を放し、姿勢を整える。
「はい?」
外からは、使用人の声が返ってきた。
「失礼いたします。フィリッポ様とマスミ様に、お客様がお見えです」
一体、誰だろうか。真純とフィリッポは、顔を見合わせていた。フィリッポが尋ねる。
「どなたでしょう?」
「俺だよ」
聞こえてきた声は、実に聞き覚えがあるもので、真純は思わず顔をほころばせていた。フィリッポが入室許可をすると同時に、扉が開く。そこには、見慣れた赤毛の男が立っていた。
「ジュダさん!」
「ニトリラを思い出しますね」
フィリッポは、そんなことを言った。
「似ているんですか?」
「この、乾燥した気候がね。地理的にも近いんですよ」
「そうでしたか」
火災が大規模になったのは、気候の影響もあるかもしれない。チラとそんな考えがよぎったが、口に出すのは控えて、真純はさりげなく話題をそらしたのだった。
ここでの宿泊先は、領主の屋敷だ。領主夫妻は、下にも置かぬ扱いで二人を出迎えてくれた。
「ようやく、あの魔物を退治していただけるとは。この日を待ち望んでおりました」
平身低頭といった様子で、領主が挨拶する。フィリッポは、それを聞いて眉をひそめた。
「ようやく?」
「そうなんですよ。あの魔物には、もう何年も前から頭を悩ませていたのです」
領主は、ため息を吐いた。
「普段は、森の奥でおとなしくしているんですがね。食糧が不足すると、出て来て領民を襲うのです。たいそう凶暴で、主に子供が被害に遭いました。そこで、宮廷魔術師様にお越しいただけないかと何度もお願いしたのですが、ずっと断られ続けていたのです」
「そのお断りの理由ですが、何と仰ったとお思いです?」
よほど立腹しているのか、夫人が口を挟んできた。
「あれは魔物ではなく神獣だ、などと仰るのですよ?」
「神獣!?」
フィリッポは、呆れ声を上げた。
「ええ。ですから、いくら領民から犠牲者が出ようとも、手出ししてはいけないと」
フィリッポは、信じられないといった様子で首を振った。領主が話を引き取る。
「最近、また魔物が出没し始めました。今回の疫病では、動物たちもかなりやられましたから、餌が無くなったのでしょう。とはいえ、お願いしてもどうせ断られるだろうと諦めていたところ、何とパッソーニ様の方からご連絡があったのです。魔物討伐に伺おう、と」
自身に退治能力が無いため、パッソーニは放置していたのだろう。だが今回、フィリッポと真純が現れたため、能力の見定めをかねて、体よく押し付けたに決まっている。身勝手さに呆れていた真純だったが、領主はさらにとんでもないことを言い出した。
「さすがに、私どもも憤慨しましてね。神獣だから手出しできないのではなかったですか、とお尋ねしました。するとパッソーニ様は、こう仰ったのですよ。あれらは、突如魔物に変異したのだ、と」
吐き捨てるように、領主が言う。フィリッポは失笑しかけたが、慌てたように笑みを引っ込めた。犠牲になった領民たちのことを考えると、不謹慎だと思ったたのだろう。
「しかもその変異の理由を、パッソーニ様はこう仰ったのですよ?」
夫人が、興奮気味に叫ぶ。
「私たち領主夫妻の心がけが悪いからだ、ですって! いくら宮廷魔術師様とはいえ、我慢も限界ですわ!」
まあまあ、となだめるように、領主が妻の肩を抱く。フィリッポは、二人に語りかけた。
「あなた方のせいではありませんよ。最初から、それは魔物だったのでしょう。恐らくパッソーニ様は、何らかの思い違いをされていたものかと。どうぞ、彼の言葉はお忘れください」
フィリッポの穏やかな口調に安心したのか、領主夫妻は表情を和らげた。
「そう言っていただけて、安心しました……。パッソーニ様の補佐役と伺っておりますが、ずいぶんと頼もしそうな方々だ。是非よろしくお願いしますよ」
「正確には、私どもはルチアーノ殿下付きなのですがね。昨今の宮廷の混乱ぶりを見かねて、パッソーニ様のサポートもしてはどうかと、殿下は考えられたのです」
パッソーニの補佐役という表現に納得がいかないのか、フィリッポはそんな補足をした。夫妻が、目を見張る。
「ルチアーノ殿下といいますと、ずっと離宮にいらっしゃった方ですか。あの方が、そのように気を利かせてくださったのですね」
「幽閉されていた身にもかかわらず、そのように心を砕いてくださるなんて、何と国思いの方でしょう」
夫人は、華やいだ声を上げた。
「もっと活躍していただきたいわ。アルマンティリア王室も、きっと改善されましてよ」
「これ」
領主は、慌てたように妻をたしなめた。
「ええと、お二人とも長旅でお疲れでしょう。すぐにお部屋にご案内しますので、どうぞおくつろぎくださいませ」
誤魔化すように、領主が使用人に指示し始める。真純とフィリッポは、何となく顔を見合わせていた。少なくともここの領主夫妻は、今の王室に不満を持っているらしい。それだけは確実だった。
荷物を整理し、食事を取ると、真純はフィリッポの部屋を訪ねた。魔術書は、ずっと彼が持っている。真純も、水魔法をもう少し練習しようと思ったのだ。
「どうしました?」
フィリッポは、ソファで魔術書を読んでいたが、真純のために快く隣を開けてくれた。
「その本ですが、少し貸してもらえませんか」
自分も練習したいと告げると、フィリッポは渋った。
「止した方がいいです。初心者のあなたが付け焼き刃で学んだところで、魔物に立ち向かうなど無理です。退治は私がやりますので、任せてください」
「でも、そんなわけには」
真純はためらったが、フィリッポは止めろと頑強に言い張った。
「危険だから言っているんです。騎士団や領主ご夫妻には、あなたはルチアーノ殿下の治療係を兼務しているため、大事を取っているのだと言い訳すればいい。魔物さえ退治して戻れば、何とかなりますよ」
「そう……、ですかね?」
ええ、とフィリッポはにっこり笑った。
「きっと、ルチアーノ殿下が上手く取り繕ってくださいます。コッサートとペサレージを手なずけた手腕を、見ていたでしょう? 見事な飴と鞭でした。極秘書類まで見せて信用させるなど、大したお方だ」
そこで真純は思い出した。
「そういえば、殿下はなぜ、図書館への訪問者を知りたがっておられたのでしょう?」
ルチアーノは、二人に何も話してくれなかったのだ。
「本が破損したとか言っていましたね。しかも、ホーセンランドに関する本でした。知られるとまずい何かが書かれていたので、誰かが読めなくした……といったところでしょうか」
フィリッポも、本の題名を見ていたようだった。
「パッソーニでしょうか。ああ、王妃陛下かもしれませんね」
真純は考え込んだ。
「二人とも、同じくらい怪しいんですよねえ。ボネーラさんは否定なさっていましたが、手を組んでいる可能性は本当に無いんでしょうか。今回だって、タッグを組んでいるようにしか見えなかったんですけど」
「発案は、パッソーニでしょうけどね。偽魔術師の奴にとって、本物の魔術師が現れるほど恐ろしいことは無い。けれど王妃陛下も、奴の味方をなさっていましたからねえ。それに恐らく、ルチアーノ殿下を足止めされたのも、彼女でしょう」
フィリッポは、思案するように腕を組んでいる。真純は、勢い込んだ。
「二人が手を組んでいるとしたら、僕は嬉しいですね。ほら、ルチアーノ殿下が仰っていたじゃないですか。それならば、殿下はパッソーニの子ではないという結論になる、って」
思わず顔をほころばせた真純だったが、フィリッポはふと黙り込んだ。真純は訝った。
「えっと……、フィリッポさん?」
「本当に、殿下のことをお好きなんですね」
ダークブラウンの瞳で真っ直ぐに見つめられ、真純はたじろいだ。
「それは……」
「殿下のことしか頭に無いようですが。まさか、お忘れではありませんよね? 私の告白を」
フィリッポは、魔術書をテーブルに置くと、ずいと真純の顔をのぞき込んできた。
(しまった。無神経だった……?)
忘れていたわけでは、決して無いのだが。フィリッポが魔法に没頭しているのをいいことに、返事を引き延ばしていた、というのが正直なところだ。
「いや、ルチアーノ殿下が国王陛下のお子なら、喜ばしいじゃないですか。良い後継者が現れて、何よりですよ。ご領主夫妻だって、期待なさっていたでしょう?」
「話を逸らさないでください。私をどう思っているのかが、知りたいんですよ」
ぐいと、距離を詰められる。狭いソファ上では逃げ場が無く、真純は焦った。フィリッポが、くすりと笑う。
「返事を急がせるつもりは、無かったんですけどね。絶好の機会が転がり込んできたなら、利用しない手は無いでしょう。殿下を足止めしてくださった王妃陛下には、少しだけ感謝かなあ」
不意に、肩を引き寄せられた。ルチアーノほどでは無いが、長身のフィリッポが接近して来ると、それなりの迫力がある。心臓が早鐘のように打ち始めるのを、真純は感じた。フィリッポが、耳元で囁く。
「大体、ね。あなたを好きだと言っている男の部屋に、夜にのこのこ来ます? 誘ってるって思われても、仕方ないですよ」
言うが早いか、フィリッポは真純の顎を捕らえた。唇が迫ってくる。反射的に突き飛ばそうとした、その時だった。
コンコン、とノックの音がした。フィリッポが、素早く真純を放し、姿勢を整える。
「はい?」
外からは、使用人の声が返ってきた。
「失礼いたします。フィリッポ様とマスミ様に、お客様がお見えです」
一体、誰だろうか。真純とフィリッポは、顔を見合わせていた。フィリッポが尋ねる。
「どなたでしょう?」
「俺だよ」
聞こえてきた声は、実に聞き覚えがあるもので、真純は思わず顔をほころばせていた。フィリッポが入室許可をすると同時に、扉が開く。そこには、見慣れた赤毛の男が立っていた。
「ジュダさん!」
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