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第二章 呪文探しの旅に出よう!
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「では、国王陛下をお信じになるということですか」
ジュダの声音は、不満げだった。
「失礼ですが、それはお人好しが過ぎると思います。そもそも私は、殿下を王位継承者にという陛下のご判断自体、勝手だと思っていました。れっきとした第二王子というご身分でありながら、あのような離宮に幽閉し、今頃になって……」
「口を慎め、ジュダ。アルマンティリア国王に対し、無礼であるぞ」
ルチアーノの鋭い声が響いた。ジュダが、一瞬絶句したのがわかる。
「失礼いたしました!」
「……まあ私も、全面的に国王陛下を信じているわけではないがな」
ルチアーノは、口調をやや和らげた。
「正直、陛下の本音は私にもわからぬ。今宵の一件の首謀者も、まだわからぬ。だが、ただ一つ明白なのは、王位継承権証明書類を私が所持している、ということだ。誰が何を画策しておろうが、あの証明書がある限り、私は王位に就ける。この意味は、わかるな?」
「はい。ルチアーノ殿下が、勝者でございます」
ジュダは、神妙な声音で答えた。
「勝ち負けだけの問題でも無いが。先ほどそなたが申した通り、私はこのアルマンティリア王国の第二王子。国を愛する気持ちは、誰にも引けを取らないと自負している。王位に就いた暁には、他のどの国にも負けぬほど、良い治世にするつもりだ」
真純の胸は、じわりと熱くなった。
(ルチアーノ殿下。本当に、国を愛しておられるんだな……)
そこで真純は、ハッと気付いた。ルチアーノが王位に就くためには、呪いを解かなければいけない。だとすれば、真純は回復魔術師としての役目を果たすべきでは無いのか。呪文が判明するかどうかもわからない今、自分がどう思われているかなど、気にしている場合では無い……。
その時、ジュダが出て来る気配がした。真純は、とっさに柱の陰に隠れた。ジュダは、スタスタと歩き去り、階段を降りて行く。彼の姿が見えなくなったのを確認すると、真純はルチアーノの部屋をノックした。やがて顔を見せたルチアーノは、真純を見て目を見張った。
「マスミ殿? 部屋へ戻ったのでは?」
「その……」
真純は、ガウンの衿をぎゅっと握った。真っ赤になりながら、かろうじて言葉をつむぐ。
「先ほどは、すみませんでした。回復魔術師としての役割を、その、果たそうと思います」
だがルチアーノは、かぶりを振った。
「無理をしなくていい。あれだけの魔力を取り込んだのだ。三日経ったとはいっても、まだ疲れは残っているだろう。おまけに、この旅だ。今宵はゆっくりと休め」
おや、と真純は目を見張った。
「殿下。三日間空けたのは、もしかして僕を気遣ってくださったのですか」
ルチアーノは、あっさり答えた。
「当然だろう。体が熱いと、一晩中うなされていたのだ。立て続けになど、無茶というもの」
真純は、自分が恥ずかしくなった。
(殿下は、こんなにお優しいのに。僕ときたら、自分のことばかり考えていた……)
真純は、勇気を振り絞った。強引に部屋に入り込み、ガウンを脱ぎ捨てる。
「僕なら、大丈夫です。本当に平気ですから、お願いできませんか。もちろん、殿下にそのおつもりが無いのなら、無理にとは……」
言葉の途中で、真純はルチアーノにぐいと引き寄せられた。もう片方の手で器用に仮面を取り去りながら、彼は微笑んだ。
「まさか。この三日間、待ち望んでおったぞ」
(待ち望んで……?)
聞き間違いだろうか。だが真純は、冷静に判断することができなかった。ルチアーノに、激しく口づけられたからだ。そして次の瞬間、真純はベッドに押し倒されていた。
ジュダの声音は、不満げだった。
「失礼ですが、それはお人好しが過ぎると思います。そもそも私は、殿下を王位継承者にという陛下のご判断自体、勝手だと思っていました。れっきとした第二王子というご身分でありながら、あのような離宮に幽閉し、今頃になって……」
「口を慎め、ジュダ。アルマンティリア国王に対し、無礼であるぞ」
ルチアーノの鋭い声が響いた。ジュダが、一瞬絶句したのがわかる。
「失礼いたしました!」
「……まあ私も、全面的に国王陛下を信じているわけではないがな」
ルチアーノは、口調をやや和らげた。
「正直、陛下の本音は私にもわからぬ。今宵の一件の首謀者も、まだわからぬ。だが、ただ一つ明白なのは、王位継承権証明書類を私が所持している、ということだ。誰が何を画策しておろうが、あの証明書がある限り、私は王位に就ける。この意味は、わかるな?」
「はい。ルチアーノ殿下が、勝者でございます」
ジュダは、神妙な声音で答えた。
「勝ち負けだけの問題でも無いが。先ほどそなたが申した通り、私はこのアルマンティリア王国の第二王子。国を愛する気持ちは、誰にも引けを取らないと自負している。王位に就いた暁には、他のどの国にも負けぬほど、良い治世にするつもりだ」
真純の胸は、じわりと熱くなった。
(ルチアーノ殿下。本当に、国を愛しておられるんだな……)
そこで真純は、ハッと気付いた。ルチアーノが王位に就くためには、呪いを解かなければいけない。だとすれば、真純は回復魔術師としての役目を果たすべきでは無いのか。呪文が判明するかどうかもわからない今、自分がどう思われているかなど、気にしている場合では無い……。
その時、ジュダが出て来る気配がした。真純は、とっさに柱の陰に隠れた。ジュダは、スタスタと歩き去り、階段を降りて行く。彼の姿が見えなくなったのを確認すると、真純はルチアーノの部屋をノックした。やがて顔を見せたルチアーノは、真純を見て目を見張った。
「マスミ殿? 部屋へ戻ったのでは?」
「その……」
真純は、ガウンの衿をぎゅっと握った。真っ赤になりながら、かろうじて言葉をつむぐ。
「先ほどは、すみませんでした。回復魔術師としての役割を、その、果たそうと思います」
だがルチアーノは、かぶりを振った。
「無理をしなくていい。あれだけの魔力を取り込んだのだ。三日経ったとはいっても、まだ疲れは残っているだろう。おまけに、この旅だ。今宵はゆっくりと休め」
おや、と真純は目を見張った。
「殿下。三日間空けたのは、もしかして僕を気遣ってくださったのですか」
ルチアーノは、あっさり答えた。
「当然だろう。体が熱いと、一晩中うなされていたのだ。立て続けになど、無茶というもの」
真純は、自分が恥ずかしくなった。
(殿下は、こんなにお優しいのに。僕ときたら、自分のことばかり考えていた……)
真純は、勇気を振り絞った。強引に部屋に入り込み、ガウンを脱ぎ捨てる。
「僕なら、大丈夫です。本当に平気ですから、お願いできませんか。もちろん、殿下にそのおつもりが無いのなら、無理にとは……」
言葉の途中で、真純はルチアーノにぐいと引き寄せられた。もう片方の手で器用に仮面を取り去りながら、彼は微笑んだ。
「まさか。この三日間、待ち望んでおったぞ」
(待ち望んで……?)
聞き間違いだろうか。だが真純は、冷静に判断することができなかった。ルチアーノに、激しく口づけられたからだ。そして次の瞬間、真純はベッドに押し倒されていた。
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