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立てば芍薬、座れば牡丹、寝起き姿は・・・
しおりを挟む冒頭ロッカ、殆どリュシウォン視点
**************************
ガンガン ガンガン
なんだぁーあの音は………
ガンガンガン
……ル…せぇー……
「ぅ…せぇーんだよー… ころ…ぅ… はぇ…」
ガンガン
・・・・・・・・・
どうやらドームを誰かが叩いているようだ。
「う~ん 朝かなぁ おはよ~ロッカちゃん」
……サーシャさ…ん アサ… あさがき~た~
「・・・・すげーなぁ」
「…オア…ようゴジャリ…す…」
……
「…取りあえず軽く飯作ろうと思うが」
「めし… はい、いま出します」
ガンガン ガンガン
「堅―なぁー これならオークやゴブリンぐらいなら躱せるな」
テントをスッポリと覆う土の半円体、入り口どころか継ぎ目も無い。思いもしない使い方をする。
何度か叩いてる内に胸よりも下辺り、弓矢ぐらいなら飛び出せる、横に細長い穴が開いた。と、徐々に大きく口を開く様にドームが崩れていく。
「・・・・すげーなぁ」
「…オア…ようゴジャリ…す…」
ドームに感心しているとゾンビの様なロッカが出て来た。シャツのボタン上2つを掛け間違えている上に、目も据わって美少女も台無しだ。
「暗い内から起こして済まないが、服はキチンと着ろ。寝ぼけたまま出てくるんじゃ無い」
ロッカの顎を持ち上げズレたボタンを掛け直してやる。
「クスクス リュシウォンさん、まるでお父さんみたいですよ」
「フン 俺の娘なら尻を叩いてテントに放り込むぞ。第一俺はそんな年じゃ無い。あっ!そこで寝るんじゃ無い!」
目を離した隙に地面で丸々んじゃ無い!何寝てんだ💢
「良くこれで生き延びて来られたな」
「自然と目が覚めるまで寝ていたとか?」
そうかも知れないな。だが…
「だが今は団体行動中だ。ロッカ!起きろ!寝るな!」
少し驚かせる為に耳の側で手を叩く
「ひゃぁーー 済みません!今!今やります!」
「「ロッカ(ちゃん)!」
何だったんだ…… あの慌て方は
『済みません!今!今やります!』
『親類……いませんよ』
夕べと今、関係の無いロッカの言葉が頭の中を過ぎていった。
……まだ聞けないよな……
「サーシャ、ロッカちゃんお早う。早い時間に起こして済まないね」
「ガストさん…おはようごじゃります」
まだ寝ぼけてるよ。
「ほらちゃんと起きろ、これから森に入るんだからな。寝ぼけていると怪我するぞ」
「起きてます。 ファーァーー」
言ってる側からデカい欠伸しやがって、しょうがねーな。
「ほら、お前を真似てお茶を入れてみた。これとこれで目を覚ませ」
寝ぼけたままのロッカに、お茶と俺が持っていた塩漬け肉を薄く切って挟んだだけのパンを渡した。
「盗賊のアジトを潰しに行くぞ。で、一番端の一人だけ離した奴の上を取ってくれ」
「ハズレる事も有るけど、お宝があるかも知れないよ。楽しみだね」
穴に埋める時に気の弱そうなのを一人、単独の穴に埋めて置いた。相当怖い思いをしたのか(例えば調理中の獣の様な唸り声とか?)蓋を取ると底の方にしゃがみ込み上まで聞こえて来る程ガチガチと歯を鳴らしていた。
「おい、お前に3つ選択肢をやろう」
1) このまま生き埋め
2) 獣の居る森に血を付けて木に縛る
3) アジトに案内して奴隷となる
「どれを選ぶ?」
野営地に残るのはガストとサーシャ、本来ならロッカも残したいが後学の為に連れて行く。
男をロープで縛り前を歩かせる。森の奥30分程歩いた場所に木や茂みに隠れて風穴が有った。
「地下か、このせいで今まで気づかれなかったんだな」
ローリーは自分たちが住む街の近くにこんな集団が居たのかと男を睨んだ。
「もう一度確認するぞ。仲間はあれで全部だな。中に女子供は居ないんだな。もし嘘を「嘘じゃ無い!」」
「嘘は言ってない。俺は死にたくない」
チッ!弱い奴だ。自分の意思も、覚悟も無くただ楽な方に流されやがって。賊の中でも後ろの方で適当に剣を振回していただけなんだろう。
小さな女の子が身内の死を乗り越えて頑張ってるって言うのに。趺坐賢者ねぇ!
「ロッカ、此奴を適当に埋めといてくれ」
「待って!殺さないで!案内したじゃ無いか!」
「中を調べる間だけだよ、騒ぐな!💢」
中に入る順番は俺・ローリー・ロッカ・ダンカルの順だ。
「ロッカ、勝手な行動はするなよ、もし中に誰かが居たとして、それが女でも老人でも勝手な判断で飛び出すな」
「?嘘かも知れない、芝居かも知れない?て事? 分かりました。判断はお任せします」
させたくは無いが将来盗賊や討伐または魔物の住み家などの殲滅をしないという保証は無い。なら可能な限りは体験させて置きたい。知識の肥やしになっても良い。寧ろその方が良い。
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