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狼は狩人

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「ワォーン」

狼の鳴き声が聞こえてくる。それを聞いた仲間たちは一斉に走り出し、まとまって逃げる。後ろからは"狼の群れ"が追いかけてくるが構わず逃げる。

鬱蒼とした森林の中を止まることなく駆け抜けていき、後ろに見えていた群れが見えなくなった。すぐには止まらず、油断せずにしばらく駆ける。
その後、子供の限界が近くなったところで移動を止める。

周りを警戒しながら休憩を取っていると一匹居ないことに気づく。此処に着いた時にはまだ居たはず……何故か空を見上げていた。力が抜けていく。



「命中。次、右のやつ。右25、上38、距離プラス12。……撃て。命中。次………」

次々と羊の魔物…『グラスシープ』が撃ち抜かれていく。1ヶ所からだけではない、合計20ヶ所ほどから同じようなペースで銃弾が放たれ、魔物を一撃で仕留める。

「凪さーん、ただいまでーす。」

とてとて、といった擬音がつきそうなレベルで陽気に……というより、飼い主の元に走る忠犬のように白華が走ってくる。

その頭にはなんとイヌミミが付いており、スカートからはイヌシッポがチラチラと覗いている。一見コスプレのように見えるがちゃんと動いている。

俺だって可愛いからって理由だけでイヌミミとシッポを付けさせたりしねぇから。

「ほーら、よしよし、良い子良い子~。どうだった?魔装は。」

頭をわしゃわしゃしてやると目がトロンとしてきて尻尾をブンブンと振る。まさしく犬である。

「うへへ。……っと、結構すごかったですよ。なんだか、普段より獲物が追いやすかったですし。あとは『魔狼生成』が使えましたね。」

「アレか、魔力の狼を作るスキルだっけ?」

「ですです。簡単にこんなことして~って伝えると、あとは自律行動してくれるので結構楽でした!」

少し上目遣いでこちらを見てくる。褒めて欲しいんだな~と感じ取り、椅子を出して膝の上に座らせ、もう一度撫でまわす。

「えらいぞ~白。がんばったな。えらい、えらい。」

「むふ~。」

少しくすぐったそうにしながらも、目を細めて嬉しそうにする。なんとなく感じていたが、行動が犬に寄ってる気がする。つまり、猫要素のある魔装なら腰トントンだけで……やめておこう。もう少し歳を重ねるまで封印しておこうと思う。

ちなみに、この狩りは魔物狩り兼レベリング兼食糧確保だ。俺たちはスキルの実験なんかにもなっているので結構ありがたい。
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