夢ノ瀬日記

夢ノ瀬 日和

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3月8日

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 赤紫の花がアスファルトから揺れている。学校の裏庭。優しいハンモックの風。昼と夕暮れの狭間で止まる時間。大きな校舎から声がかかる。

「ヒヤシンス?」

 ──それにしては、花弁が大粒な気がする。ヒヤシンスは、もっとねこじゃらしみたいに詰まっているから。

「ゲッカビジン?」

 ──こんな花じゃないよ。もっと甘い香りが漂う真っ白な花だから。

「誰のものだろうね?」

 ──学校のじゃないかな

「君は摘まないの?」

 ──ダメだよ。バレたら怒られちゃうじゃん。いやだ。

「大丈夫だよ」


 判別不可能な会話が続いていく。
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